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仕事のビジョンをクリアにするための5つのアドバイス。

  • 2021.1.10
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進路をしっかり定め、荒波にのまれても、目的を見失わない。この能力があるかないかで、仕事でも人生でも大きな差がつく。グッドニュース! ビジョンを描く力とは生まれもった才能ではなく、鍛え、強化できるものだという。2020年という困難な時代でもそれは同じ。明確なビジョンを持って、将来の構想を立てるための5つの方法を紹介する。

アイデアを洗練し、吟味するための鍵とは?できるだけ多くの人と意見交換をしながらアイデアを改良すること。photo : iStock

何ひとつ確かなことがない。リスクは最大値。ちょっとした波乱が起きるたびに計画の見直しを考えてしまう。そんなときによきリーダーに求められる資質とは、ビジョンを持ち、目標を描き、定める能力。いまのように混沌とした時期にはなおさらだ。この数ヶ月、新型コロナ感染症の流行や度重なる自宅待機措置で、仕事の契約や、アイデアやプランの見直しを迫られている人も多いだろう。いまはプロジェクト実現の可能性はおろか、妥当なのかすら見極めにくい状況だ。だから、本当に重要なことと、忘れてしまってもいいことの区別をつけるさえ難しくなってしまう。

そんなあなたにグッドニュース。ビジョンを持つ能力は決して生まれつきの才能ではない。ほかの能力と同じように、ビジョンを持つ力も鍛え、磨き上げ、洗練させることができる。明確なビジョンを持つことは、自分自身を知り、自分のやりたいこと、そしてそれをどう実行すればいいのかを知ることに他ならない。起業したい人も、いまの仕事でさらに力を発揮したい人も、目標が何であろうとその点は変わらない。大切なのは、適切な問いを適切なやり方で自分に投げかけ、具体的な答えを出すこと。目の前の霧を晴らすための実践的なアドバイスを紹介しよう。

自分が信じるものを選ぶ

将来性のあるプロジェクトを展開するために、時代や周囲の世界を理解し、それを仔細に分析できるようになりたい、とは誰もが願うこと。ものごとをきちんと「見る」ためには、正しい方向に目を向けなければならない。「それには、自分が絶対に失敗したくないテーマは何か、自分に問いかけることが有効です」と、経営・マネージメントコンサルティング事務所Manadoxeの創業者でキャリアコーチのロランス・モリウセフは説明する。さらに、会社が自分に求めているものと、個人的な野心や成功を区別することも重要だ。このふたつは必ずしも「一致する」わけではない。

もっとエコレスポンシブルな会社にする、マーケットを征服する、ロス削減に取り組む……。自分を動かす推進力になるものを見つけよう。「やりたいことが思い浮かばないときは、ひとりで答えを出そうと思わないこと」とモリウセフは強調する。そういう時は、心理カウンセラーやコーチに相談しながら、あらゆるところにインスピレーションを求めるべき。「”何もアイデアが浮かばない”と人はよく言いますが、自分ひとりで考えていても何も変わりません。読み、情報を集め、意見を交換することが大切です」。

人に話を聞く

「自分が興味を持っている分野に関わる人とできるだけ会うことです」とモリウセフは続ける。メールやSNSを活用してコーヒーミーティングや面白そうなイベントに誘う、本やポッドキャストを提案する、講演会に誘う。そして、人類学者になったつもりで、オープンクエスチョンをしてみる。「どんな仕事をしているのですか?」「仕事の調子は?」「難しいと感じるのはどんなときですか?」「どうやって困難を回避していますか?」こうした大雑把な質問をするうちに、思いがけない話が聞けることもある。なぜこんなことをするのか?それは、いつもの思考パターンを壊し、別の角度からものごとを考えるため。これは会社でも同じ。別の部署の同僚と意見を交換し、違う視点に触れるのが重要なのはそのせいだ。

”どこへ向かいたいのかを知り、そこに到達するための最善の方法を探す”セシル・ロドゥレ。Smallable創業者。2008年、エコでおしゃれな子ども服とインテリア雑貨を提案するセレクトショップを立ちあげる。その後あらゆる世代を対象としたファミリー向けコンセプトストアに発展。「最初は、手帳やiPhoneにメモやアイデアをめいっぱい書き込み、明確なリサーチを行いました。競争相手は誰? 顧客ひとり当たりの平均購入金額はどのくらい? どの程度の頻度で購入する? 顧客は何を求めている? すべての問いに答えを出すために、具体的な材料が必要でした。ビジネスプランを立てたのはその後です。ビジネスプランは強固なビジョンを確立するための要。目的を定めるためにはもちろん、費用や経費の見積もり、売り上げ予測モデルの構築など、さまざまな場面で必要になる行程表です。次に重要なのは、孤立した状態でプロジェクトを進めないことです。私の場合、私と同じ起業家や、オンラインショッピングの専門家、子どもを持つ若いカップルなど、さまざまな人と頻繁に意見交換をしています。スポンジのように、どんなかすかな信号も逃さないよう注意を払わなければなりません。それは自分で立てた仮説や選択が正しいかどうかを検証し、適切なタイミングで軌道修正を行うためでもあります。12年間で、Smallableも事業を取り巻く環境も大きく変わりました。競合企業の進出、ニーズの変化、オンラインショッピング……。でも私のビジョンは変わりません。どこへ向かいたいのかを知り、そこに到達するための最善の方法を探す。ビジョンとはそういうことです」

