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大学の学費を使ってヨーロッパ旅!? 奈良美智が“画家になるまで”を振り返る

  • 2021.2.4
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放送作家の高須光聖が、世の中をもっと面白くするためにゲストと空想し、勝手に企画を提案していくTOKYO FMの番組「空想メディア」。2020年12月20日(日)の放送では、画家・奈良美智さんが登場しました。

(左から)奈良美智さん、高須光聖

◆学生時代はスポーツ少年!?

高須:子どもの頃から絵を描くのは好きだったんですか?

奈良:“描かせるとうまい”っていうレベルでしたね。好きってほどではありませんでした。

高須:どんな少年時代だったんですか?

奈良:いつも美大を目指している高校生とか美大生に呼ばれたりするんだけど、何を話したらいいのかわからなかったんですよね(笑)。大抵そういう人たちって、画家だったり彫刻家だったり、そういった芸術系を目指すために絵の勉強をしているわけです。だけど僕は、そういったことを考えたことがなかったんですよ。中学生の頃は柔道部でした(笑)。

高須:柔道部だったんですか!?

奈良:「柔道一直線」(少年画報社)っていう漫画の影響を受けて。だけど、感性自体は女性的と言いますか“野に咲く花が綺麗だな”と思っていたので、それが嫌で嫌で仕方がありませんでした。もっと男らしさというか、汗水たらす感じを目指したかったんです(笑)。

高須:真逆になりたいがために、柔道の道を選んだんですね(笑)。

奈良:高校も柔道部に行こうと思って、入学式のあとに体験入部に参加したんですよ。そうしたら、(上級生が)新入生を絞め技で落としたんですよ。その部にとっての伝統のようなものだったんでしょうね。それで嫌になってしまって部室を出てしまいました。そうしたら次に見つけたのがラグビー部だったんですね(笑)。

高須:また男臭いですね(笑)。ラグビーではどうでした?

奈良:県内ではいつもベスト8に入っていましたね。

高須:すごいじゃないですか!

奈良:ラグビーはすごく楽しかったですね。元々、走るのが好きだったからっていうのもあったんでしょうね。

高須:絵も描けて走るのも速かったら、学生時代はモテたんじゃないですか?

奈良:その頃は、自分が絵を描けることを周りは知らなかったんです。ところが、学校の文化祭で、ねぶた祭りで出てくるような灯篭を作ることになったんですよ。それで、クラスで「誰が絵を描く?」っていう話になったときに、小学生のときの同級生が「奈良は絵がうまかった」って急に言い出したんですよ(笑)。

高須:(笑)。

奈良:それで自分が絵を描くことになって、絵葉書サイズぐらいの大きさで、中国の女性が踊っているような絵を渡されたんですね。その絵を習字の筆を使って、2メートル以上の大きさで描いたんですよ。そうしたら……うまく描けちゃったんです(笑)。そのときに“自分って絵がうまいのか”って自覚しました。その経験があって、進路を考えるときに“美大という選択肢があるのか”と思うようになったんです。

◆学費を使ってヨーロッパ旅を決意

奈良:美大に行って気付いたのは、「自分なんかよりも絵がうまい人がたくさんいるな」ってことでした。こんなに“天才”がいるんだって驚きましたよ。

高須:全国の美大には、もっとすごい才能を持った人たちがいるかもしれないですしね。

奈良:そんなことを考えるようになってからは、学校がつまらないと感じてしまうようになりました(笑)。大学1年の終わり、もうすぐ20歳になるって頃に“このまま2年生になるのもな……”と考えた結果、2年生の学費を使ってヨーロッパに行くことを決意しました。

高須:すごい! 身軽ですね。

奈良:2月にヨーロッパに行って、5月の連休明けに戻ってきましたね。そうしたら、学費は払えない。それに、親に話すこともできない。それで中退することになって、途中からは愛知の国公立の大学に行きました。

高須:そうだったんですね。

奈良:でも、ヨーロッパに行ったことで人との出会いとか旅が好きになりました。あと、ヨーロッパだと素晴らしい美術品がいっぱいあるわけじゃないですか。それらを観たことで、天才だと思っていた周りの人たちに対しても、捉え方が変わったんですよ。“うまいけれど、自分らしさというものがないな”って思うようになったりして。

高須:絵を見る目と感覚が、ヨーロッパを旅したことで変化したんですね。すごい。

奈良:それで、愛知の学校に行ってから美術に目覚めたかって言うと……まだ目覚めていないんですよね(笑)。

高須:そろそろ奈良さんの力を見せてくださいよ(笑)。その頃はどんな絵を描いていたんですか?

奈良:当時は松田聖子が流行っていて、あの子の顔ばかり描いていましたね(笑)。学校では月に1度ぐらい、日頃の成果を発表する講評会あったんです。みんなはいろんな絵を描いているなか、自分は松田聖子や中森明菜の絵をたくさん並べて、場を濁していました(笑)。

高須:何をやっているんですか(笑)。

奈良:とはいえ、“人と違うことをやりたい”という意思はあったんですよね。

高須:なるほど。そういった絵を発表する人はほかにいないと。

奈良:先生たちからは、才能があるっていうよりも“変わった生徒”だという目線で、気にかけてもらっていましたね。

◆ドイツ留学で学んだこと

奈良:大学4年のときに、友達から「予備校の先生をやってくれないか?」って誘いがあって、美術の予備校の先生をやることになるんだけれど、生徒たちは自分のことを初対面から「先生」と言ってくれるし、なにか教えると、みんなは目を輝かせて聞いてくれるわけです。そして、教えることによって、自分のなかで気付くこともありました。

高須:気付きが多かった時期だったということですね。

奈良:そうですね。いつのまにか絵がすごくうまくなっちゃいました。あるとき、生徒たちに「将来は何になりたい?」って聞いたんですよ。そうしたら「先生みたいになりたい」って言ってくれた子がいたんです。そのときに“本当に美術を勉強すべきなのは俺なんじゃないのか?”って思ったんですね。

高須:なるほど。

奈良:大学院時代にも予備校で絵を教えていたのですが、そのときに“どんな絵が描きたいのか”ということを真剣に考えるようになりました。

高須:教える予備校が、気付けば“教わる予備校”になっていたんですね。

奈良:そうそう。大学院を卒業したあとも“学校に行きたい”と思ったので、ドイツの学校に入学しました。ドイツでは多くのことを学べましたね。

高須:そこで体験したもので、今だと何が1番活かされています?

奈良:人としての在り方です。絵、文章、音楽といった表現活動を介した“現実に対する向き合い方”をドイツ人から教わりました。

高須:ドイツでの経験は、人格が一気に変わる出来事だったんですね。

奈良:携帯もネットもない時代でしたけれど、ドイツに滞在中は予備校の生徒たちからたくさん手紙が届きました。それを読んでいると退屈しませんでしたし、何より“彼らの見本になりたい”という思いがありましたね。

高須:奈良さんは周りから愛されるタイプなんですね。やっぱり、本物の芸術をたくさん観ると、人って変わっていきますか?

奈良:そうですね。“本当の自分を探してみよう”という気持ちが湧き上がってくると思います。

<番組概要>

番組名:空想メディア

放送日時:毎週日曜 25:00~25:29

パーソナリティ:高須光聖

番組公式Facebook:https://www.facebook.com/QUUSOOMEDIA/

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