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『ウチカレ』最終回が示した希望に満ちた明日 北川悦吏子が紡ぎ出した光り輝く言葉たち

  • 2021.3.18
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『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(c)日本テレビ

『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(日本テレビ系)最終回は、それぞれが素敵な明日に向かっていく希望に満ちたハッピーエンドだったように思う。

サリー(福原遥)は「泣かないで笑ってて、で幸せだったらそれでいい」と自分のことを思ってくれる俊一郎(中村雅俊)に「見つけた、私の幸せ」と抱きつく。毒親の下で育ち、恋する自分を実感することで満たされていたサリーが見つけた、自分が自然体でいられる俊一郎という存在。サリーのセリフが象徴するように、『ウチカレ』最終回では一人ひとりがそれぞれの幸せを見つけていく。

風雅(豊川悦司)からの沖縄への誘いも、漱石(川上洋平)とのニューヨーク生活も断り、碧(菅野美穂)が見つけたのは「自分の行く場所は自分で決める」という答え。そんな自分が面倒くさいという自覚はある。けれど、人生といういばらの道をこれまでもこれからもそっと後ろを歩いてくれる存在のゴンちゃん、そしてこれからも母親として見守っていきたい空(浜辺美波)に気づくことができた。

風雅も碧や鈴(矢田亜希子)、空を見捨てたという過去への贖罪を行い、最後には実の娘である空、育ての母親である碧とのスリーショットを撮ることができた。活版の重たいモノクロの文芸誌にカラーページが増えたように、風雅にとってすずらん商店街で過ごした日々は煌めく思い出だった。散英社に入社するきっかけの憧れの存在が碧であり、担当編集になってだんだんと恋する相手に変わっていった漱石。一緒にニューヨークに行くことはできなかったが、小説家としての碧の心を奮起させ「私は人間だから書き続ける。それを君が気づかせてくれた」と言われた漱石は幸せだっただろう。

一方、空と光(岡田健史)、渉(東啓介)の3人はどうか。光の「一緒に漫画描かないか? 俺がストーリーで、そっちが作画。2人で『ジャンプ』のてっぺん取るんだ」という何気ない誘いから始まった『バクマン。』パロディは、『ジャンプ』の漫画賞で「努力賞」を受賞することとなる。タイトルは『君のいる世界』。光が空を思ってつけた、これからも変わらずにそばにいるというお守りのビー玉のように光り輝く言葉だ。

最後まで2人は「好き」という思いも告げずに“恋人”にはならなかった。けれど、今は一緒にいるだけで幸せで、これからもこの日々が続いていくはず。2人が並んで歩いていく後ろ姿にはそんな未来への希望が詰まっていた。空から別れを告げられても彼女の背中を押した渉は、幼なじみの「くるみちゃん」と再会の兆しが。誰も不幸にはしない、そんな脚本家・北川悦吏子の思いが伝わってくる。

最終回を観た北川は自身のTwitterに「これは、今の私が書けるmaxのシナリオだったと思います。このキャリアでこの、生きてきた日々で書ける私なりのmaxです。」と『ウチカレ』について綴っている。

第7話以降は豊川悦司、矢田亜希子という『愛していると言ってくれ』(TBS系)を彷彿とさせるキャストとなったが、同時にストーリー全体として朝ドラ『半分、青い。』(NHK総合)を感じせる要素も多分にあった。それは大きく「碧(青い。)」「(青)空」「漫画」の3つ。特に最終回はどちらも青空の下でラストを迎えている。『ウチカレ』は北川作品として、これまでのキャリアを踏襲しながら挑んだマックスの作品だったと言えるだろう。(渡辺彰浩)

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