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胎児へのリスクは? 妊娠や出産時に“抗精神病薬“を服用する際の注意点

  • 2015.6.4
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【女性からのご相談】

統合失調症で精神科に通院中なのですが、症状も改善してきたので子どもが欲しいなと考えています。妊娠、出産に薬が影響すると聞いたことがあるのですが大丈夫でしょうか。

●A. 妊娠初期には特に注意が必要! 妊娠・出産期間に薬と上手に付き合いましょう。

ご相談ありがとうございます。フリーライターの鈴木ハナコです。

病気療養中で、妊娠・出産を考えられているということであれば、薬の影響は気になるところですよね。今回は、妊娠・出産と抗精神病薬の関係について、東京都で精神科医をされている先生にお話を伺ってきました。

●妊娠・出産を考えている場合

女性にとって妊娠・出産はそれ自体が身体的、精神的に大きなストレスとなります。このような状況下で薬を中断すると病気の再発や悪化が考えられるため妊娠中も必要最低限の量の抗精神病薬を継続して飲み続けたほうが母体にとっても胎児にとっても安全とされています。妊娠・出産を考えている場合はかかりつけの主治医や産婦人科の先生と事前に相談し、計画的に行っていくことが大切です。

●特に気を付けたいのは妊娠初期

一般に、抗精神病薬の多くは、催奇形性(奇形児の生まれる危険性)はほとんどないといわれています。しかし薬の種類によってはこの限りではありません。胎児にとって重要な臓器ができる妊娠初期、特に4~15週目の服薬は慎重に決める必要があります。主治医や産婦人科医とともに、胎児に障害が出る可能性と症状が悪化する可能性の2つのバランスをとりながら服薬を進めていくということになります。

●出産後の服薬

出産直前の一週間はできるだけ薬の服用を少量にし、可能であれば一時的にやめることも検討します。産後は慣れない育児や睡眠不足などのストレスで心身ともに不安定な状態となり、症状が再発しやすくなるのですぐに服薬を再開します。新生児への授乳は薬の成分の乳汁移行が考えられるので母乳による授乳は控えたほうがよいです。

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抗精神病薬を服薬しながらの妊娠・出産は、精神と体の状態のバランスをとりながら慎重な対応が求められますが、決して不可能なことではありません。主治医とかかりつけの産婦人科医への相談をしながら進めていきたいですね。

【参考文献】

・『患者のための最新医学 統合失調症 正しい理解とケア』白石弘巳・監修

●ライター/鈴木ハナコ(歯科衛生士)

幼い時から医師や歯科医師などの医療関係者に囲まれて育ち、反発したものの大学卒業後自身も結局医療関係職に就く。本職の傍ら医療分野のコラムを執筆。現在結婚し、これまた医療関係職の夫と2児と暮らす、母親業と子どものことはわからないことだらけながらも日々奮闘中。気になったらとことん調べたいという性格が影響するためか、調べ始めたら止まらない。専門家へのインタビューも積極的にこなします! “キチンと知りたい”をモットーに取材、執筆活動中。趣味はお手軽アウトドア。

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