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今泉力哉監督、松坂桃李を絶賛「自分を特別な人だと一切思っていない」

  • 2021.2.17
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今泉力哉監督
今泉力哉監督

映画「あの頃。」でメガホンを取る今泉力哉監督。同作は、大学院の受験に失敗し、彼女もお金もなく、どん底の生活を送る劔(松坂桃李さん)はアイドルの松浦亜弥さんのミュージックビデオを見て、「ハロー!プロジェクト(ハロプロ)」に夢中になります。イベントで知り合ったコズミン(仲野太賀さん)らと共に青春を謳歌(おうか)しますが、ある日、仲間との別れがやってきて…劔樹人さんの自伝的コミックエッセーの映画化です。

オトナンサー編集部では、今泉監督に単独インタビューを実施。映画化の経緯や松坂さん、仲野さんとの仕事の感想などを聞きました。

「もっと似た人がいるのではと」

Q.映画化の経緯を教えてください。

今泉監督(以下敬称略)「数年前にプロデューサーから、原作を映画化したいとオファーを受けました。原作の存在は知っていましたが、そのときは読んではいません。読んだらとても面白かったのですが、短編集のようなエッセーなので、どう映画にできるのだろうとは思いました。

『劔役を松坂桃李さんにオファーしようと思うのですが』とプロデューサーから聞いて、『出演するわけないでしょ』と思ったのですが、松坂さんに決まったと聞いて、他のキャストはどうしようかと思いました(笑)」

Q.松坂さんがオファーを受けたことは驚きだったのですね。

今泉「劔さんとは以前から面識があったので、もっと似た人もいるのではと思いました。ただ、松坂さんがゲーム好きなのは知っていましたし、オタクの気持ちは分かるかなと。次いで難航したのがコズミン役。原作の設定通り、最初は松坂さんより年上の人を探していました。

でも、年上を探すよりも、あの役を演じられる俳優さんを探した方がいいという話になって、年齢的には下ですが、仲野太賀さんにお願いしました。お仕事をしたのは初めてでしたが、面識自体は10年以上前からあって、ずっとご一緒したいと思っていました」

Q.原作の引かれたところを教えてください。

今泉「通常、物語において、若くして死ぬ人って基本いいやつなんです。だから、素直に悲しめます。でも、この原作では一番こずるくて、ちょっと嫌なやつがいなくなります。そんなやつがいなくなってもやっぱり悲しいし、でも、ただ悲しいだけじゃなく、生きていたときと同じように扱っています。そこに一番引かれましたね。

また、大人になってからできる仲間って基本は仕事仲間ですけど、そうじゃない、好きなものが同じでつながっている仲間の存在は尊いなと思いました」

Q.松坂さん、仲野さんとのお仕事はいかがでしたか。

今泉「基本的に何も言っていなかった気がします。ほぼほぼお任せしていました。松坂さんは何というか、本当に柔らかい人だなと思いました。今回は基本的には受け身の芝居が多かったと思うのですが、真ん中に松坂さんがいたので、太賀をはじめ、みんな自由に演じられたんだと思います。松坂さんってきっと、自分のことを特別な人だと一切思っていないんだと思います。

太賀も本当に好きです。印象的だったのは最終日かな。あるシーンを演出していた際、みんなの前ではなく、私にだけとあるアイデアの相談をしてくれて。それは採用しなかったのですが、こんなにいろいろと考えてくれているんだなと思いました」

Q.原作ものを監督する際、選ぶ基準はありますか。

今泉「一番の目的が観客を泣かせるようなお話は、私より面白くできる人がいると思うのでお断りしています。結局、その原作が映画になったときに面白くなった方がみんな幸せなので。自分が関わった方が面白くなるのかどうかで選んでいますね。ただ、私の興味や趣味趣向は知られているみたいで、ありがたいことに、したくない原作の映画化の話はあまり来ないですね」

Q.オリジナル作品のアイデアはどのように作られているのでしょうか。

今泉「答えの出ない悩みから映画にすることが多いかもしれません。ツイッターか何かで『2、3人で集まって話し合って答えが出るような悩みは映画にならない。大勢で話していて答えが出ないようなことは映画の題材になるよ』と聞いたことがあります。映画の中で答えを出したり、決着を付けたりするより、見終わった後、ああだこうだと話し合えるものを作りたいです」

映画「あの頃。」は2月19日から全国公開。

オトナンサー編集部

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