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薪ストーブにレンガ、石壁…アンティークに彩られた鎌倉山の“アイリッシュバー”のような邸宅|会社役員・笠 章子さんのご自宅拝見

  • 2021.2.26
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人生を重ねた大人だからこそ見えてくる、豊かな暮らしとは?をテーマに、雑誌『Precious』編集部が総力取材する連載「IE Precious」。今回は、メーカー常務執行役員・イネステーラー笠 章子さんのご自宅を紹介します。1階のスタジオは人が集い語らう、アイリッシュバーのような空間。自然と調和する質実剛健な家でありながら、秘密基地のような側面もあるお住まいです。

イネステーラー笠 章子さん
メーカー常務執行役員
(いねすてーらー りゅう あきこ) 1986年徳島大学医学部栄養学科を卒業し大手メーカーの研究所に入社。ヒット商品の開発に携わるほか、ブランドマネージャーとして活躍。1988年にはWHOの循環器研究チームに食の調査員として参画。米国系広告代理店や企業勤務を経て、仏国系化粧品会社日本代表取締役に就任。2009年新卒入社のメーカーに再入社し、現在は常務執行役員。APEC女性経済会議に日本代表としても参加。ふたりの息子の母でもある。

「どんな家に住みたいかと聞かれたとき『家族と一緒に星空を見たい』と答えました」

古都・鎌倉の奥座敷、鎌倉山。豊かな自然に囲まれた場所に佇む一軒家は、まるでヨーロッパの森に迷い込んだような雰囲気が漂います。

グリーン×白の窓枠、レッドシダーの外壁が目を引く外観。
グリーン×白の窓枠、レッドシダーの外壁が目を引く外観。
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笠さんが「スタジオ」と呼ぶ1階の部屋には、ノルウェー製の薪ストーブが。イギリスのアンティークレンガとスコットランドの石の床。手前の椅子はケンブリッジ大学で実際に使われていたアンティークチェア。
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ダイニング。メニューやアイディアなどを書き留める黒板は笠さんのこだわり。白いタイルが基調のキッチン、天然石の天板と木のオープン棚などもひとつひとつ笠さんが決めたもの。
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「アーチのある天井は素敵な家の象徴、という勝手なイメージがあって…」と笑う笠さんがアールの角度までこだわったエントランスのダブルアーチ。愛犬サーシャがお出迎え。

「東京から鎌倉山に越してきて27年。四季折々の自然が美しい中庭にひと目惚れしてそのまま住んでいましたが、7年前ひょんなことから家を建て替えることに。地元のカフェでお茶をしていたところ、ご主人が建築士で『絵だけでも描いてみます?』と言われたのがきっかけでしたが、こんな家に住みたいという理想図をスケッチし始めたら楽しくて!

『ポエムもどうぞ』と言われ、思わず『家族と星空を見たい』という詩を書いたり(笑)。当時は職場の環境が変わり最も忙しかったころ。よけいな仕事を増やしてしまった…と後悔しつつも、オンとオフの気分が切り替わることもあって、家づくりに夢中になりました」と笠さん。

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アイアンの手すりとシャンデリアが印象的な階段。ダークグリーンの壁はあえて表面を金で汚し独特の風合いを出している。「夫の愛車ランドローバーのグリーンを再現しました」。こちらのスタジオは今、不定期でアンティークギャラリー「骨董蝸牛」を開催。次男の居安さんが買い付けた江戸時代から近代までの骨董や現代作家の器や小物を扱っている。詳細はHPで確認を。
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スタジオの大きな窓辺に置かれたソファは家族でくつろぐ場所。お母様と息子の居安さん、愛犬サーシャと。

もともとアンティークやインテリアが好きだったという笠さん、仕事の合間をぬって理想の家のイメージをスケッチ。間取りや窓枠、タイル、床材、壁色、水道の栓に至るまでリサーチし続けたとか。

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スタジオの壁の黒板。家の完成時に描かれた家族のイラストと、夫ローリーさんの名前が記された「ROLLIE’S BAR」の文字は消さずにずっと残している。

「家づくりはある意味、自分を知る旅だと気づきました。自分が本当に好きなもの、居心地がよいと感じる空間、朝はどんなふうに過ごしたいか、夜はどうくつろぎたいのか。休みの日に家でしたいことは? 光、風、窓からの眺め。家具やファブリックetc.

