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話題沸騰中の新SNS「Clubhouse」が向く人、向かない人

  • 2021.2.10
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音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」が話題を集めている。どんなユーザーが多いのか。SNSコンサルティング企業・ROCの坂本翔社長は「TwitterやInstagramのような若者が多い印象はなく、どちらかというと年齢層が高めでSNSをビジネスツールとして活用しているFacebookのユーザー層に近い」という——。

スマートフォン
※写真はイメージです
Clubhouseとは

日本で急激に流行しはじめた音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」。2020年4月にローンチされ、当初はシリコンバレーのベンチャーキャピタル界隈のごく限られた人が利用していたアプリでしたが、運営会社の大型資金調達をきっかけに、世界中で流行しています。

「room」というスペースを作成したり、そこに参加したりすることで、他のSNS同様フォローする/しないという仕組みはあるものの、フォローし合っていなくても簡単に会話ができる仕組みになっています。

また、現在はiPhoneのみで利用できるアプリです。

優越感、取り残され感…急激な流行の背景にある“感情”

急激に流行している背景には、「完全招待制」という点が大きく挙げられます。一人につき最初は2人まで招待できる枠があります。その後、「招待枠が増えた」という方もSNS上でよく見かけることを考えると、詳細なアルゴリズムは不明ですが、おそらくClubhouseへの貢献度によって、その枠が増えていることが考えられます。

具体的には、毎日一定時間視聴しているなどサービスの利用時間が長いユーザーや、頻繁にroomを立ち上げて発信しているなど、そのようなユーザーには2枠の招待枠を消費しても、追加で招待枠が配布されているようです(サービスの利用期間や招待数に応じて配布されるという説もあります)。

また、他のSNSのようにコンテンツが残らないため、「聞き逃すと二度と聞けない」という今だけ感があり、「FOMO(fear of missing out:取り残されることへの恐れ)」をうまく利用したマーケティングが成功していると言えます。

「招待された」という優越感から、SNSへの投稿ハードルも下がっている傾向があり、「招待してもらいました! ぜひフォローしてください!」というようなTwitterなど他のSNSでの投稿も、Clubhouseの拡散に寄与したと言えます。

コロナウイルスの感染拡大によるリモートワークの普及や外出規制により、人と接する機会が格段に減り、一人暮らし世帯だと、「丸一日一言も喋らなかった」という話もよく聞く時代になりました。このような社会的な背景も大きく影響しています。

アーリーアダプターの顔ぶれ、特徴、用途

筆者の周りで利用している人は、情報感度の高いIT業界の役員陣やVC界隈の方が多い印象ですが、すでに芸能人やYouTuberなども参入しており、テレビなどでは見れない組み合わせでの会話を直接聞けるのも魅力。

この「有名人や社会的地位のあるセレブたちの立ち話を、盗み聞きしているかのような設計」も、他のSNSとは違う大きな特徴だと言えます。

特に話題になっている有名人としては、メンタリストのDaiGoさんです。実際に以下のようなツイートを投稿されており、毎日のように配信をされています。

【開始3日で…】すっかりclubhouserとなったメンタリストがこちらです
多分、史上最も僕に向いているSNSだということがこの3日の分析で判明しました
(https://twitter.com/Mentalist_DaiGo/status/1356087851427880963)

Clubhouseでは、他のSNSのようにリンクを送ったりできないため、Twitterを同時に活用して、Twitter上で「今Clubhouseでこの話をしています」とツイートしています。それにより、うまくTwitterからClubhouseへの誘導もできているという、SNSを横断した効果的な活用法を実践されています。

初心者が気を付けたい3カ条

TwitterなどのSNS上で、Clubhouseに関する投稿をしているユーザーに、気軽に「招待してください」と声をかける方も多くいますが、Clubhouseの現在の仕様では、電話番号を電話帳に登録しているユーザーしか招待できないようになっているため、招待してもらうには、相手方に電話番号を教えることになります。

電話番号は重要な個人情報のため、その後の犯罪などに巻き込まれないとも限りません。他人に招待を依頼する場合は、十分に注意しましょう。

また発信者側になる場合、少し席を外す際などに、マイクのミュート忘れで、他の発信者の会話を邪魔してしまうような場合も見かけますので、こちらも注意が必要です。

音声の会話なので、なかなかボーダーラインが難しいとは思うのですが、利用規約上、わいせつな会話などはもちろん、録音やメモも禁止とされています。他のSNSのように、画像やテキストでコンテンツが残らないので、それをどう取り締まるかはわかりませんが、ユーザーが世界中で急激に増えているため、その辺りの規約も、今後のサービス規模に合わせて変更になっていくかもしれません。

どんな人に向いているSNSか

現状、TwitterやInstagramのような若者が多い印象はなく、どちらかというと年齢層が高めでSNSをビジネスツールとして活用しているFacebookのユーザー層に近いと感じています。

筆者の周りでも、もともとTwitterでしか繋がっていなかったフォロワーさんとClubhouseで初めて会話し、その後のやり取りでビジネスに繋がった事例もあります。

また、YouTubeなどを含めた他のSNSは、編集された世界観を提示するメディアである一方、Clubhouseは何の編集も、テレビのような時間の縛りもなく、有名人や社会的地位のある方の話す間なども含めた人間味をダイレクトに感じられる独特の世界観を持っています。そのような部分に共感をする人には、面白いと感じられるSNSかもしれません。

ノートパソコンとスマートフォン
※写真はイメージです
利用が向かない人

スマホでアプリを開いている間にroomに入って音声を聴けることはもちろんですが、アプリを閉じても音声が切れずに流れ続けるというアプリの優秀な仕様により、“ながらClubhouse”が可能です。

それによって、「仕事に集中できない」といった内容のツイートも見かけるためClubhouseが生活に影響を与えているヘビーユーザーも既にいるようです。

どのSNSもそうですが、適度な距離感で付き合えるようアプリを開く時間を決めるなど、工夫をして利用してください。

一過性のブームで終わるか、定着するか

Clubhouseという音声SNSがInstagramやTwitterのように一般に広く定着するかどうかについて、筆者のInstagramストーリーズ機能を使って1万2000人以上のフォロワーの皆さんにアンケートを取ってみました。

その結果、ClubhouseがInstagramやTwitterのように定着すると思う人47%、思わない人53%という結果となり、半数以上の方が定着はしないと予想しています。

個人的には、今後Clubhouseがどのようなユーザーを囲い込むかによると見ています。

例えば、世界的に有名なミュージシャンが、「リリース前の曲をClubhouseだけで公開する」となれば、一気にそのファン層がClubhouseに流れ込み、それをメディアも取り上げ、さらに利用者が増えるという流れになることは容易に想像できます。

少なくとも、既存のSNSのなにかと取って代わるということはなく、そのようなインタラクティブな別の場として、今後定着していく未来はあるかもしれません。

坂本 翔(さかもと・しょう)
株式会社ROC 代表取締役CEO
中小企業から上場企業まで、さまざまな業界でSNSプロモーション事業を展開する。SNSマーケティングを伝えるセミナーや企業内部のSNS研修、学生向け起業講演など、年間50本以上の講演をこなす。また、SNSに詳しいITジャーナリストとして、テレビや週刊誌などメディアでも活躍している。著書『Facebookを最強の営業ツールに変える本』『Instagramでビジネスを変える最強の思考法』(ともに技術評論社)は海外翻訳もされ、著書は国内外累計7万部を突破。他の著書に『SNSマーケティング見るだけノート』(宝島社)がある。

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