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出産一時金だけでは不足!?妊娠・出産で発生した想定外の出費!

  • 2021.1.13
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国や自治体、健康保険組合などからの補助があるため、実はそんなにお金がかからないように思える出産。しかし、不測の事態で想定外の出費がかかることもあります。今回は、妊娠中に突如入院となった筆者の経験から、妊娠・出産にかかるお金について考えていきます。内容は個人の見解となることをご了承ください。

▼当時の筆者のプロフィール
26歳会社員(入社4年目)で第一子妊娠
11月出産予定
10月~産休予定→8月に切迫早産で入院に

入社4年目で妊娠!産休直前まで働くつもりが…

筆者は大学を卒業後、新卒で入社した会社で営業アシスタントとして働いており、入社3年目で結婚。職場は、女性の産休・育休の取得率が高い会社で、同じ事業所内には出産後、時短勤務で復帰した先輩もいました。「せっかく恵まれた環境にいるのだから」という周囲の言葉もあり、妊娠や出産を機に会社を辞めるという選択肢は当時なかったように思います。

そんな折、入社4年目の3月に妊娠していることが判明。つわりで会社を休むことも多かったため、不安な気持ちはありつつも上司には早めに妊娠の報告をしました。出産予定日をもとに算出された産休開始予定日は、10月初旬。「9月中には引継ぎを完了させておけば大丈夫」と、何となくの目安を決めたのでした。

6月頃にはつわりも落ち着き、通常通り勤務できるようになりました。しかし、8月の妊婦検診の日に、事態は急変します。
「赤ちゃんが生まれそうになっているから、安静が必要です」という主治医の言葉に、赤ちゃんは無事に生まれるのか?安静とは具体的にどうすればいいのか?仕事はどうなる?と、頭が真っ白になってしまったのです。

言い渡された症状名は「切迫早産」。原因や症状はさまざまですが、筆者の場合、子宮の出口である子宮頸管が短くなってしまっていました。まだ赤ちゃんをお腹の中に留めておくためにも、ひとまず1週間、自宅で安静にすることになったのです。

「1週間の自宅安静の後も症状がよくならなければ、入院になります。どちらにしても、出産が終わるまで外出や仕事は控えて、自宅でもなるべく横になっていてくださいね」という主治医の言葉に、さらにパニック!
産休開始まで1か月以上あったことから、実はまだ、仕事の引継ぎに着手できていなかったのです…。

引継ぎは?入院費は?先が見えない不安

予期せぬ展開に、何をどうすればいいのか…しばらく茫然としていた筆者。「歩くのもよくない」とのことだったので、まずは両親に状況を説明し、病院まで迎えに来てもらうことにしました。
次に、上司に明日から出社できない旨を電話。「びっくりしたけど、今は赤ちゃんを無事に産むことだけ考えて!」という言葉に、ありがたいのと申し訳ないので泣きそうになったのを今でも覚えています。

それからは、一緒に仕事をしていた営業担当や、仕事を引き継いでくれる同期とメールや電話の毎日。きちんとした引継ぎ資料も作れないまま出社できなくなり、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

自宅安静開始から1週間後、再び主治医の診察へ。子宮頸管の長さは前と変わらず、その日から入院することになってしまいました。入院中に症状の改善が見られれば退院となる人もいるそうですが、予定は未定。いつまで続くかわからない入院生活に、不安がいっぱいでした。

落ち込んでばかりの筆者でしたが、大部屋に入院したことが転機となりました。同じく切迫早産で入院している同部屋の人と、仲良くなることができたのです。日々、励ましあったり、笑い話をしたりすることで、前を向くことができ、入院生活の苦痛も和らげることができました。

ある日の雑談のテーマは「お金」のこと。仕事と赤ちゃんのことで頭がいっぱいだった筆者ですが、予定外の入院でお金がかかることに遅ればせながら気づいたのでした。この日の雑談をきっかけに、妊娠・出産にまつわるお金について改めて調べてみることにしました。

出産一時金だけではまかなえない、妊娠出産でかかるお金

妊娠や出産をしたら、手続きをすることでもらえる手当(お金)があります。以下は、当時会社員だった筆者がもらえた手当です。手当の種類や金額は個々の状況により異なることもあるので、ご了承ください。