自分が何を知らないのかを知る

これは好奇心を目覚めさせるための一種のトレーニングだ。プロジェクトをいつ、どうやって、なぜ始めるのかを決めるために、自分にとって必要なあらゆる情報を集めること。「保育園を開業するつもりなら、すでに同じことを始めている人に会ったり、業界に関わる専門家に質問したり、子どもに関する科学研究を読んでみる」とモリウセフは例をあげる。「自分が勤める会社の中で進歩したいと思ったら、上司や人事部の責任者だけでなく、それ以外の人にも、何が実現可能なのかを知るために話を聞く」

注意したいのは、このときに「私がいいマネージャーになれると思う?」と意見を聞くのではなく、具体的な情報を尋ねることだ。「もうじき空くポストはあるか?」「人員採用の予定はあるか?」「企画を提案するには経営陣の誰に話をしたらいいか?」コーチはこう続ける。「鍵となる情報がすべて手元に集まったら、行動計画をひとつ立てるのではなく、いくつかシナリオを構想します。目的を実現するためにできるかぎり明確なシナリオを用意すること」。最優先すべきシナリオのほかに、念のために予備プランを2つ3つ考えておけば安心だ。

シナリオを準備することは、批判を先読みする力を養うことにもつながる。自分がいいと思うアイデアでも他人が同じように考えるとは限らない。理由も人それぞれまったく違うだろう。意外かもしれないが、これは決して悪いことではない。「人の批判を予想することは、ある意味で自分自身に対する挑戦。さまざまな角度から自分のアイデアを検討することで、アイデアはさらに充実します」とモリウセフは強調する。

”解決策ではなく、問題を愛する”イルフィン・ラガルドは、2020年5月に中古家具と中古家電の売買を扱うエコロジカルで超実用的なオンラインフリーマケットYouzdを立ち上げた。「私にとって、”解決策ではなく、問題を愛する”、このひと言がすべてを言い表しています。私自身の問題はふたつありました。ひとつは中古家具や家電の適正価格を知っている人が非常に少ないこと、もうひとつは都市に住む私たちにとってロジスティックスの整備という難問をどう解決するかという点。このふたつの課題に取り組むためにまず、700人を対象にWebアンケートを行いました。また自分が大規模な問題を扱おうとしていることを確認しました。さまざまな調査から、1年に200万点の家具が捨てられ、粗大ゴミ回収の依頼がパリでは1日に2500件あり、消費者は10回のうち9回は新品の家具や家電を購入していることがわかりました。プロジェクトを立案した当初から、パワーポイントで作成した簡単なプレゼン資料を持って、投資家やビジネスエンジェルにコンタクトを取り、意見を求めました。こうした手続きは勇気がいりますが、躊躇してはだめ。誰でも、あなたのような素晴らしい人に支援いただけたらありがたいと言われたら喜んで手助けしてくれるものです。とくに、私にとって何よりも大事なのは、Youzdの利用者の声を聞くことです。利用者のニーズを理解し、自分のアイデアを確認し、自分自身のYouzdのビジョンを現実とつき合わせるために、絶対に欠かせません。たとえば、値段を設定できるアルゴリズムや、配達サービス、後に複数の購入先からの一括配送も導入しましたが、これらを管理するアルゴリズムもそうやって考案しました」

間違えることを受け入れる

どんな分野でも、冷静にプロジェクトを検討するためには、オープンな姿勢を持つことが重要だ。「最初にうまくいかないことがあると、自分のやり方がまずかったからだとか、自分には才能がないからだ、と考えがちです。しかしトライ&エラーこそ学びの本質です」とコーチ。アイデアを具体化する前に、時間をかけて現実と照らし合わせ、アイデアを熟成させる必要がある。それが普通であり、時間をかけることは、ぐずぐずしているのとは違う。逆に、最初は、努めて距離を取るように心がけたほうがいい。「自分にとって最悪のシナリオは何か?自分が絶対に陥りたくない状況は?仕事に追われすぎて家族や友達と会う時間も取れなくなること?数ヶ月間収入がないこと?」自分自身に問いかけてみよう。

自分に嘘をつかない

最悪のシナリオが起きる確率はゼロという確信を持ったら、あとは前進あるのみ。起きる可能性はあるが、冷静に対処できると思うなら、同じくゴーサイン。そうでないなら、正直に認めたほうがいい。「自分の声を聞かないと、アップアップになったり、身動きができなくなったり、正しい行動が取れなくなる恐れがあります」。プロジェクトを見直したりーーあるいは諦めたりーー、方向転換や戦略の変更を受け入れるのは、弱さの表れではない。むしろ逆に、自分自身をよく知っている、ゆえにほかにできることがある証拠。次はきっと、上手く行く。

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