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吉田鋼太郎、『麒麟がくる』松永久秀の最期を熱演 光秀と見せた束の間の友愛

  • 2021.1.11
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『麒麟がくる』(写真提供=NHK)

本願寺側へ寝返った松永久秀(吉田鋼太郎)が最後の咆哮を見せる。NHK大河ドラマ『麒麟がくる』の第40回「松永久秀の平蜘蛛」では、茶釜・平蜘蛛により光秀(長谷川博己)の運命の歯車が動き出すさまが描かれた。

光秀は松永から呼び出され、面会することになる。本願寺の戦で織田軍として戦っていた松永は、突如、戦場から逃げ出していた。信長(染谷将太)が大和の守護を筒井順慶(駿河太郎)に任せると知り本願寺側へ寝返ろうとしていたのだ。だがそれは、畿内を治める光秀との対立を意味することになる。順慶への肩入れは戦に発展しかねないことを信長に進言していた光秀だが、とうとう心配事は現実のものとなってしまった。

光秀と対面した松永は命の次に大事にしている平蜘蛛という茶釜を差し出し、「信長には意地でも渡す気はないが、光秀になら渡しても良い」と打ち明けた。この平蜘蛛はかねてから信長が大変欲しがっていた天下一の茶釜である。光秀がまだ若武者だったころに出会って以来、二人はずっと信頼し助け合ってきた仲、光秀は頭を下げて考え直すよう懇願するが、松永は自分にも意地があると涙ぐむばかり。

その秋、松永は本願寺や上杉謙信と共に反信長軍として戦い、大和の信貴山城に立てこもった。もしも松永が戦に負けて命乞いをしてきた場合には、茶道具全て、特に平蜘蛛の釜を引き渡すことを条件に命だけは助けてやると信長は言う。しかし、落城と共に松永は自死し、城と銘器の数々もろとも焼滅するのであった。

吉田鋼太郎は、鋭い眼光、深みのある特徴的な声で「乱世の梟雄」松永久秀を演じた。時に光秀を助け、共に信長軍で戦い、絆を深めてきた松永。その最期を吉田は鬼気迫る表情で熱演し、迫りくる炎に負けない意地と貫禄を滲ませ腹を裂く。また、光秀との対面シーンで光秀のあまりに辛い泣き顔に被る、感情を絞り出すような「そなたに撃たれたとしてもこれは生き残る。そなたの手の中で生き続ける、それで良いと思うたのじゃ」の叫びでは、束の間の友愛を見せ視聴者の涙を誘った。

松永が死んだ後も、信長は平蜘蛛の行方にひどくこだわっていた。実は、信長は間者を使い、松永と光秀が会っていたことを既に突き止めていたのだ。だがこの件について問い詰められた光秀は、死んだ松永を裏切れずに「平蜘蛛の話はしていない」と嘘をついてしまう。光秀が去ると、信長は「十兵衛が、このわしに嘘をつきおった」と怒りを滲ませる。帝(坂東玉三郎)だけでなく帰蝶(川口春奈)までもが離れていこうとしている今、光秀に嘘をつかれることは信長にとって大きな悲しみとなったことだろう。

坂本城に戻った光秀を伊呂波太夫(尾野真千子)が訪ねてきた。そこでようやく光秀は平蜘蛛を受け取ることの重大さに気づく。「まんまと引っかかってしまった。これは松永久秀の罠だ」と目をひん剥いて笑う光秀の姿は、狂気すら孕む。だが、松永から最後に平蜘蛛と共に託された「誇りを失わず、志高き、心美しき覚悟を持て」の言葉を聞いて、光秀は我に返る。松永の思いに突き動かされるように、帝に会うことを決心するのだった。

平蜘蛛を受け取ることで初心に返った光秀もまた、信長から離れようとしている。徐々に孤独になる信長。そして光秀は、自らの道を歩み始めようとしていた。

(Nana Numoto)

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