妊娠に係る手当

・各自治体が発行する検診の無料券や補助券

筆者が住んでいる自治体では、母子手帳と一緒に、妊婦検診で使える無料券や補助券をもらうことができました。金額は自治体によってまちまちですが、おおむね全国の自治体でもらえるようです。

筆者の場合、妊婦検診で使えるもの以外にも、妊娠中の歯科検診に使える補助券や、赤ちゃんの健診や予防接種に使える無料券ももらえました。手続きは、母子手帳の発行を行っている自治体の窓口で行います。内容は自治体によって異なるようなので、住んでいる自治体のホームページや窓口で確認してみてくださいね。

出産に係る手当

・出産育児一時金
加入している健康保険組合などで手続きすることで、42万円が支給される国の制度です。筆者の場合、直接支払制度(出産する人に代わって、医療機関が出産一時金を受け取る制度)を導入している病院で出産したため、出産費用の支払いは、総額から42万円を差し引いた差額のみで済みました。

・出産手当金
会社員が出産のために会社を休んだ場合、健康保険組合などで手続きすると、出産育児一時金とはまた別に、出産手当金という手当がもらえます。対象となる期間は、出産日の42日前から、出産日の翌日から56日目まで。1日につき、標準報酬日額の3分の2相当の金額がもらえます。

病気と診断され、会社を休んだ場合の手当

・傷病手当金
筆者の場合、妊娠中に切迫早産と診断されて入院となったので、「傷病手当金」の支給対象となりました。傷病手当金は①業務外の病気やケガで療養中②仕事に就けない③4日以上仕事を休んでいる④給料の一部・もしくは全部が支払われていないときに支給されるものです。

ここまでで紹介したように、妊娠や出産にかかる費用は、国や健康保険組合などからさまざまな補助を受けることができます。しかし、想定外の入院など、予期せぬ事態が発生した場合、医療費はどうすればいいのでしょうか?次の章で考えていきましょう。

不測の事態も安心!妊娠前に備える方法

ここからは、不測の事態が起きても安心できるよう、妊娠前と妊娠中にしておきたいことをまとめていきます。

妊娠前にできること

・医療保険に加入しておく
民間の生命保険会社が運営している、医療保険に加入しておくと安心です。通常の出産で入院する場合は、保証の対象外となることがほとんですが、切迫早産や帝王切開など「異常分娩」とされるものに関しては、保証の対象となっていることもあります。妊娠中には加入できない保険もあるので、妊娠する前に検討してみましょう。

・産院を選ぶときは、かかる費用やサービス内容もチェック
総合病院や個人病院など、病院によって出産にかかる費用やサービスも異なります。病院にお世話になる際にかかるお金が、出産一時金で収まる病院もあれば、収まらない病院もあり、入院時に必要な準備物や食事内容、緊急時の対応などもまちまちです。費用やサービス内容は病院のホームページなどで知ることもできるので、産院を選ぶときは詳しくチェックしてみましょう。

妊娠中にできること

・仕事や家事の引継ぎは早めに
妊娠中に突然の入院となって戸惑うのは、妊婦さん本人だけではありません。家族や同僚が困らないよう、仕事や家事は、できることから早めに引き継いでおくと安心です。

・もし入院になったら「高額療養費」を利用
高額療養費とは、高額な医療費がかかった場合、健康保険組合などに申請すると自己負担額を減らすことができる制度です。自己負担額の上限は年齢や所得によって算出され、上限を超えた分は後から払い戻されます。事前に入院することがわかっている場合は、「限度額適用認定証」の申請を行っておくと、支払い時に限度額が適応されるので便利です。

しっかり備えて、赤ちゃんを迎えよう!

妊娠中の不測の事態に戸惑った筆者でしたが、1か月半の入院の後、無事に出産することができました。運よく医療保険にも加入していたので、自己負担額はそれほど大きくならず一安心。しかし、会社や家族も巻き込んで、慌ただしい出産となりました。これから妊娠・出産を考えている方は、安心して赤ちゃんを迎えられるよう、しっかり備えてみてくださいね。

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