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米国の民主主義を踏みにじる最大の屈辱、議事堂襲撃事件…シュワルツェネッガーほか、ハリウッドの反応は?

  • 2021.1.14
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1月6日の合衆国連邦議事堂襲撃は、2020年11月3日から続く米国大統領選の混乱がいまだに収束していないことを、再び世界に知らしめてしまった。バイデン次期大統領とハリス次期副大統領の権力移譲正式承認手続きの最中に、選挙結果を否定するトランプ支持者グループの過激派がSNSに鼓舞され、連邦議会を占拠するという、前代未聞の醜事を引き起こした。

【写真を見る】アーノルド・シュワルツェネッガー、マーク・ラファロ…映画人たちが次々と声明を発表

ハリウッドからもこの事件を非難し、民主主義の再生を願う声が多く上がっている。全米映画協会は12日、「この恐ろしい事件に大変ショックを受けている」とし、アリゾナ州とペンシルベニア州の選挙結果に異議を申し立てた8人の上院議員と、139人の下院議員への寄付を当面の間停止すると発表した。ディズニーも声明を発表し、これらの議員に対する政治献金を2021年度は見送ると表明。ワーナー・ブラザースの親会社であるAT&T、NBCユニバーサルの親会社であるコムキャスト、Amazon、Facebook、Google、マイクロソフトなどテック企業も同様の決定を下している。

【写真を見る】アーノルド・シュワルツェネッガー、マーク・ラファロ…映画人たちが次々と声明を発表 写真:SPLASH/アフロ
【写真を見る】アーノルド・シュワルツェネッガー、マーク・ラファロ…映画人たちが次々と声明を発表 写真:SPLASH/アフロ

俳優として活躍したのちに政界へ進出、2003年から2011年までカリフォルニア州知事を務めたアーノルド・シュワルツェネッガーは、YouTubeに「移民の立場から、米国民の皆さん、そして世界の人々に今般の出来事について伝えたいことがあります」と約7分半のスピーチを投稿した。

「オーストリアに育った私は、今回の暴動からクリスタル・ナハト(水晶の夜、1938年11月9日から10日未明にかけてドイツ各地で起きたユダヤ人迫害暴動)を思い起こさせます。ユダヤ人に対する1938年の暴動は、プラウド・ボーイズのようなナチによるものでした。水曜日の出来事はアメリカの議事堂における“クリスタル・ナハト”です。暴徒が壊したのは、アメリカの民主主義を支える建物だけではありません。彼らは我が国の建国の理念を踏みにじりました」と述べ、シュワルツェネッガーが育った敗戦直後のオーストリアで、人々が徐々にナチズムに感化され追従していった悲劇について語る。

これらの思い出は辛い記憶として残っていたため、いままで公に語ることは避けてきたという。そして強い口調で「トランプ大統領はリーダーとして失格です。彼は史上最悪の大統領として歴史に名を残すでしょう。彼自身についてはすぐにTwitterの過去ログのように忘れ去られるでしょうが、彼の嘘や裏切りを看過してきた政治家はどうするべきでしょうか?彼らには、セオドア・ルーズベルト元大統領の『愛国心とは国を支えることで、大統領を支持することではない』という言葉を思い出していただきたい」と糾弾した。

自身も共和党からカリフォルニア州知事に立候補したシュワルツェネッガーだが、トランプ大統領を容認し、加担した共和党議員たちは議会襲撃犯たちの共犯者であると非難した。そして、いまのアメリカに必要なのは、傷つけられた民主主義を取り戻し、政治的立場を超えて1月20日に就任式を控えるバイデン次期大統領をサポートすることだと結んでいる。

ハリウッドの俳優や監督の間からも様々な声があがっている。マーク・ラファロは、「これはトランプと支持者が共謀したクーデターだ。すべてトランプと彼の政権のせいだ。共和党の臆病者たちは責任を問われなければならない」と投稿した。

「ザ・オフィス」や「UTOPIA」に出演するレイン・ウィルソンは、議事堂からポディウムを盗み出す襲撃者の写真を無言で拡散。

『フォードVSフェラーリ』(19)のジェームズ・マンゴールド監督は、「議事堂での無法状態ークーデターをサポートする凶悪犯―を見ている、そして悲憤している。マードックは、私たちの国家に非常に多くの人種差別、性差別、憎悪に満ちた嘘とダメージを与えている。コンテンツクリエイターの仲間たちよ、我々はFOXへの出演をキャンセルし、FOXから我々の番組を取り下げるために力を合わせなくてはならない」と、トランプサポーター御用達のメディアとして知られるFOXチャンネルを非難した。

「クィア・アイ」に出演するカラモ・ブラウンは「恥を知れ、国産テロリストをまるで平和的に大統領を支持するかのように“トランプ・サポーター”と呼び続ける報道機関よ。彼らは目に見えるように銃を抱えたテロリストだ!もしも彼らが中東の人々や黒人だったら…サポーターなどとは呼ばないだろうし、命もなかっただろう」とツイート。

カラモ同様、エドワード・ノートンも今回の襲撃事件とBLackLivesMatterの違いに疑問を呈する。「もしも黒人やラテン系、イスラム教徒などの有色人種が武装して、選挙後の権力移譲を混乱させるために合衆国連邦議事堂を襲撃した場合、“催涙ガスとゴム製銃弾”で対応する状況ではない。彼らは敷地内に10歩侵入する前に射殺されていただろう」。

そして、「もし公の場で他の誰かが、トランプ大統領やイヴァンカ・トランプ氏がしたように暴動行為を呼びかけたり支持したら、彼らは24時間以内に暴力扇動の罪で逮捕されていただろう」と書いている。

Facebookがトランプ大統領のアカウントを無期限凍結した措置に続き、1月6日以降トランプ大統領のTwitter個人アカウントは永久凍結されている。また、Twitterを追放されたトランプ大統領支持グループや保守派が集うSNSアプリ「Parler」も、AppleやGoogle、Amazonのアプリストアから削除された。

この動きに対し『シカゴ7裁判』(20)や『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』(20)のサーシャ・バロン・コーエンは、テック企業による素早い対応に称賛を送った。

「これはSNSの歴史上で最も重要な瞬間だ。世界最大のプラットフォームは、世界最大の嘘、陰謀、憎しみの拡散者を禁止した。このために戦ってくれたFacebookとTwitterの従業員、ユーザー、そしてこの動きを支援したみなさん、全世界が感謝しているよ!」

人類を震撼させたウイルスが世界を襲い、多くの人が言葉を発せざるを得ないような事件が、次々と起きた2020年。2021年を迎え、最悪の2020年に追い討ちをかけるような醜事が起き、ハリウッドの反応も、いままでよりさらに強いものとなっている。

文/平井 伊都子

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