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建築時の廃材を天板に再利用した大きな八角形のテーブル。脚はアイアン製の特注品。藤沢にアトリエがある「さいとう工房」の鉄作家・齋藤昭二郎氏によるもの。「建築士の島田さんにすすめられてアトリエへ。齋藤先生の作品とお人柄に惚れ込んで、家の随所にアイアンを取り入れることに」
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圧巻! スタジオの壁一面の書棚にはビジネス書から歴史書、小説、画集などが。
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スタジオ入口の鉄のドアは、笠さんが最初に齋藤先生に依頼した作品。
葉っぱのステンドグラスと、笠さんが崇拝する蝸牛形のアイアンの取っ手。「冒険の扉をイメージしたスケッチをお渡ししたら、想像を超える素敵な扉が!」
葉っぱのステンドグラスと、笠さんが崇拝する蝸牛形のアイアンの取っ手。「冒険の扉をイメージしたスケッチをお渡ししたら、想像を超える素敵な扉が!」

それらを考えることは、自分と向き合い、自分の人生を見つめることでした。ですから、イメージを絵でスケッチすること、断片的でいいから言葉を詩のように綴ることは、とても意味があったんです。そんな小さなこだわりのかけらを、建築士の島田浩由さんがひとつひとつかき集めて、この家をつくり上げてくださいました」

2014年の春。約3年を費やし、笠さんの理想の家が完成。

「こだわったのは1階のスタジオ。家族が思い思いに読書をしたり仕事をしたり、愛犬サーシャとくつろいだり。あるいは、ゲストと一緒にお茶を楽しんだり。この部屋のコンセプトは、人が集い語らう、アイリッシュバーのような空間。シングルモルトが似合う部屋をイメージしました。同時に、私だけの秘密基地のような側面も。大きな黒板にアイディアを記したり、プロジェクターを使って仕事や人生のプランを練ったりと、自由に使っています」

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御年13歳、シェットランドシープドッグのサーシャ君の定位置がここ。このキッチン横の出窓は笠さんもいちばんお気に入りのスペース。低めの窓からは花壇の花が見え、広めのベンチの下は実は収納になっている。

「理想の家として、最初に思い描いたのは南仏プロヴァンスの家でした。そこから二転三転して現在の家に。アイリッシュバー、ヨーロッパの石畳が似合う家、自然に囲まれた田舎の家、ブーフーウーのレンガの家…。気になるイメージを伝え、建築士の島田先生と相談しながら、自分にとって何が大切なのかを突き詰め、削ぎ落としていきました。最終的に自然と調和する質実剛健な家に。私らしいと思います」と笠さん。

また、どの部屋も3方向から光が入るように設計されており、日中は自然の光に包まれるのも特徴的。

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寝室の一角にある大きな窓辺は、笠さんのワークスペース。ウィリアム・モリスの薄紫の花模様の壁紙も素敵。
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中庭のテーブル。天気のよい日はここで朝食やお茶を楽しむことも。

「そのため、窓にもこだわりました。木の窓枠はすべてアメリカのアンダーセン社のもの。できるだけ窓は大きく、周囲の木々の緑が家の中から眺められるように工夫されています」

もうひとつの特徴は、木と鉄の調和。木の温もりと、美しいラインを描くアイアンのディテール。

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笠さんが旅先やアンティークショップ、ギャラリーなどで買い求めたオブジェが家のあちこちに。ダンスする人形はアーティスト加茂幸子さんの作品で、笠さんのひと目ぼれ。
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寝室のベッドサイド側の窓。明るい光とともに目覚める。
階段の手すりに合わせてつくられたアイアンのシャンデリア。オリーブの枝のようにしなやかにのびた枝先には9個のろうそく皿が配され、幻想的な光を放つ。こちらも齋藤先生の作品。
階段の手すりに合わせてつくられたアイアンのシャンデリア。オリーブの枝のようにしなやかにのびた枝先には9個のろうそく皿が配され、幻想的な光を放つ。こちらも齋藤先生の作品。
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エントランスにも、笠さんと息子さんが集めたアンティークが。

「鉄作家・齋藤先生との出会いが大きいです。ウッディな空間の中に、曲線や直線の黒いアイアンのラインが入ることで全体が引き締まり、心地よい重厚感をもたらしてくれるんです。スタジオの鉄の扉をはじめ、表門やシャンデリアなど随所にアイアンを取り入れました。家は、好きなものに囲まれて、羽を休める場所。経年変化も楽しみながら一緒に年を重ねていきたいですね」

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ゲートにも蝸牛モチーフがさりげなく。「蝸牛は私の師匠のような存在。一見動いていないように見えて、気がつくとずっと先まで動いている。そんな姿に心惹かれるんです」
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趣のある外壁はカナダのレッドシダーを使用。「ウッドシングルサイディングと呼ばれる手法で、1000枚以上の細長い板を職人さんが一枚一枚重ねて貼り合わせてくれました。徐々にグレーに変化する経年変化も楽しみ」
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リビングルームは2階に。以前の家で使われていたソファやイサムノグチのガラステーブルなどが並ぶ。天気のよい日は、窓から横浜みなとみらいの景色が望める。
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玄関扉の小窓には、アイアンの葡萄。こちらはワイン好きの笠さんのために、建築士の島田さん(「アット・ピース・アーキテクツ」)が探してきてくれたもの。
笠さんのHouse DATA

●間取り…5LDK
●家族構成…3人+愛犬
●住んで何年?…6年半

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