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井浦新“朔”のつらい過去を“聞かない”仲間たちが温かかった<にじいろカルテ>

  • 2021.2.12
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高畑充希主演のヒューマン医療ドラマ「にじいろカルテ」(毎週木曜夜9:00-9:54、テレビ朝日系)の第4話が、2月11日に放送された。いつも明るい外科医・朔(井浦新)が抱える悲しい過去の出来事を描いた今話は、連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK総合ほか)や「姉ちゃんの恋人」(フジテレビ系)などで知られる脚本家・岡田惠和のベテランの腕を見たような筋書きだった。(以下、ネタバレが含まれます)

【写真を見る】妻・沙織(佐々木希)を失い、憔悴しきった朔(井浦新)

つらい過去を吐き出すのは容易ではない

他人に知られたくない過去や秘密というのは誰にでもある。

自分の中で処理できていないことや、まだ話せる段階にないようなこと、放っておいてほしいことなど理由はさまざまであり、なんでもかんでも他人に言える人のほうが珍しいのではないか。

だが、テレビドラマというのはその部分を描き出すことによって、より登場人物像が明確になり、視聴者にとって分かりやすくなるため、本人の告白シーンや第三者の思い出話などによって明かされていくのが王道だ。しかし、放送中のドラマ「にじいろカルテ」では違った。

同ドラマは、ヒューマンドラマの名手・岡田惠和が脚本を担当。山奥深くの“虹ノ村”にぽつんとたたずむ診療所にやってきた一人のぽんこつドクター・紅野真空(高畑)と、ツナギでグラサン姿のヘンテコ外科医・浅黄朔(井浦)、そして前髪ぱっつんのキレキャラ看護師・蒼山太陽(北村匠海)がシェアハウスをしながら、診療所に訪れる村人たちと触れ合い、命と向き合っていく。

第4話では、外科医の朔がかつて愛する妻・沙織(佐々木希)を爆破事件で失っていたことが、朔の回想シーンとして描かれた。朔が抱えた悲しい心の傷を、自ら告白するシーンはなかったのである。

「言いたかったら言う」を待つ真空の優しさ

隣村のキャンプ場で土砂崩れが発生し、けが人の治療の優先順位を決めるトリアージを手伝ってほしいと依頼された朔と真空、太陽。朔の過去を知る村役場の職員・霧ケ谷(光石研)が出発前に「大丈夫…?」と心配するような場面はあったが、霧ケ谷は事情を知らぬ村の面々に「自分から言うときまでは絶対に言わない」と言い、ベラベラとしゃべることはなかった。

朔は、土砂崩れの現場でトラウマがよぎり少々声を荒げることはありつつも、テキパキと処置をこなした。真空と太陽は、朔が何かを抱えていると悟るが「言いたかったらこっちが聞かなくても言う性格だろうし」と、それ以上、詮索することはしなかった。

ドラマではなく実際の生活でも、大切な友人や仲間が涙を流しているとき、気付いているのに気付かぬ振りをすることが本人にとってありがたいことがある。話を聞いてあげることが優しさとなる場面もあれば、聞かないことが温かい場合もある。その絶妙な差を描いたのが今話だった。

登場人物がすぐに思いを吐き出せば、物語の展開は早い。しかし、「にじいろカルテ」の虹ノ村に流れる穏やかでゆっくりとした時間の中では、朔の過去を本人がまだ語ることはしないというのが、とてもマッチしていた。おしゃべりな仲間たちなのに、あえて“聞かない”。その選択に、脚本家の高等テクニックがあったように感じた。

次回、太陽の心の本音を描く

次週、第5話は2月18日(木)放送。虹ノ村に超人気バラエティー番組「ぽつんと診療所」がやってくると聞いて張り切る村人たちだが、真空は病のことや、この村にいることをまだ母親に伝えられていないとこぼす。そんな中、テレビクルーのカメラマンが足から血を流していることに、太陽が気付く。

一方、佐和子(水野久美)の家で朔の涙を見て以来、なにかつらい過去があるのだろう…と察しつつも、本人が言うまでなにも聞かないと決めた真空と太陽。

そんなある日、真空は、畑で作業をする朔を窓からじっと眺めながら何やら考える太陽を見かける。どこか寂しげな表情で「ちょっとうらやましいなぁ」と呟く太陽に、真空はその意味を測りかねる。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

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