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ビヨンセ、リアーナ、ゼンデイヤ…、セレブの発言の背景には「黒人の歴史」がある【黒人歴史月間】

  • 2021.2.1
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黒人コミュニティはどんな問題に直面しているの? どんな歴史があるの? 黒人シンガーや黒人俳優の言葉には、こんな背景があった。(フロントロウ編集部)

黒人やアフリカは差別されてきた

毎年2月は、アメリカで黒人歴史月間。2020年に黒人コミュニティがある世界各地で大規模発生した黒人の人権運動Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)は記憶に新しい。しかし黒人差別は、非常に長い歴史を持っている。

イギリスの植民地であったアメリカでは、白人がネイティブ・アメリカンを迫害し、その後、アフリカから連れてこられた黒人を奴隷とした。アメリカに初めて黒人奴隷が連れてこられたのは、1619年のこと。また、アフリカの国々は20世紀初頭に、エチオピアとリベリアを除くほぼすべての地域が、イギリスやフランスなどのヨーロッパ各国の植民地支配下に置かれた。

ドラマ『ウォーキング・デッド』や映画『ブラックパンサー』などで知られ、イギリスの植民地だったジンバブエで育ったダナイ・グリラは、植民地化ということについて、こう語っている。

画像: 黒人やアフリカは差別されてきた

「私たちの伝統のどのような力を、私たちはまだ持っているのか?そして植民地化されたから保っているものは何か? 私たちが乗っ取られ、自分たちの時間で自分たちの方法で発展できなかったということに関して、そこには大きな割れ目があります」

そしてアメリカでは現在でも、警官によって殺害される割合、貧困層の割合は黒人に多く、様々な形の深刻な差別は続いている。

拒否されてきたアフリカ系アメリカ人

アメリカで育ったアフリカ系アメリカ人は、当然のことながらアメリカ人。その人口は、約4,400万人となっている。

1つの国には様々な人種や移民、民族集団など様々なグループが存在し、各グループはその土地に住む代わりに文化に馴染むことを求められたり、はたまた自らひっそりと暮らす代わりに独自の法を認められたりしてきた。

しかしアフリカ系アメリカ人はアメリカ人であり、国に馴染むも何もない。にもかわらず、黒人は“正当なアメリカ人”とは認められてこなかったため、人種による分離の廃止を訴え、国民となるための権利を求める公民権運動や、逆に、白人と距離を置こうとするブラック・ナショナリズムが発生してきた。

2020年5月に、白人警官によって黒人であるジョージ・フロイド氏が殺され、各地でプロテストが起こった。46歳の黒人男性が過激な抗議を行なおうとしたところを、31歳の黒人男性が制止。そして16歳の少年に、人種差別に立ち向かうために、自分たちの世代では見いだせなかったもっと良い抗議の方法を見つけろと諭した。

差別のせいで、アフリカ系アメリカ人の間でも対立が生まれてしまう。しかし現在ではそれを乗り越え、どうにか社会を良くしようと多くの人々が手を取りあっている。全米有色人地位向上協会(NAACP)主催の第51回NAACPイメージ・アワードで、シンガーのリアーナはこうスピーチしている。

画像: 拒否されてきたアフリカ系アメリカ人

「私が学んだことがあるとすれば、私たちは一致団結しないと世界を修復することができないということ。分裂していてはできない。これはいくら強調しても足りないくらいです」

警察による黒人殺害

しかし2020年になってもなお、警官による黒人の殺害は起こっている。また、加害者である警官が逮捕されていないケースも多い。ビヨンセは、2020年にリリースした自身の楽曲「ブラック・パレード(Black Prade)」の中で、このように綴っている。

「黒人であること。彼らがいつも怒ってるのは、それが理由なのかもしれない。そう。彼らはいつでも怒ってる」

アメリカにおいて、警官による黒人の殺害は何十年と問題になってきており、黒人監督のスパイク・リーは、32年に公開された映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』で、そのようなシーンを描いている。そしてビヨンセは、2016年にもオープンレターでこのようなメッセージを伝えていた。

「私たちは哀れみを必要としてるわけではありません。すべての人に、私たちの命や人生に敬意を払ってもらう必要があるのです」

黒人にも様々な人がいる

「黒人」と聞くと、どのような人を想像するだろうか? ギャング、犯罪者、スポーツ選手などだろうか。もちろん現実に、そういった黒人はいるけれど、同じようにそういった白人やその他の人種も大勢いるし、黒人でもそうでない人も大勢いる。しかしメディアで描かれる時、黒人はとくにそういった偏った人物像ばかり描かれていないだろうか?

