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子どもに野菜ジュースは飲ませません【3児ママ小児科医のラクになる育児】

  • 2021.1.27
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こんにちは、小児科医の保田典子です。私生活では8歳、6歳、4歳の子どもを子育て中の3児の母です。今回は野菜ジュースについてです。離乳食が果汁からだった時代もありますが、今はなるべく子どもに果汁(ジュース)をあげない方が良い、という時代になってきています。

実は、野菜不足が心配でついつい飲ませてしまう(!?)野菜ジュースも同じです。なるべく飲ませない方が良いと言われるようになってきています。なぜでしょうか?

ジュースがダメな理由

世界保健機構(WHO)などでは「幼児までの子どもには100%ジュースも糖分の摂り過ぎになるとして飲ませない方が良い」としています。糖分の摂りすぎは虫歯のリスクが高まったり、肥満のリスクが高くなるためです。


一方、フルーツそのものに関しては、食べない方が良いということはありません。フルーツそのものであれば、食物繊維など糖分以外のものも含まれるため、栄養素の吸収も変わってくるためダメとはされていません(もちろん摂取目安量はありますが、そこまで厳しくしなくても良いと私は考えています)。

そのため、今小児科医は「そもそもジュースは子どもに与えるものではない」という指導をしています。

糖分の摂取目安

WHOでは、1日の遊離糖類摂取量を総エネルギー量の10%未満に抑えましょう、5%未満だとさらに良いと言われています。

厚生労働省健康局から出ている「標準的な健診・保健指導プログラム【平成 30 年度版】 」によると、「遊離糖類とは、グルコースやフルクトース等の単糖類、スクロースや砂糖等の二糖類等食品や飲料の加工調理で加えられるもの、並びに蜂蜜、シロップ、果汁、濃縮果汁等に自然に存在する糖類のこと」を指します。

※はちみつは乳児ボツリヌス症予防のため、満1歳までは絶対に与えないよういしてください

例えば、1〜2歳の推定エネルギー必要量は1,000kcal程度(厚生労働省資料より)なので、5%未満とすると遊離糖類摂取量は12.5g程度が望ましいということです。


スポーツドリンク500mLだと約30g、100%ジュースでも200mLで20g、野菜ジュース720mLで約50gの炭水化物(糖質+食物繊維)が含まれています。ジュースに食物繊維はほとんど含まれていないことを考えると、このうちの“ほとんどが糖質”ということになります。

糖質はジュースにだけ含まれているわけではないので、ジュースだけで糖質の必要量を摂ってしまうと、明らかに糖質の摂り過ぎになってしまうのです。

野菜不足を野菜ジュースで補わないで

野菜をあまり食べないことが多い子どもたち。ついつい野菜不足が心配で野菜ジュースを飲ませてしまうこともあると思います。もちろん、野菜はたくさん食べて欲しいものですが、野菜の栄養素よりも余計なものを摂ってしまっては本末転倒です。

子どもが好きな味つけにしてみたり、食感に変えてみたりなど、子どもが食べやすいようひと工夫することで、食べてくれるようになることもあります。野菜不足はしっかり野菜で補い、水分は水や麦茶を飲ませるようにしたほうがいいと思います。

とはいえ、子どもが野菜を食べてくれないというご家庭も多いと思います。
わが家では子どもたちが嫌いな野菜もありますが、好きな野菜を重点的に出すようにしています。

さまざまな野菜を食べてほしいので、いろいろ出すようにしますが、食べてくれないこともよくあります。それでもめげずに出し続けることと、ビタミンは他の食べ物からも摂れるので、焦らず無理して食べさせないようにしています。好きな野菜も出してあげて「おいしいね」と食事を楽しむことが大切かなと考えています。

ジュースなどの甘くおいしい飲み物の味を一度覚えると、頻繁にジュースを欲しがるようになってしまいます。小さいうちから毎日ジュースを与えてしまい、水や麦茶を一切とらなくなってしまったというケースもあります。

子どもに野菜ジュースなどのジュースを与えないという選択は、子どもに水分をとらせることに苦労したり、虫歯治療に通うことになったりと、将来的に後悔しないために今できる「ラクになる育児」のひとつです。


監修者・著者:医師 東京衛生アドベンチスト病院 小児科医師 保田典子 先生

2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年春、高円寺こどもクリニック(仮称)開設予定。

ベビーカレンダー編集部

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