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その数、じわじわと増加中。おいしいコーヒーを提供するエスプレッソ屋台【週末アジア:シンガポール編】

  • 2021.2.21
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連載「週末アジア」は、アジアに精通している女性たちが、おしゃれなショップやカフェ、おすすめスポット、旬のニュースなどをピックアップして、まだまだ知られていないアジアの魅力をお伝えしていきます。いますぐに旅立つことはできないけれど、また旅ができる日々を楽しみに。

 

その数、じわじわと増加中。おいしいコーヒーを提供するエスプレッソ屋台【週末アジア:シンガポール編】
出典 FUDGE.jp

 

シンガポールにはコピという、独自コーヒー文化があります。

苦味の強いコーヒー豆に砂糖やマーガリンをまとわせて深煎りし、粉状に挽いて、湯と合わせて時間をおき、フィルターで漉し淹れます。コンデンスミルク等と合わせていただくので、とっても濃い甘。屋台が集まるホーカーセンターには、コピを提供する屋台が必ずや複数あり、老若男女問わず愛飲されてきました。

 

一方で、2000年代後半に訪れたサードウェーブコーヒーにより、若い世代は、次第にコピよりスペシャルティコーヒーに親しむように。よって屋台でコーヒーを楽しむ年齢層は、やや高めとなっていました。

ここに2017年頃から現れたのが、エスプレッソマシーンを設置し、スペシャルティコーヒーを提供する屋台。数年をかけ、ゆっくり数を増やしているスペシャルティコーヒー屋台ですが、個人的には、ブームになって加速度的に増えてほしい。なぜなら、ホーカーセンターの原理は「適正価格」。ゆえに2~3ドル(約160~240円)台で飲めるから!

 

というわけで、この「増えますように!」というごく私的な気持ちに、「ぜひとも応援したい!」という、これまた個人的な気持ちをかぶせ、2020年11月にオープンした屋台「MAD ROASTER」をご紹介します。

 

その数、じわじわと増加中。おいしいコーヒーを提供するエスプレッソ屋台【週末アジア:シンガポール編】
出典 FUDGE.jp
その数、じわじわと増加中。おいしいコーヒーを提供するエスプレッソ屋台【週末アジア:シンガポール編】
出典 FUDGE.jp

 

思わず声援を送りたくなるわけは、難民支援を目標としているから。

この屋台の若き女性店主、マデリン・チャンは、弁護士。企業弁護士として活躍していたある日、ロヒンギャ難民に関するニュースを見ます。法律の力を必要としているのはこういう人たちなのではないか、と思い立ち、タイへと渡り、難民支援に携わることを決意。タイで援助を進めるなかで、ふと、気づいたのだそう。「彼らに必要なのは、仕事かもしれない」と。支援をしつつ、自立を促す手立てはないかと模索し始めます。

彼らが持続的に仕事をするためには、長期的な需要が見込めなければならない。

人びとから常に求められているものとは何か……「コーヒーだ!」と閃いたのだそう。オフィス街に出店すれば、朝に、昼のブレイクにと、毎日の集客が見込める。

 

こうしてマデリンは、シンガポールへ帰国。オフィスが集まるTelok Ayer地区のホーカーセンター「Amoy Street Food Centre」に間借りし、スペシャルティコーヒーを提供する屋台をオープン。店のロゴシール制作を難民家族に委任し、彼らに定期収入を発生させることに。

屋台を支えるため、弁護士としての仕事も続けているマデリン。どうでしょう、思わずエールを送りたくなりませんか?

 

その数、じわじわと増加中。おいしいコーヒーを提供するエスプレッソ屋台【週末アジア:シンガポール編】
出典 FUDGE.jp
その数、じわじわと増加中。おいしいコーヒーを提供するエスプレッソ屋台【週末アジア:シンガポール編】
出典 FUDGE.jp

 

さて、メニューについて。エスプレッソやアメリカーノのほか、ハニーバターラテのようなフレーバーコーヒーも少々。メニュー数を絞っているのは、店の切り盛りをほぼ全て1人でこなしているから。とはいえ、ちょっとでもフードを用意したいと、毎朝、彼女がバターたっぷりに焼きあげる甘いブリオッシュもスタンバイ。

屋台前のテーブルには、パソコンを広げながらコーヒーを味わうビジネスマンの様子も。なんだかカフェのような新しい風景が、ホーカーセンターに生まれています。

 

その数、じわじわと増加中。おいしいコーヒーを提供するエスプレッソ屋台【週末アジア:シンガポール編】
出典 FUDGE.jp

 

((店舗データ))
MAD ROASTER
7 Maxwell Road, #02-107 Amoy Street Food Centre, Singapore 069111

 

 

text:Ayako Tada

その数、じわじわと増加中。おいしいコーヒーを提供するエスプレッソ屋台【週末アジア:シンガポール編】
出典 FUDGE.jp

編集&ライター。2006年、マガジンハウスに入社。雑誌『Hanako』『GINZA』編集部に勤務し、ビューティ、ファッション、グルメなどを担当。結婚を機に2016年よりシンガポールに移住。現在はフリーランスとして「Hanako.tokyo」やシンガポールのローカル誌などで活動中。

Instagram : @tadaayako

 

 

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