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ゴールデン・グローブ賞に黒人会員はゼロ、有名黒人監督が皮肉“知らなかったの?”

  • 2021.2.25
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ゴールデン・グローブ賞を決定するハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)の会員に、黒人会員はゼロであることが明らかに。エイヴァ・デュヴァーネイ監督が痛烈な皮肉。(フロントロウ編集部)

ゴールデン・グローブ賞を決めるのは誰?

アカデミー賞前哨戦と言われる映画祭のゴールデン・グローブ賞の体制を疑問視する声が、ますます大きくなっている。

今年で78回目となるゴールデン・グローブ賞は、映画部門とテレビドラマ部門を持ち、さらにその中でドラマ部門やミュージカル・コメディ部門などに細分化され、作品賞や演技賞などが決定される。

MeToo運動が起こった際には授賞式に出席した女性たちの多くが黒い衣服で登場するなど、社会的ムーブメントの舞台にもなってきたゴールデン・グローブ賞だけれど、じつはその主催団体であり、ノミネーションや受賞者を決定するハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)の会員数は2021年2月現在で87名と少ない。

画像: 2018年第75回ゴールデン・グローブ賞に黒の衣服で出席したドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』のキャストたち。
2018年第75回ゴールデン・グローブ賞に黒の衣服で出席したドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』のキャストたち。

そしてその87名のうち、白人以外の人種は一定数を占めると見られるけれど、米Los Angeles Timesが2月21日に発表した調査によって、会員の中には黒人が1人もいないことが明らかになった。

この報道は各地を駆け巡り、米Hollywood Reporterは、「L.A. Timesが、HFPAには黒人会員がいないことを明らかにした。ゴールデン・グローブ賞における投票者の倫理に新たな疑問があがっている」とツイート。

しかし、映画『13th -憲法修正第13条-』や『グローリー/明日への行進』、ドラマ『ボクらを見る目』など、黒人に対する人種差別を克明に描き、非常に高い評価をされているエイヴァ・デュヴァーネイ監督が、世間のこの反応に苦言を呈した。彼女は、米Hollywood Reporterのツイートに、こう返信している。

「明らかにした?これが広く知られていなかったとでもいうように人々が反応しているように?何年間も?」

差別を受けている側には明らかなのに、そうでない人々には何十年と気づかれない事実は多くある。組織の情報を明かさないHFPAの内部についてデュヴァーネイ監督がどれだけ明確に知っていたかは分からないけれど、長らく映画業界で活躍してきた彼女にとっては、これが新事実として報じられることには疑問を感じたように見える。

また、デュヴァーネイ監督のツイートには、映画『あの夜、マイアミで』を手掛け、今年のゴールデン・グローブ賞で監督賞にノミネートされた黒人監督のレジーナ・キングも反応。シンガーのドレイクがこちらを指差しているGIF画像を投稿していた。

なぜ会員に多様性が必要なのか

87名であっても、黒人がいなくても、有能であれば良いという意見はあがりがちだけれど、人は他人にはなれないように、自分の価値観を抜け出すことは難しい。例えば、アカデミー賞は会員数1万人弱という規模を誇るけれど、その受賞者やノミネートされる人物には白人男性が多く、それを決める会員の内訳でも「白人」「男性」が多い。会員の人種や性別のアンバランスさは、そのノミネーションや受賞結果に影響している。

世の中には、数多くの映画やドラマが存在する。そしてそのすべてを鑑賞することは不可能。そのなかでは、どの作品を見るかという出発点から無意識の偏りは始まると、映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のプロデューサーは米Vanity Fairで語っている。

つまり、まず、「白人男性」が見たくなるような作品が見られ、彼らが見たくならない作品は見られもしない可能性が高くなる。そしてそれは、結果にも影響する。

HFPAのスポークスパーソンはL.A.Timesの取材に対して、黒人会員がいないという問題については、問題解決に向けて取り組んでいるとしている。

ゴールデン・グローブ賞には接待疑惑も出ている

HFPAについては、ゴールデン・グローブ賞に作品がノミネートされるように、制作側が会員に対して接待を行なったとも報じられている

問題の作品はNetflixのオリジナルシリーズ『エミリー、パリへ行く』で、この作品と主演のリリー・コリンズは今年のゴールデン・グローブ賞で、コメディ/ミュージカル部門の作品賞と主演女優賞にノミネートされている。

L.A. Timesによると、同作がNetflixに移行する前に制作を担当したパラマウント・ネットワークが、撮影現場であるフランスのパリにHFPAの会員を招待し、様々な接待を行なったという。

また、ゴールデン・グローブ賞では2011年にも映画『バーレスク』の制作陣が会員を接待した疑惑があり、2020年8月に新規入会を拒否されたことを不服としてHFPAを訴えたノルウェー人記者のキエルスティ・フラー氏も、会員たちは制作側から「何千万ドル(数十億円)もの報酬を受け取っている」と主張していた。フラー氏の訴えはその後棄却されたけれど、疑惑は濃くなっている。

ゴールデン・グローブ賞の権威が揺らぐ今、改善をしていくのか。決断が求められている。(フロントロウ編集部)

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