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中国、若者は「総ユーチューバー」時代。活字離れもポジティブに

  • 2021.1.21
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中国はここ2~3年、活字離れが進んでいます。文字コンテンツから映像コンテンツへの変化が急速です。日本の活字離れ、読書離れとはどう違い、実際にどのような変化が起こっているのでしょうか。

■独自に発展した動画アプリ

中国は、Google、LINE、Facebook、Instagram、YouTubeなど欧米の巨大プラットフォーマーを、国策でブロックしています。その代わり独自アプリが発達しました。その代表は、中国語で“短視頻”とよぶショートビデオアプリです。抖音(海外名・TikTok)快手(海外名・Kwai)、越境Eコマースとの複合アプリ、小紅書が代表的です。いずれも、投稿シェア型で、毎日驚くべき数の投稿動画がアップされています。YouTubeほぼ1本の日本とは、スケールが違います。

■ネット通販の動画化

ネット通販も映像化が進んでいます。最大手のアリババは2016年、ライブコマースの「淘宝直播」をスタートしました。毎晩、美男美女のMCが、ライブで商品を紹介するスタイルです。売上は順調に拡大し、2019年以降、大ブレイクしました。トップMCの知名度は大スター並みとなり、驚異的な売上を記録しています。その一方、出店業者の70%は、金のかからない自撮り動画を添付しているのです。

短視頻アプリは、当初、こうした添付動画を作成するツールの役回りでした。それが、ライブコマースの活況を見て、自らもネット通販に乗り出します。

■動画コンテンツ大繁栄

短視頻アプリはもともと、リップシンク(くちパク)動画+音楽という形式で、文字表現は字幕だけでした。このスタイルは、地方在住の若者に、積極的投稿を促しました。純粋に表現力で勝負でき、文字コンテンツのように、田舎者が出てしまう心配はないからです。

こうして育った新時代のアップローダーたちが、短視頻、ネット通販、両者の区別をあいまいにし、あらゆるチャンネルで、ライブコマースが全盛となっています。切れ味のよい動画の需要は、ほとんど無限です。そのため若者たちは、総ユーチューバー時代へ向かいつつあります。

中国の活字離れは、ネット界の変化を踏まえた、ポジティブな一面を持っていました。ネガティブに捉えられがちな日本の活字離れとは、かなり異なります。中国動画投稿の勢いを見ると、そのうち日本は、あらゆる映像コンテンツで中国に圧倒されてしまうかもしれません。

文・高野悠介

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