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女性が会議で話せない、『ウォーキング・デッド』ボスの“対応”がわきまえてる

  • 2021.2.4
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『ウォーキング・デッド』などを手掛けてきたプロデューサーが、会議で女性が発言できない環境であることに気がついた時にとった行動に拍手喝采。(フロントロウ編集部)

いろいろな脚本家を起用したいのに…

ドラマ『ウォーキング・デッド』や『ザ・シールド ルール無用の警察バッジ』のプロデューサーや脚本家を務めてきたグレン・マザラは、雇用する脚本家として女性や黒人をしっかりと起用する姿勢で知られる。

その意識を持つようになったきっかけは、2002年から2006年までドラマ『ザ・シールド ルール無用の警察バッジ』のプロデューサーを務めた時に、「脚本家室を見回した時、それはほとんど白人の、中年の男性だった。なのに私たちは、非常に多様性のあるキャストたちについて書いていた」と、気づきがあったことだと米Yahooのインタビューで明かす。そこで、黒人や女性の脚本家を増やそうとしたグレンは、社会の構造的な差別を痛感したという。

画像: いろいろな脚本家を起用したいのに…

「私が驚いたのは、エージェントに連絡を取った時に、人々は私が(多様性を生み出そうと表面上)取り繕おうとしていて誠実でないのではと思ったことについてです。雇用者の立場から見て、今のシステムは、白人男性を受け入れ、育て、構造の中にいつづけさせるために仕組まれたものだと分かり始めました。そのコースに他の人々を取り入れることや、成功させるためのツールを与えることは非常に困難でした。システムだけでなく、脚本家室の中でさえも反発があるのですから」

さらにグレンは、たった1人の黒人や女性を雇ってみて、上手くいかなかったとし、自分たちの良い環境を守ろうとする上層部も多いと指摘する。

「ハリウッドでは、ショーランナーたちが『黒人の脚本家は欲しくない。1人いたことがあるけど、上手くいかなかった』と言うことが多々あります。強い女性の視点を表現するために女性を1人雇おう。(その後)なぜ彼女は全員の視点を描けないんだ?ってね。こういったものは正される必要が、変わる必要がある。自分たちの経験を持つ人々が多くいるのは、状況をより良くします。(作品の)ネタも良くなる。(一部の人にとって)不利な状況で回すのは正しいことはではない」

グレン・マザラの反省

グレンはそういった業界のなかでも行動を続け、彼の元には様々な脚本家が集まった。しかし今度は、現場で問題が起こったという。

「みんなテーブルの周りに座っていて、(会話への)参加は自由でした。みんなでアイディアを出し合って、脚本家たちも参加しては、アイディアを共有したがった。数日してから、女性たちがこう伝えてきました。『私たちがアイディアを話そうとしたら何が起こるか見ててください』と。彼女たちが話そうとすると、毎回、誰かが割り込んだり、彼女たちのアイディアを盗んだり、アイディアを曲げようとしました。私もこれの共犯だったと言えます。なぜなら、男性としての私の耳は、割り込みをした男性のほうに耳を傾けていたのですから。私は、自分の行動には直さなくてはいけない点があることに気がつきました」

画像: グレン・マザラの反省

女性たちがグレンに問題を伝えたということは、それだけ信頼があったということ。そしてそれでも、自分の態度への反省を忘れないグレンには、ボスのあるべき姿を見ることができる。その一件の後、グレンは脚本家室において“割り込み禁止”のルールを決め、まずは1人の意見を聞き、その後で意見交換を行なうことにしたそう。

さらにこの経験の後、グレンがプロデューサーと脚本を務め、2015年から2016年にかけて放送されたドラマ『Damien(原題)』では、脚本家たちの男女比を50:50にすることは最優先事項だったという。

女性は会議で発言できない

女性が会議において発言できない、発言しても話を遮られるというのは、長年問題になっている。アメリカのブリガム・ヤング大学とプリンストン大学の2012年の研究によると、会議において、75%は男性が発言し、女性の発言は25%になっているという。

米LeanInとマッキンゼーによる2019年の調査では、会議で女性の発言が遮られることは50%にのぼり、38%の女性がそのアイディアを他の人のものとされた経験がある。そして、2017年のジョージ・ワシントン大学の調査によると、そういった事例における96%近くが、男性が女性の発言を遮っていた。

世界中で多くの女性が男性によって話を遮られる経験を明かしており、Man(男性)とInterrupt(遮る)を組み合わせた言葉であるManterrupting(マンタラプティング)という言葉もある。

また、仕事場において、競争心や積極性などの俗に“男らしい“と言われる姿勢が求められる一方で、女性であれば、優しさや穏やかさといった俗に言う“女らしい“姿勢が求められるといった、2つの対立する要素の間で板挟みになることは「ダブルバインド」と呼ばれ、女性はこの状態になることが多い。女性が男らしさを身につければ、偉そうと言われることもある。

“男らしく”会議で発言しても、“女らしく”会議で話せなくても、困難に直面する女性。その環境を変えるのは、力を持つ立場である自分だとして行動をしていったグレンの行動からは、意見交換そのものは重要であること、指揮を執る人物の行動次第で組織は変わること、責任は押しつけるものではなく、取るものであることが理解できる。

(フロントロウ編集部)

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