1. トップ
  2. おでかけ
  3. 必見の展覧会「がまくんとかえるくん」。愛おしいふたりの関係に重なる、大切な誰か

必見の展覧会「がまくんとかえるくん」。愛おしいふたりの関係に重なる、大切な誰か

  • 2021.1.26
  • 1645 views

「がまくんとかえるくん」シリーズで日本でも人気の高い絵本作家、アーノルド・ローベルの日本初の本格的な展覧会が、東京・立川のPLAY! MUSEUMで3月28日(日)まで開催されている。誰しもが目にしたことがあるであろう「がまくんとかえるくん」を中心とした貴重な原画やスケッチ約200点とともに紹介するほか、アニメーション作家の加藤久仁生による映像作品も公開中。小学校の教科書にも載っていた有名作品ながら、大人になった今読み返す機会はそうそうない物語。懐かしさとともに、幼い頃とはまた違う温かさ、優しさを感じることができる。 家族や友達など、人とのつながりに愛しく思いを馳せよう。

優しさとユーモア溢れる、ローベル作品

仲睦まじいふたりのかえる、がまくんとかえるくんの物語でおなじみの絵本作家、アーノルド・ローベル。54年の短い生涯を閉じるまでの間に約100冊もの絵本を世に送り出した彼の活動を振り返る、日本で初めての本格的な展覧会「がまくんとかえるくん」誕生50周年記念 アーノルド・ローベル展、東京・立川のPLAY! MUSEUMで開催されている。

アーノルド・ローベル(1972 年頃)Courtesy of the Estate of Arnold Lobel. © Adam Lobel.Harumari Inc.

1933年にロサンゼルスで生まれ、ニューヨークで育ったローベル。両親が早くに離婚したことから祖父母に預けられて育った。 また大病を患い学校を長く休んだことで友達ができなかった彼は、「お話づくり」という特技を強みにして自分の道を開拓した。ブルックリンの美術大学、プラット・インスティテュートを卒業後、50年代後半から挿絵の仕事を得るように。1981年には自叙伝ともされる『ぼくのおじさん』を発表。86年には集大成的作品『The Random House Book of Mother Goose』を出版するも、87年に短い人生を閉じた。

日本初のアーノルド・ローベルの展覧会となるこの展示は、物語と絵をしっかり読んで見てもらうことはもちろん、作家本人のことを知ってもらうことも狙いとして内容が企画されている。

貴重な原画やスケッチを多数展示

本展の前半では、彼の残した作品の中から『ふくろうくん』『ローベルおじさんのどうぶつものがたり』『とうさん おはなしして』など、隠れた名作の原画やスケッチ約100点を、ローベルの家族写真や8mmフィルムを編集した動画などとともに紹介。眺めているだけで絵本自体を手に取りたくなるような展示になっている。

『ふたりはいつも』(1976)「そりすべり」レイアウト Courtesy of the Estate of Arnold Lobel. © 1976 Arnold Lobel. Used by permission of HarperCollins Publishers.Harumari Inc.

後半は『ふたりは ともだち』『ふたりは いっしょ』『ふたりは いつも』『ふたりは きょうも』の4冊から成る「がまくんとかえるくん」シリーズの展示。スケッチ約100点のほか、初期段階の構想が書かれたノートや台割、編集者の書き込みの入ったレイアウト、表紙の下絵などなかなかお目にかかれない貴重な品々が初公開されているので必見だ。決して説教じみることなく、ユーモアを交えながら人間の真理を温かく描いた稀代のストーリーテラー、ローベルのものづくりの過程をつぶさに見ることができることが嬉しい。

加藤久仁⽣「⼀⽇⼀年」2021年Courtesy of the Estate of Arnold Lobel. Frog and Toad Copyright © by Arnold Lobel. ©️Kunio KatoHarumari Inc.

また、『つみきのいえ』で第81回アカデミー賞短編アニメーション賞を受賞したアニメーション作家、加藤久仁生ががまくんとかえるくんの日常を描いた新作アニメーション作品『一日一年』も上映している。どこか懐かしさを感じる音楽とともに、ふたりの名シーンを 見事に映像化 。短編ながら丁寧で美しい物語をじっくり楽しんでほしい。

大人になった今改めて読み返すと、懐かしさとともに、幼い頃とはまた違う温かさ、優しさを感じることができる不朽の名作。がまくんとかえるくん、仲良しのふたりの関係を見ていたら、ふと自分と誰かを重ねて思い出すかもしれない。家族や友達など、人とのつながりを愛しく思えたら、観賞後、その誰かに連絡してみよう。小さく芽生えた懐かしさが、優しい気持ちを広げてくれるはずだ。

※新型コロナウイルスによる営業時間の詳細はHPをご確認ください。

アイキャッチ画像クレジット:
『ふたりはきょうも』(1979)表紙下絵 Courtesy of the Estate of Arnold Lobel. © 1979 Arnold Lobel. Used by permission of HarperCollins Publishers.

アイキャッチ画像クレジット(PC):
加藤久仁⽣「⼀⽇⼀年」2021年Courtesy of the Estate of Arnold Lobel. Frog and Toad Copyright © by Arnold Lobel. © Kunio Kato

元記事で読む
の記事をもっとみる