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鬼は外!福は内!節分の豆まき、いった「大豆」を使う理由とは?

  • 2021.2.2
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豆まきはなぜ大豆?
豆まきはなぜ大豆?

2月2日は節分です。節分になると各家庭などで「鬼は外! 福は内!」と言って、豆まきをするのが恒例となっていますが、この豆まきの豆は「大豆」をいったものを使うのが一般的です。日本には小豆など他にも多数の豆が存在しますが、なぜ、豆まきには大豆を使うのでしょうか。和文化研究家で日本礼法教授の齊木由香さんに聞きました。

「毘沙門天のお告げ」言い伝えも

Q.そもそも、節分に豆まきをするのはなぜでしょうか。

齊木さん「節分に豆まきをするのは、季節の変わり目の邪気を払い、新しい年の福を願うためです。もともと、節分は『せちわかれ』とも呼ばれ、二十四節気の立春、立夏、立秋、立冬の前日の意味であり、季節の分かれ目を表す言葉でした。昔から、季節の変わり目には邪気が生じるといわれ、その邪気を払うために始まった平安時代の宮中行事が豆まきのルーツとされています。

また、立春の前日は旧暦で大みそかに当たるため、江戸時代以降は『節分』と言えば立春の前日をさすようになり、広く普及していきました。古くから、豆には生命力と魔よけの力があるとされ、新年(立春)が始まる前の日(節分)には、豆まきを行うことで邪気(鬼)を追い払い、新しい年の無病息災を祈りました」

Q.節分の豆まきの豆として一般的なものは、大豆をいったものです。なぜ、豆まきに使う豆は大豆なのでしょうか。

齊木さん「日本には古来、米や麦、粟(あわ)、黍(きび)または稗(ひえ)、豆といった『五穀』を精霊(しょうりょう)が宿るものとして大切にする考え方が存在します。かつての豆まきでは、こうした五穀も使われていましたが、大豆が主流になったのは古来、厄落としをはじめ、疫病、風邪、物もらいなどの病よけのまじないに多く使用されてきたからです。

また、昔、京都の鞍馬山に鬼が出たとき、毘沙門天さまが『鬼の目に大豆を投げつけなさい』というお告げをして、見事に鬼を退治できたという話が言い伝えられています。こうしたことから、悪霊や邪気を払うのに大豆が最適とされ、大豆で豆まきをすることで、病気や災害の象徴である鬼を打ち払うようになりました」

Q.大豆でもそのままではなく、必ず“いった”大豆を豆まきに使います。なぜでしょうか。

齊木さん「豆まきで生の豆をまいて、そのままにしたり、拾い忘れたりすると豆から芽が出てくる可能性があります。芽が出ることは『邪気が芽を出す』として縁起が悪いとされており、芽が出ないように必ずいった豆を用いるのです。また、大豆に火を加えると大豆がより硬くなることから、鬼にぶつけて退治するのに都合がよいとされたことも理由です。最後に、人間が年齢の数(地域によっては年齢の数より1つ多く)食べることで鬼をすっかり退治できるとされてきました。

さらに、必ずいった豆をまくことについては『豆=魔(ま)を滅(め)する』という意味や、『豆をいる=魔の目を射(い)る』という語呂合わせから、鬼の目を射って、鬼(邪気)を追い払うという意味が込められています」

Q.大豆以外の豆を豆まきに使う地域もあるのでしょうか。

齊木さん「地域や風習によって、大豆以外の豆を使う場合もあります。例えば、1960年ごろから、北海道や東北地方では大豆ではなく、落花生がまかれるようになりました。落花生の産地である宮崎県や鹿児島県の一部でも落花生をまく地域があります。

また、豆以外にも、お菓子や餅、お金を一緒にまくところもあります。お菓子や餅をまくのは『福を配る』という意味が込められています。お金をまくのは厄よけの意味合いが強く、交差点や電柱など人目のつく場所にお金をまくことで自分の厄を追い払い、そのお金を拾った人に厄を渡すことができると信じられてきました」

Q.最近は「掃除が大変」などの理由で、豆まきを行わない家庭も増えているようです。豆まきは思いっきり豆をまかないと意味がないのでしょうか。数十粒程度の大豆で小規模に豆まきをするのでは意味がないのでしょうか。

齊木さん「豆まきは季節の行事として、現在も続いています。しかし、地域や家庭によってそれぞれのやり方があり、『正式な豆まきのやり方』というのはありません。典型的なやり方としては、窓や扉を開け外に向けて『鬼は外』と豆をまき、鬼が入ってこないように戸を閉めて家に向かって『福は内』と室内にまきますが、思いっきり豆をまかないと意味がないというわけではありません。

『邪気を払い、福を願う』という気持ちがあれば、小規模に豆まきをしても十分意味はあります。伝統行事とはいえ、住宅事情に合わせてアレンジしても構わないと考えます。例えば、小さな子どもがいる家庭では、豆が散らかるのを防ぐために袋に小分けにした豆を使う方法もあれば、ひとつまみラップにくるんでまいてもよいでしょう。掃除が簡単で、豆を無駄にせずに食べられ、衛生的にもおすすめです」

オトナンサー編集部

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