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40歳で産休、50歳を前に部長に。そこから介護と育児が同時にやってきた話

  • 2021.2.1
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本連載『覆面姉さんのワサビトーク』は、酸いも甘いも噛み分けたDRESSのお姉さん世代の働く女性たちが、仕事やキャリア、結婚、出産・子育て、離婚などの女性が対面する問題を、自身の体験を交えて匿名でコラム化したものです。第六回では、仕事・育児・介護が同時にのしかかってきたS子さんが考えた、自分の人生を守る知恵について。


「家事、育児、介護……すべて自分の手でしなければ、いい母親ではない」。そんな固定観念はもう過去のもの。自力で取り組む部分と外注に頼る部分ーー上手く切り分けることで、自分自身が心身ともに健康な状態で、仕事も育児も介護もやっていける。そんな事例を紹介します。

皆さま、はじめまして。メーカーで営業職として30年勤めるS子と申します。既婚で中学1年生の男の子がひとりいます。

大学で英文科を出たこともあり、入社時は海水淡水化の膜を海外へ販売する部署に配属されました。その実、大学では、体育会の馬術部だったため、営業に配属されたのは「体力採用」だったのではと思います。30年前というと男女雇用均等の前で、我々大卒女子は、準専門職という枠で入社しました。

海水淡水化膜の営業を皮切りに、当時市販したばかりの家庭用浄水器の部署に移って16年。38歳で課長になりました。その後、結婚8年目に子どもを授かり、40歳で産休、育休を取得。人事部によると、現役女性管理職で本人が産休をとった初めての例だったらしく、組合員向けにしかマニュアルがなかった当時、管理職の場合はどうなるのかずいぶん慌てたそう(笑)。

産休を10カ月で切り上げて、復職と同時に極細繊維の部署に異動。50歳を前に同部部長になり、昨春、以前担当していた浄水器の部署に営業部長として戻ってきました。
子どもが小さかった頃は、両親が遠くに住んでいて協力をお願いできなかったため、外注をフル活用しながら、毎日タフな日々を送っていたのを思い出します。仕事も容赦なく忙しく、子どもは2週間に一度熱を出し、保育園からの引き取り電話もしょっちゅうでした。

■月20万は大きな出費でも「期間限定・必要経費」

そんな私の外注作戦は、保育園の延長保育のみならず、ベビーシッターさんを3名雇い、曜日別にシフト組みというもの。自宅の掃除も手が回らなかったため、家事支援も週に二度入っていただきました。

さらに、子どもが病気になると、保育園には預けられないのでシッターさんに1日中見ていただくことになります。子どもが病気で2〜3日休むと相当な出費でした。当時は月に20万円ほどの費用がかかり、正直なところ、持ち出しすれすれでした。

20万円も使いながら私は何を守っていたのか? それは、自分自身の健康です。管理職として、母として、妻としての私が倒れたら、どれだけ周囲に迷惑をかけることになるか……。そう考えると、20万円で安心して子どもを任せられ、イライラせず、体も壊さず、家もキレイであることは、十分に価値があります。一生続く出費ではないため、働き続けるための必要経費と考えました。

■自分たちで巻き取る部分、外注化する部分をクリアに線引きする

母の介護が始まったのは、子どもが小学5年生になった頃のこと。癌の進行から入退院を繰り返し、最後の2年半は、広島の自宅で兄弟全員で協力しながら介護をしていました。病院に入院しているときは、週末、関西の病院まで月3回ほど通ったでしょうか。自宅にもほぼ毎週末帰省しました。

ここでも、育児のとき同様、段取りに気を配りました。兄弟3人のローテーションの組み方にケアマネージャー、病院との連携、夫と子どもの週末のやりくりなど、関係者と密に連絡を取り合って、皆の負担感が偏らないように気をつけていたのです。

子育ても介護も、そして仕事もそうですが、要は目の前に次々と現れる課題に対して起こり得るさまざまなケースを予測し、具体的にシミュレーションしていくことが大事です。そこに必要な戦力を自前でまかなう部分と外注化する部分に分けて、配分やかかる費用を予想し、関係者と情報共有、合意形成をします。

私が子育てをしながら仕事を続ける中で最も学んだのは、この段取り力でした。日々想定外のことが起こるので、その中で柔軟に手を打てるようになる、非常に実務的な訓練になりました。試行錯誤を繰り返しながら、ケーススタディを深化させていく感じ。

そういう意味においても、子育ても介護も、仕事の中で醸成されたさまざまなスキルが非常に役に立つのです。

■会社に自分の情報を開示し、混乱しない状況をつくっておく

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Photo/shutterstock sergey causelove

会社に対しても、今自分がどういう状況にあるのか、情報を具体的にかつ丁寧に開示します。介護も子育ても一番気をつけたのは、どこにいてもメールや電話で私に連絡がつく状況を常に作っておくこと。

自宅や病院にいるときも連絡が来たときは、できるだけ即座に対応し、私の不在感を感じさせないよう、気を配っていました。どうしても連絡がつきづらくなる場合は、その時間を会社に連絡しておくことも必要です。

こうして振り返ってみると、何事にも高いコミュニケーション力がライフイベントと仕事の両立には欠かせないことがよくわかります。会社のメンバーにプライベートなことを共有するのには勇気がいると思いますが、困ったときほどむしろしっかり話し込むことをおすすめします。

Text/S子

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