映画『オールド・ガード』や『星の王子 ニューヨークへ行く2』のキキ・レインは、メディアが人種や性別によって偏った人物像ばかりを描くことの問題点をこう指摘する。

画像: 黒人にも様々な人がいる

「メディアでどう人々が表現されているかを見るのは、総合的に重要ですよ。同じタイプの黒人だけが描かれているのを見てきた人が、実際に黒人に会ったらどうなると思いますか?その人たちは黒人がどのようなものかって、どう予想すると思いますか?」

事実、黒人のこのようなイメージを利用し、さらに事実無根のまま加速させる人たちがおり、自分が犯した殺人を隠すために“疑われやすい”黒人に罪をきせようとしたり、黒人に脅されたと虚偽の通報をしたりといった事件は、数えきれないほど確認されてきた。

「黒人」「女性」に降りかかる問題

黒人が警官に殺されていることを知っている人は多いけれど、その被害者には、多くの女性もいることを知っている人はいるだろうか? なぜ黒人女性の存在は、スルーされてしまうのだろうか?

黒人女性は、黒人差別も女性差別も経験することになる。過去に、1人の黒人女性がある自動車工場の仕事に採用されず、そこに差別があるとして訴えを起こしたのだけれど、訴えは棄却された。

なぜなら、その自動車工場では工場業務などでアフリカ系アメリカ人の“男性”は採用されており、秘書や受付では“白人”女性が採用されていたから。

様々な差別は交差しているという考え方を示すインターセクショナリティという言葉は、法学者のキンバリー・ウィリアムズ・クレンショー氏によって使われ始め、今では重要なものとなっている。現在では、フェミニズムも黒人に対する人種差別も、大きなテーマとなっている。しかし、“黒人女性”の問題に光を当てたり、“黒人女性”のためにエンパワーメントをしたりすることも、現時点では大事。

画像: 「黒人」「女性」に降りかかる問題

フェミニズムソングを数多く世に送り出してきたビヨンセは、黒人の少女たちへむけた楽曲も発表しており、「ブラウン・スキン・ガール(Brown Skin Girl)」では、とくに黒人女性の道を切り開いた女性たちを称えた。

「ナオミが来た時は、トロフィーのようなポーズを取るの
あの可愛いダークな肌は、オスカーを取る必要がある
カメラのクローズアップでは、ルピタのように可愛らしく
ケリーが流れれば、壊れた堤防から溢れる
今夜彼女は髪を編み込むと思う
彼女を侮辱するにはメラニンがダークすぎるね
彼女は自分のことに集中しながら、腰をくねらせてる
24金みたいにゴールドなんだから、オーケー」

※ナオミは、黒人モデルとして一世を風靡したナオミ・キャンベルのこと。ルピタは、『それでも夜は明ける』でアカデミー賞助演女優賞を受賞したルピタ・ニョンゴのこと。ケリーは、デスティニーズ・チャイルドのメンバーであるケリー・ローランドのこと。

肌は美“白”が美しい?

白人優位社会は、美意識にも大きな影響を与えている。

多くの化粧品は、「美白」を美しいこととして扱っている。その影響はもちろん黒人コミュニティに、とくに黒人女性に大きな影響を与えており、英BBCの取材によると、違法な薬品をも含む美白商品を使う黒人女性たちは少なくないという。

さらに、美白が良いとされることで、黒人同士でも肌色の濃淡で差別しあう「Colorism(カラーリズム)」という状況が発生している。この悲しい差別について、黒人の父と白人の母を持つ俳優のゼンデイヤはこんなコメントを残している。

画像: 肌は美“白”が美しい?

「(黒人のなかでは肌が明るめの)私は、ハリウッドが受け入れるバージョンの黒人女性です。そしてそれは変わる必要がある。それだけが描かれるには、私たちは美しすぎるし、興味深すぎる」

アフロは黒人のナチュラルヘア

また、黒人のナチュラルヘアであるアフロや、それをまとめた編み込みやドレッドは、職場には適さないとしてストレートヘアにしなくてはいけないことがある。

『ブラックパンサー』でナキアを演じ、『それでも夜は明ける』でアカデミー賞助演女優賞を受賞したルピタ・ニョンゴは、米Graziaの表紙で、なんと髪の毛の一部を編集で取り除かれた。当時、「人々の間にある美しい髪はどのようなものかというイメージにフィットするようにされた」と怒りをあらわにしたルピタは、自分が持って生まれた肌や髪について、こう話している。

画像: アフロは黒人のナチュラルヘア

「私は、自分が受け継いでいるものを大切にしています。明るい肌の色や真っ直ぐで艶やかな髪が美の基準だと思って育ってきたとはいえ、今は、私のダークな肌や縮れて巻かれた髪もまた美しいことを知っています」

歴史的に、そして無意識に、自分たちの意識にある黒人差別。様々な立場の人々が、それぞれのやり方で個々人を、そして社会を変えていく必要がある。(フロントロウ編集部)

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