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「東日本大震災」は終わらないあれから10年、関連書の出版続く

  • 2021.2.28
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東日本大震災から間もなく10年(写真は2017年、岩手県陸前高田市「奇跡の一本松」)

東日本大震災から10年ということで、このところ関連書の出版が目立っている。学者やジャーナリストなどの意欲作が目白押しだ。長期の取材や研究に基づいたものが多い。震災が今も終わっていないことを伝えている。

32兆円の復興政策

手に取りやすいものでは、『震災復興10年の総点検――創造的復興」に向けて』がある。岩波ブックレットだ。32兆円もの巨額をかけた復興政策の光と影を、防潮堤や住宅・まちづくりなどハードの側面と、生業や暮らしなどソフトの側面から多角的に検証している。

岩波書店からは『総合検証 東日本大震災からの復興』も出ている。こちらは分厚い。いずれも有名な学者が中心になっている。

『東日本大震災とこころのケア 被災地支援10年の軌跡』(日本評論社)は、災者のメンタルヘルス支援、いわゆる「こころのケア」がテーマ。10年間の取り組みを振り返っている。被災地の事情に詳しい前田正治・福島県立医科大学医学部災害こころの医学講座教授、八木淳子・岩手医科大学神経精神科学講座准教授らによる。

『福島原発事故10年後のゆくえと新たな課題――復興を生き抜く』(合同フォレスト)は福島原発事故が住民や地域社会に及ぼした影響について記している。福島には予想もしなかった様相が展開し、事態は複雑化、新たな課題が生まれているという。著者の佐藤政男さんは、福島県出身。福島県立医科大学公害医学研究室助教授などを経て、現在、日本毒性学会生体金属部会長。

丹念な取材報告が目立つ

ジャーナリストによるものでは、『災害特派員』(朝日新聞出版)がある。

著者の三浦英之さんは朝日新聞記者。震災後に津波被災地の最前線へ「災害特派員」として入り、その後、「南三陸駐在」として現地に赴任。アフリカ特派員を経て再び福島に赴任している。

これまでに『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』で第13回開高健ノンフィクション賞、『牙――アフリカゾウの「密猟組織」を追って』で第25回小学館ノンフィクション大賞、『南三陸日記』で第25回平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞、『日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか』(布施祐仁氏との共著)で第18回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞している気鋭の記者だ。昨秋には『白い土地 ルポ 福島 「帰還困難区域」とその周辺』(集英社クリエイティブ)も出版している。

同じく昨年の出版では『ふくしま原発作業員日誌――イチエフの真実、9年間の記録』(朝日新聞出版)の評価が高い。著者の片山夏子さんは中日新聞東京本社(「東京新聞」)の記者。第42回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞した。

やはり東京新聞記者の著書では、榊原崇仁さんの『福島が沈黙した日――原発事故と甲状腺被ばく』(集英社新書)も注目されている。情報公開で入手した2万枚の資料をもとに、約50人の関係者に「被ばく」の真相を再取材している。

3月には『被災地のジャーナリズム――東日本大震災10年 「寄り添う」の意味を求めて』(明石書店)も刊行される。著者の寺島英弥さんは元河北新報編集委員。これまでに多数の関連書を出版している。

メディアの報道に関しては、『福島第1原発事故後10年 テレビは原発事故をどう報道したか――3・11の初動から「孤立・分断・差別」そして「復興」フェイクまで』(秀和システム)がある。著者の小田桐誠さんはフリージャーナリスト。

様々な関係者による共同研究では、『福島原発事故10年検証委員会 民間事故調最終報告書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。「民間事故調」による報告書だ。

最近も震度6強の「余震」

写真集も改めて出版されている。『2011~2021報道写真集 東日本大震災・原発事故 ふくしま10年』(福島民報社)や、『特別報道記録集 三陸再興 いわて震災10年の歩み』(岩手日報社)は地元紙によるもの。『東日本大震災から10年――災害列島・日本 49人の写真家が伝える"地球異変"の記録』(扶桑社)は、日本の高名な写真家も多数参加している。震災とその後の復興への足取りをリアルに伝える。

このほか、『現代用語の基礎知識』は『別冊 3.11から10年の日本列島──東日本大震災から、コロナ禍の今日まで』、「法律時報」も災害対策や復興に関する法制度について2号連続で特集を出している

死者約1万6000人、行方不明者2500人以上という甚大な人的被害をもたらした東日本大震災。福島原発事故の処理と影響は今も続き、最近も震度6強の「余震」があるなど、終わりが見えない。すべての納税者が、「復興特別税」を払う形で国民的支援を続ける異例の災害となっている。

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