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ゲーム中に『お決まりの一言』を言われた女性ストリーマー、コメ主への生反論に40万いいね

  • 2021.2.5
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人気ホラーゲーム『デッド・バイ・デイライト(Dead By Daylight)』をプレーする様子を実況配信していた海外の女性プレイヤーが、性的なコメントを投稿するリスナーに対し、真っ当な一言を投げかけたことが話題になっている。(フロントロウ編集部)

ゲームの女性ストリーマーが性差別コメントに反応

ライブストリーミング配信プラットフォームTwitch(ツイッチ)で、人気ホラーゲーム『Dead By Daylight(デッド・バイ・デイライト)』の配信をしている女性プレイヤーNegaoryxが、自身のライブ配信中、性的なコメントを投稿するリスナーに対し勇敢な対処をしたことが話題になっている。

声優兼ストリーマーであり、Twitchには11万人以上のフォロワーがいる彼女は、まさにそのセクハラが行われたときの動画をツイッターに投稿。「99%は無視してブロックするけど、1%はこうやって指摘する」というコメントともに掲載された動画は、現在40万近くのいいねを獲得し、称賛を集めている。

動画の中ではリスナーの1人がチャットで「やあ!今日のTバックの色は何色?」と聞き、それを読んだNegaoryxはせっかくの緊迫しているゲームプレイ中にため息を一つ。「女性を敬ってよ」と言った。

彼女は続けて「何を期待してたの?『青〜。え〜、なんで知りたかったの〜。はい、これが私の電話番号』とでも言うと思った?」と語りはじめると、すかさずそこに別のリスナーから「冗談も通じないのか?」という侮蔑のコメントが。

不適切な発言に反論されると、「冗談が通じないんだから」と議論をすり替えることはお決まりの反応。これにNegaoryxは、コメディアンのジョン・ムレイニーを例に出してこうお説教を始めた。

「想像できる?(コメディアンの)ジョン・ムレイニーがステージに上がって観客の女性を指差して『今日のブラジャーの色は何色?』聞き、彼女が『すみません、不適切です』と言う。するとジョンが『冗談が通じないな』と返す。でもこれってまだジョーク言ってないよね?あなたがアホなことを言っただけ。

Mike Birbiglia: I’m Joking(マイク・バービグリアの冗談だよ)と検索してみて。彼の(スタンドアップコメディショーの)中ですごく良いパートがあるの。彼は、最低で女性蔑視なことを言って、それを指摘された時に『冗談だよ』って言うあなたのような人のせいでジョークは台無しにされたって言ってるの。そういう人のせいで『もう職場じゃ冗談言えないな』ってなるわけ。これは違う。他の私たちは冗談を言い続けられるべき。あなたはダメ。だって元々冗談じゃなかったから。女性蔑視で性差別的なクソ野郎だっただけだから。しかもあなたはそう言われるのも嫌がる。だってそれって、自分の前に鏡を置かれたということで、それが気まずすぎるから。なぜなら、あなたは自分自身のことをわかっているから。

自分には良い部分があることを知っているから、自分の嫌な部分と向き合いなさいと誰かに言われると、(傷つかないために)自分なりの物語を作り上げなくてはいけなくなる。私が『それは冗談じゃない』と言うのはつまり、もっと良い人間になるために責任を持ちなさいと言っているということ。なぜなら、今のあなたはそうじゃないから。あなたは自分が自分自身の物語のヒーローだと思っているかもしれないけれど、他のみんなにとってあなたは些細な事柄なの」

そうまとめたNegaoryxは、疲れたようにまたため息をついて「ビール飲まなきゃ」とひとこと。

Negaoryxがアップしたツイートのコメント欄には、この一連の事件を知ったマイク・バービグリア本人が現れ、「この動画が好きだ。ネタにされたことを光栄に思うよ」と称賛。ちなみに、彼女がお説教の中で挙げたマイクのパフォーマンスはNetflixにある『マイク・バービグリアのジョークの神様、ありがとう!』という動画で見ることができる。

女性差別が色濃く残るゲーム業界

ゲーム業界は性別による差別がいまだ色濃く残っている。特に、2016年以降に発生した「ゲーマーゲート問題」は有名な話。

画像1: 女性差別が色濃く残るゲーム業界

ゲーマーゲート問題というのは、ゲーム業界における女性への偏見や差別、ハラスメント、脅迫、さらに殺人予告などをはじめ、さまざまな問題を含んでおり、ネット上での執拗な脅迫によって家を離れるほかなくなった女性までいる事件。

ゲーマーゲートの支持者の多くは、男女の平等な権利を支持するフェミニズムがコンピュータゲーム文化に悪影響を及ぼすと反対しており、女性嫌悪と共に、業界の女性を激しく糾弾している。

画像2: 女性差別が色濃く残るゲーム業界

議論がヒートアップしていた頃には、実績のある女性プレイヤーが「尻軽女」と罵られたり、生活を晒されたりと、時には命までもを脅かす危険と隣り合わせだったけれど、2021年となった現在でも、大小問わず女性蔑視による事件は無くならない。

ちなみにゲームの内容そのものは年々変化を続けており、白人男性以外の人種、性別のキャラクターが主人公として活躍したり、様々なセクシュアリティの恋愛描写が取り入れられたりと多様性やポリティカル・コレクトネス(※)を意識した作品が続々と発売されている。

※性別や人種、民族、宗教、セクシュアリティなどに基づく偏見や差別を含まない言動のこと。

例えば、2018年発売の『デトロイト ビカム ヒューマン』では、黒人タイプのアンドロイドが主人公の1人だったり、2020年発売の『アサシン クリード ヴァルハラ』では同性同士のロマンスが描かれたりし、『サイバーパンク2077』や『フォールアウト』シリーズ、『スカイリム』シリーズなどのオープンワールドRPGは、主人公の肌の色からセクシュアリティまで好きに選んで自由に行動できる。

さらに、2020年のゲーム・オブ・ザ・イヤーを獲得した『The Last of Us Part II』は、視覚障がいのあるプレイヤーのためのアクセシビリティオプションが搭載され、全盲のゲーマーも他人のアシストなしでクリアできるようになった。

一方で『The Last of Us Part II』は、戦う女性の肉体がリアルに描かれていたり、第1作目で男性が主人公だったのが第2作目で女性が主人公になったり、同性同士の性愛描写が多かった点などが、一部のプレイヤーからの反感を買い、開発元の不買宣言などをはじめ、大炎上する結果に。

米Newzooによると、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、家にいる時間が増えた今、家庭用ゲームプレイ時間や新規プレイヤー人口は増加傾向にあるという。

そのプレイヤーは必ずしも男性ではなく、性別も、人種も、セクシュアリティも人それぞれ。誰もが楽しめるべきであるゲームというフィールドが、すべての人にとって安全な場所になるにはどうすればいいか、今一度考えることが、ゲーム業界にも参加者にも求められている。(フロントロウ編集部)

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