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山田洋次監督、志村けんさん死去など紆余曲折を経た「キネマの神様」完成に感無量

  • 2021.3.30
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山田洋次監督、志村けんさん死去など紆余曲折を経た「キネマの神様」完成に感無量

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悲しい事態を乗り越えて完成

松竹映画の100周年を記念し、人気作家・原田マハ氏の小説を山田洋次監督が映画化した「キネマの神様」完成報告会見が3月29日、東京・内幸町のイイノホールで行われ、山田監督をはじめ、菅田将暉、永野芽郁、野田洋次郎、寺島しのぶ、小林稔侍、宮本信子ら豪華キャスト陣が登壇した。なお、この日は北川景子も出席予定だったが、体調不良のため欠席となった。

かつては撮影所で働き映画を何よりも愛していたが、家族には見放されたダメ親父のゴウを主人公に、時代を超えて繰り広げられる愛と友情の物語を描き出した本作。主人公のゴウ役は志村けんさんが務める予定だったが、新型コロナウイルス感染症の肺炎により降板。後に他界したことから、かつて志村さんと同じ事務所でもあった沢田研二が遺志を継ぎ、代役としてゴウを演じることになった。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、撮影の延期、2度の公開延期などに見舞われたが、ようやく完成の運びとなった。

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紆余(うよ)曲折を経て完成した本作について、山田監督も「準備を含めると2年以上。ようやくこの日が来たかという気持ちです。公開までこんなに長い期間がかかるのは、僕の長い映画人生でも初めて」としみじみとした表情を見せると、「本読みまでした後に主役が亡くなるということを今まで体験したことがなかったので、どうしたら良いのかと混乱したというか。その時のことを今でも思い出します」と胸中を吐露。そしてその後、志村さんの代役に沢田を迎えたことについて「いろんないきさつがあって、沢田研二さんに代わりをやってもらうということに不安もありました。しかし、沢田さんは、もともと志村けんさんで考えていたゴウとは別の魅力で演じてくれた。今はホッとしております」としみじみ付け加えた。

さらに、沢田に対し「彼もずいぶん悩んだと思います。何と言っても志村けんは、日本を代表する喜劇俳優であり、コメディアンですから」とおもんばかった山田監督。「一方の沢田さんは日本を代表する二枚目ですから。まったく対照的なポジションにある2人なんですよね。でもこの2人が仲が良くて。2人でナンセンスギャグを一緒に楽しそうにやっているところを僕は観ていて、それがとても好きだった」と振り返ると、「だから沢田さんという天下の二枚目が、本来、志村さんを想定した役を別の形で表現するのは可能じゃないかというところに賭けて、彼に依頼しました。沢田さんも相当悩んだと思いますが、志村さんへの友情もあったんだろうなと思います」と振り返った。

現場の沢田は、長いセリフもすっかり頭に入れてから現場に挑んだそうで、「きっと何度も、前の日からセリフを稽古していたんだろうなと。あまり態度には出さなかったが、かなり緊張して役を作りあげてくれたんだろうと思う」と語った山田監督。「天下の二枚目である沢田さんですが、彼の若い時を演じた菅田くんも二枚目だし。共通する部分があって良かったです」と笑顔で付け加えた。

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そんな本作について菅田は「映画はものすごくパワフルで。僕がゴウを演じた時には想定していない出来事だと思うけど、ものすごく沢田さんがパワフルに動き回っていて。俺より動き回っていたかもしれない」と感じたようだ。そして、「撮影現場も見学しましたけど、ものすごくチャーミングで。ダメな人なんだけど、色気があって。すごく魅力的なゴウだと思いました」と最敬礼だ。

山田組に参加した感想を「撮影のシステムが執念の塊というか。他の映画と準備も時間の使い方も違う。山田監督が考え始めると、スタッフが1時間も2時間も待つこともあって。それだけまわりのスタッフが監督を信頼しているんだと思う」と語った菅田。その言葉に「みんなうんざりしているだろうけどね」と笑ってみせた山田監督だったが、菅田も「でもそれだけ粘っても、次の日はリテイクになったりすることもある。それって一見、難しいことのように聞こえるかもしれないですが、俳優としてそれだけ求められることもなかったので、うれしかったです」と感激の表情を見せた。

そして最後のコメントを求められた山田監督は「世界中の映画人にとって大きな課題は、コロナの時代を通り過ぎてしまうと、映画を配信で観るという習慣がついてしまうのではないかということ。でもそんなことない。映画館で観るのと、配信で観るのとは違うから。映画館は消えない。映画は大勢の人と一緒に観て、笑い、語り合い、時として拍手して観るものだと思っています。コロナが去って、ますます映画館が盛んになってもらいたいと思いますし、多くの方にこの映画を映画館で観てもらいたいと心から思っています」とメッセージ。続く菅田も「まさか山田洋次作品の真ん中に立つ状況になると思いませんでした。本来であれば……、という出来事もたくさんあって。でも今、完成しましたと言えるのが一番の喜び。皆さんに今日お会いできたのもうれしかったです。個人的にもいろんなことがあって、思い入れもたっぷりな作品なんで、まだいろいろと言いたいこともありますが……。いろんなことを経て、たくさんのことが詰まった映画になったと思います」と晴れやかな表情を見せた。

「キネマの神様」は、8月6日から全国で公開。

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