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「武勇伝がすさまじい面倒なシニア社員」の口数をやんわり減らす"あるひと言"

  • 2021.1.13
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この4月から、70歳定年法がスタートします。雇用形態はさまざまですが、職場にシニア人材が増えてくることは確実。彼らをメンバーとしてマネジメントしていく機会も増えます。もちろん、頼りになるシニアも多いのですが、中には少し面倒なタイプも。心理学者の内藤誼人さんが、とくに面倒な2つのタイプについて対応策を教えてくれます――。

オフィスで声を荒らげるシニア男性
※写真はイメージです
古いやり方に固執するシニア部下

2021年4月から、70歳定年法がスタートすることになり、これからは自分よりもずっと年上の男性を部下に持たなければならない人もますます増えることでしょう。ここで非常に厄介な問題が浮上します。

年上の、しかも中途半端に成功体験などを持っている男性は、なかなか言うことを聞いてくれないのです。とくに女性管理職の場合は、年齢に加えて性別による難しさを感じることもあるでしょう。

「女の言うことなんて、聞けるか!」
「若造の言うことなんて、聞けるか!」

そういう態度をあからさまにとってくることもあると思います。

年配者の中には、自分の過去の成功体験にしがみつき、時代にそぐわないような古臭いやり方に固執する人も多くいます。「俺には、俺の仕事のやり方があるんだ!」と鼻息を荒くして、上司であるあなたの言うことにも素直に従ってくれないことは十二分に考えられます。

「一回だけ、私のやり方を試してもらえませんか?」

では、こういう年配のオジサマたちを部下に抱えることになってしまったら、いったいどのような対応をすればよいのでしょうか。

一番気を付けなければいけないのは、メンツを潰さないようにすること。そこに気を配りながら、自分のやり方を「提案」していくのがいいでしょう。「押しつけ」るのではありません。あくまでも「提案」です。

「○○さんのやり方もいいんですけど、一回だけ、私のやり方を試してもらえませんか?」
「なるほど、○○さんのやり方もいいですね。ですが、しばらくは違うやり方をとってもらってもかまいませんか?」

このように、あくまで「提案」という体裁をとりながら、さりげなく自分のやり方を勧めていきましょう。

心理学的に正しい上司・部下円満のコツ

ノース・カロライナ大学のベネット・テッパーによると、上司と部下との関係では、「拒否」したり「無視」したりするのではなく、お互いに言いたいことを言い合い、「交渉」したり、「提案」したりするとお互いの関係が円満になるそうです。

自分が上司なのだからと、意見を押しつけたりするのはよくありません。あくまでも年長者を敬う気持ちを持ちつつ、さりげなく自分の仕事のやり方や進め方の良さをわかってもらうように「交渉」したり、「提案」していくのです。

相手もいい年をした大人なのですから、メンツを潰されるようなことをしなければ、わりと素直に言うことを聞いてくれるでしょう。そしてそうしたやりとりの中で、その部下にしかない知見から学ぶこともできるはずです。

(参考)
Tepper, B. J., Uhl-Bien, M., Kohut, G. F., Rogelberg, S. G., Lockhart, D. E., & Ensley, M. D. 2006 Subordinates’ resistance and managers’ evaluations of subordinates’ performance. Journal of Management ,32, 185-209.

自分の話ばかりする年配部下の口数を減らす方法

男性は、女性と違って、他人の話を聞きません。自分ばかりが話をしようとする傾向があります。

オーストリアにあるグラーツ大学のウルサラ・アッセンスタットによると、男性は、グイグイと積極的に話すことで、「男らしさ」を感じるようなのです。

いろいろなアイデアや仕事の改善点など、気づいたことは部下から指摘してもらえるのなら、上司としてもありがたいと思うかもしれません。しかしあまりにも余計なことばかり発言してくるような年配部下には手を焼くことになるでしょう。彼らに落ち着いてもらうにはどうすればいいのでしょうか。

マグカップを片手に席で仕事する女性
※写真はイメージです

答えは簡単で、メールでやりとりをすればいいのです。対面で話を聞いてはいけません。

対面で話を聞こうとすると、相手の話を延々と聞かされるハメなります。これはまったく時間の浪費。ですから、年配部下が何か話しかけてきたときには、「すみません、要望があれば、メールで伝えてくれませんか?」などと言って、さらりとかわしてしまいましょう。

メールなら、年齢と性別の影響を最小化できる

カーネギーメロン大学のジェーン・シーゲルによると、私たちは、メールでやりとりするときには、対面のときに比べて、発言が少なくなるそうです。また、相手の話に割り込んだりもできないので、おとなしくこちらの言い分にも耳を傾けてくれるそうです。

対面で、年配部下とやりとりをしようとすると、相手をいたずらに感情的にさせてしまいかねません。

こちらが反対しようとすると、「この青二才め!」という表情をとってくるでしょうし、そういう顔を見せられれば、こちらもいい気はしません。

その点、メールであれば、こちらの姿も、相手の姿も、お互いに見えないわけで、年齢や性別の影響を最小限にすることができます。メールでのやりとりでは、じっくりと相手の言い分も判断できますので、感情的になりにくいのです。

年配のオジサマ部下は、なかなか扱いが難しいとはいえ、メールでやりとりをするようにすれば、そんなに感情的にこじれることもないと思います。リモートワークを有効に活用していくことがポイントです。

(参考)
・Athenstaedt, U., Haas, E., & Schwab, S. 2004 Gender role self-concept and gender-typed communication behavior in mixed-sex and same-sex dyads. Sex Roles ,50, 37-52.
・Siegel, J., Dubrovsky, V., Kiesler, S., & McGuire, T. W. 1986 Group processes in computer-mediated communication. Organizational Behavior and Human Decision Processes ,37, 157-187.

内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者
立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は手品、昆虫採集、ガーデニング。『すごい! モテ方』『すごい! ホメ方』『もっとすごい! ホメ方』(以上、廣済堂出版)、『ビビらない技法』『「人たらし」のブラック心理術』(以上、大和書房)、『裏社会の危険な心理交渉術』『世界最先端の研究が教える すごい心理学』(以上、総合法令出版)など著書は200冊を超え、、近著に『めんどくさい人の取扱説明書』(きずな出版)がある。

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