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婦人科スポーツドクターがアンサー! 生理中の運動は大丈夫?

  • 2021.3.10
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ダイエット中でも、避けてとおれない生理。普段とはコンディションが異なる生理中の注意点について、婦人科スポーツドクターの高尾美穂先生に伺った。さらに、無酸素運動が推奨される現状について、スポーツドクターの視点の考えも、効果的なダイエットやボディメイクを求める人には必読だ。

朝一番の心拍数が体の状態を数値化してくれる

ダイエットの高い効果を求めて、ストイックに運動することはけっして悪くない。しかし、何事も過ぎたるは猶及ばざるが如し。オーバーワークは、体への負担も大きい。OKラインとオーバーワークを見極めるのは、翌朝の疲労度がポイントだ。

Women's Health

「運動をした翌朝、疲れを感じるようであれば、疲労回復できていないので、オーバーワークのサインになります。体の状態を敏感に数値化してくれるのが、朝イチの心拍数です。アスリートもコンディショニング管理でも必ず測定しており、疲れ過ぎたり、よく眠れなかったりすると、ポンと上がります。女性の場合、生理周期によっても変化します。生理から排卵までは副交感神経が優位であり、心拍数は低くなります。一方、排卵後からプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌される黄体期は、交感神経優位の状態なので、心拍数は高くなるんです。私の場合だと、通常よりも3くらい高いですね。スポーツをしている人はスマートウォッチをお持ちの方も多いでしょうから、それで測定できます。お持ちでない方は、目覚めて横になったままの状態で、30秒間脈をとって2倍すれば、心拍数を知ることができます」

運動が生理痛を改善することもアリ!

生理中、スポーツやトレーニングは普段通りやっても大丈夫だろうか。

「ご自分が辛くないなら問題ありません。しんどい時は2〜3日ゆっくりしたり、普段よりも強度の低いウォーキングや、軽いヨガやストレッチに変えたり、ご自身の体調をみながら無理のない範囲で調整しましょう」

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ただ、基礎的な疾患を伴う生理痛は別だが、体を動かすことが、骨盤のだる重ささなどの生理痛をやわらげることもある。

「主に生理痛は、プロスタグランジンという化学物質の分泌量が多いために起こるのですが、プロスタグランジンは、子宮以外にも胃の周りにある平滑筋(へいかつきん)も収縮させます。それで、痛みや吐き気を感じてしまうのです。プロスタグランジンは血管の周りの平滑筋 にも影響を与えるので、血流も滞りがちに。血液は、肩を回すと温かさを感じるように、動かしたところに集まりますので、ストレッチやウォーキングなど股関節を動かすと、その周辺の筋肉に血液が集まって、血液が流れるといういい効果が生まれるのです」

無酸素+有酸素が最終アンサー

婦人科医であり、スポーツドクターでヨガインストラクターでもある高尾先生。近年、筋トレがブームとなり、有酸素運動より無酸素運動が推奨される動きは、運動の専門家である先生にはどう映る?

「痩せたいのであれば、一番効くのは、ジョギング、ランニング、エアロビクスなどの有酸素運動です。しかし、有酸素運動で筋肉量はそれほど増えません。ですから、筋トレなどのレジスタンストレーニングが必要となるわけで、ボディメイクが目的なら筋トレとなります。ベストを言えば、当たり前ですが、両方やったほうがいいですね」

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もし、両方に取り組む時間がなかったり、有酸素運動を続けられなかったりするなら、目的がボディメイクだけであれば、有酸素運動は必要ないと言えるのだろうか。

「すでに適正なBMI値にある人が戦略的にボディメイクをしたいのであれば、体重を落とすという目的において有酸素はしなくてもいいと言えます。しかし、有酸素運動の有効性は大きいので、繰り返しになりますが、無酸素運動の後、有酸素運動もやるのがベストです。たとえば、流行っているお尻のトレーニングも、肉感的なお尻を目指すには、痩せた状態から始めるのではなく、一時的に体全体をボリューミーにする必要があるでしょう。そこでつけた脂肪を落として、お尻を際立たせるには、やはり有酸素運動が欠かせません。ジムからの帰り道に歩いたり、有酸素運動を加えたりすると、無酸素運動も効果がとても高まりますよ」

Text: Sakiko Koizumi

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