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仲野太賀、憧れの西川美和監督と築いた信頼関係「太賀くんは、どのお芝居を見てもうまい」

  • 2021.2.6
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『ディア・ドクター』(09)や『永い言い訳』(16)の西川美和監督が、初めて実在の人物をモデルにした原案小説をもとに描いた映画『すばらしき世界』(2月11日公開)の公開記念トークイベントが、2月5日に代官山蔦屋書店で開催され、本作に出演する仲野太賀と西川監督が登壇。念願の西川組の一員となった仲野が、西川監督と共に本作へかける想いやここだけの貴重なエピソードをたっぷりと語り合った。

【写真を見る】憧れの西川監督作品への参加を、感慨深く語っていた仲野太賀

直木賞作家である佐木隆三の小説「身分帳」を原案に、その舞台を約35年後の現代に置き換え、西川監督が徹底した取材で脚本と映画化に挑んだ本作。13年ぶりに出所し人生をやり直そうとする元殺人犯の三上(役所広司)をネタにしようと、若きテレビマンの津乃田(仲野太賀)と吉澤(長澤まさみ)がすり寄るが、彼らは逆にそこで思いもよらないものを目撃していく…。

【写真を見る】憧れの西川監督作品への参加を、感慨深く語っていた仲野太賀
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遂に来週公開を迎える本作だが、いまの心境を聞かれた西川監督は「原作小説に出会ったのが2015年だから6年目に入る。ようやく巣立ってくれるなと。子どもが成人していく感じ」だと吐露。主演を務める役所のキャスティングについては、「いよいよ第1稿を書くぞという時に原案の小説とは違う顔も欲しいなと。時代も約35年後になるし、別人格として作ったほうがいいなと思った時に俳優の顔が欲しいなと初めて考えた」と振り返る。「アテガキしたのは初めて」だとも話し、「ずっと憧れていた方だったので、これっていうのが書けたら役所さんにというのはあった。それでお願いをしてみたら『楽しみに第1稿待ってます』って」と回顧。さらに「役所さんがやってくれると頭に浮かべると、すごい脚本が書きやすくなりました。役所さんだから(笑)」と明かすと、仲野も「役所広司だもんなー(笑)」と笑顔を見せていた。

『すばらしき世界』公開記念トークイベントの様子
『すばらしき世界』公開記念トークイベントの様子

そして今回、念願の西川監督の映画作品への参加を果たした仲野は、オファーに「本当に信じられない気持ちでした。中学生の頃に西川監督の『ゆれる』を観て本当に衝撃だったんですよね。日本映画ってこんなにおもしろいんだっていう発見が当時すごくあって、そこから監督の作品は見ていたので」と明かす。さらに以前、西川監督がドラマを手掛けるという時に「どんな役でもいいので出させてください」とつなげてもらったという仲野。その時は「西川組の一員になれるかもしれないというワクワクと、これまでの役者人生を試されるという武者震いとで震えましたね」と、高校生だった当時を振り返る。オーディションもなく、現場でも話さなかったという仲野と西川監督だが「カメラから100メートルくらい離れたところで芝居しているのに、他の俳優と現場での居方が違うって覚えていることって滅多にないんだけど、その後もずっと覚えていたんですよね」と西川監督が告白。すると仲野も「100メートル先から、俺はここにいます!ってラブコール送ってたんでしょうね(笑)」と話し、会場を笑わせた。

終始、和やかな雰囲気で進んだトークイベント
終始、和やかな雰囲気で進んだトークイベント

そんな経緯もあって、仲野について「いつかきっと出てくる人だろうなと思っていた」と話す西川監督。そして「映画とかドラマとかで見かけるようになって、どのお芝居を見てもうまいなと思っていたので。太賀くんのなにが違うかというと、役者は見られる職業ですけど、彼は演出する側を見ている人。観察者の目を持っている気がした。今回はテレビのディレクター役で、観察者としての雰囲気を持っている人がいいだろうと」と仲野を抜擢した理由も明かす。仲野が初めて西川監督と話しにオフィスを訪ねた際には、この役をどう感じたかなどを話したといい、仲野から「『自信持っていいんじゃないですか』という雰囲気は受け取って…この男は頼りにしていこうって思った。人の懐に入るのがうまいんですよ(笑)。“妖怪ひとたらし”(笑)」だと語った。

また劇中の話に及び、役所と仲野のお風呂場のシーンでは役所に“前貼り”の付け方を教えてもらったという仲野。「毎回前貼りをするわけではなく何か月ぶりの前貼りって感じなので、技術がレベルアップしていかない」というなか、「役所さんが『松坂桃李さんは前張りのプロと言われてて、松坂さんに教えてもらったから俺は前貼りを知っている!』って(笑)」と、ここだけの貴重なエピソードを披露する一幕も。

西川美和監督も仲野太賀を絶賛!
西川美和監督も仲野太賀を絶賛!

また共演した長澤まさみとは、『50回目のファーストキス』(18)や『MOTHER マザー』(20)などたびたび共演している仲野。「強い縁を感じるし、すごい信頼を置いていただいてるなって自覚もあります。信頼関係のもといろんな役が無限にできるなと思っていて、長澤さんとの現場はすごく楽しいですね」と話し、「2人でいる時の波長って大事ですけど、それを長澤さんとはすごく感じるし、信頼というか化学反応というかいろんな組み合わせでやれたらいいなと思いますね」とも。

また改めて仲野の魅力を聞かれた西川監督は、「スタッフと俳優部の狭間にいるような雰囲気の人」だと表現し、「いつ来たのか分からない、悪い意味ではなく普通にいるんですよ(笑)。俳優って入ってきた瞬間に現場の空気が変わる。緊張感だったりで、俳優が帰るとフレンドリーな人でも力が抜けるんですけど、太賀くんは唯一それがない。空気が変わらない」と話すと、仲野も「ほかの俳優の方が入ってくると、俺もちょっとこわばるというか…(笑)」と自身でも納得している様子だった。

西川監督から贈られた写真集「All about Saul Leiter」を手に喜ぶ仲野太賀
西川監督から贈られた写真集「All about Saul Leiter」を手に喜ぶ仲野太賀

また想い出深いシーンについて西川監督は、「すべてのカットが大切だと思っているから優劣はないんですけど、福岡のバスに乗って役所さんと太賀くんが仲直りするシーンがあって、そこの2人の表情がすばらしい」と明かす。いっぽう仲野は「少年たちとサッカーをする直前のシーンで役所さんが歌を歌うシーンがあって、段取りの時から泣きそうになっちゃって…心揺さぶられるシーンが何度かありました。制御不能になるんですよね」と大先輩である役所の演技を絶賛していた。

最後に2月7日に28歳の誕生日を迎えたばかりの仲野に、西川監督とスタッフから写真集が2冊プレゼントされ、思いがけないプレゼントに仲野も喜びの笑顔を見せていた。

取材・文/富塚沙羅

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