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花粉飛散ピーク前に急いで!…漢方薬剤師が教える「すぐできる花粉症対策」 #97

  • 2021.2.26
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2021年は昨年よりも花粉飛散量が多いよう。花粉症の方はコロナのこともあり、例年以上に症状を抑えたいですよね。そこで、漢方薬剤師の大久保愛先生が、花粉症状の緩和に役立つ簡単な方法をお伝えします!

2021年、花粉シーズンの到来です!

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 97

じわじわと花粉症のシーズンが到来していますね。花粉症の人、今年から花粉症デビューしてしまった人は、しばらく肩身が狭い思いをすることもあるかもしれませんね。今の時期、くしゃみをして具合が悪そうな様子が周囲に伝わってしまうと嫌がられる対象になってしまい、加えて顔を頻繁に触ってしまうことも感染症リスクが上がってしまうことも問題ですよね。

花粉症のときにはあまり咳き込むことは少ないので、鼻水やくしゃみ以外に咳の症状を感じるときには花粉症以外の病気を検討しましょう。今週は、花粉症対策に役立つ食薬習慣を紹介したいと思います。

今週は、花粉症対策に役立つ食薬習慣

今年は1月の半ばから暖かい日が増え、例年より暖かい冬となりました。関東では2月の頭に春一番を観測し、2月の頭から花粉の飛散が開始したといわれています。これから3月になるにつれてピークを迎える地域が北上していきます。今後、花粉症の悪化につらい思いをする人が増えていくことだと思います。

そして、花粉症の人が例年と違って特に注意しなければならないのが、新型コロナウイルス対策ですよね。通常、顔をよく触る人は風邪を引きやすいとされています。感染症には、飛沫感染と接触感染とがありますが、鼻をかんだり、目を掻いたり顔を触る機会が増えるとそれだけ接触感染のリスクは増していきます。そのため、花粉症の人は衛生管理をいつも以上に気を付けなければなりません。

漢方では、花粉症の体質の人のことは、バリア機能である「気」が不足した「気虚」と考えます。そこで、今週は「気」を補いバリア機能を強化する食薬習慣です。食べるとよい食材・メニューは、【鯖とレンコンのスペイン風オムレツ】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:鯖とレンコンのスペイン風オムレツ】

このスペイン風オムレツは、バリア機能を高める「気」を補う「鯖&レンコン」を使って作ります。鯖は水煮缶を使います。鯖缶は味がしっかりしているので特に味付けに調味料を使わなくても具材を混ぜて焼くだけで完成する簡単メニューになります。

作り方は、鯖缶をほぐして卵と混ぜておきます。そして、小さく刻んだジャガイモ、玉ねぎ、レンコン、パプリカを軽く炒めます。これらを全て混ぜたらフライパンにクッキングシートを敷いて材料をすべて流し込んで蓋をして卵がしっかり固まるまで弱火で蒸し焼きにしたら完成です。

鯖やイワシなどの青魚にはオメガ3脂肪酸が含まれ、オメガ3脂肪酸にはロイコトリエンなどのアレルギーの原因物質を抑える働きがあります。オメガ3脂肪酸は必須脂肪酸で、青魚、アマニ油、クルミなどに多く含まれます。

必須脂肪酸には、ほかにオメガ6脂肪酸がありますが、オメガ3脂肪酸との摂取比率が大事だとされています。スナック菓子、アイス、てんぷら、唐揚げ、ラーメンなどにオメガ6脂肪酸が多く含まれているため、普通に生活しているとオメガ6脂肪酸を圧倒的に多くとりがちです。オメガ6脂肪酸の採りすぎもアレルギー症状の悪化につながってしまいます。アレルギー症状の緩和のためには、なるべくオメガ3脂肪酸を意識して採るようにしましょう。

レンコン

レンコンは抗酸化作用があるポリフェノールを多く含み、炎症を抑えるように働くため、アレルギー症状の緩和に役立つとされています。花粉症はIgE抗体が一定量に達することで発症するのですが、レンコンはIgE抗体生産を抑え症状の緩和につながるともいわれています。また、食物繊維も多く腸内環境を整えるため、腸から免疫の向上に働きかけることも期待できます。

スペイン風オムレツは、取り入れたい食材を何でも一緒に混ぜて焼くだけで、メイン料理にすることができるのでとても便利です。花粉症がつらい人はぜひ作ってみてくださいね。ほかにも、免疫力をアップするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

Information

大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika

『1週間に一つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。

『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)
体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。

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©Oliver Rossi/Gettyimages

文・大久保愛

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