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『Re:ゼロ』2nd seasonの“勝利条件”をおさらい スバルは人間に留まっていられるのか

  • 2021.1.9
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『Re:ゼロから始める異世界生活』2nd season(c)長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活2製作委員会

TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』(『リゼロ』)2nd season 後半クールの放送が1月6日よりスタートした。

引きこもりだった少年のナツキ・スバルが、“死に戻り”の力を駆使して何度も時間をループし、大切な人たちを悲劇から救おうとする異世界ファンタジーである本作。そのハードなストーリー展開や魅力的なキャラクターが人気だ。

2nd seasonは第1期と比較しても、主人公・スバルの“勝利条件”がいっそう複雑化している。本稿では、2nd season 前半クールを振り返りつつ、シリーズ全体に通底するテーマについて考えていく。ここまでのストーリーのネタバレを含む内容となるので、注意してほしい。

まず、現在スバルが“死に戻り”によるループを繰り返して達成しなければならない“勝利条件”としては、主に以下の3つが挙げられる。

・エミリアが聖域の試練を乗り越えること
・ロズワール邸を襲うエルザとメィリィの行動の阻止
・聖域に迫る大兎の大群を退けること

この絡み合った複数の“勝利条件”が、ストーリーが進展するにつれ、やがてひと筋の“解法”によって解きほぐされていく気持ちよさは、本作の大きな魅力のひとつだろう。そして無力なスバルが正解にたどり着くためには、これまで同様、ときに敵対すらしている一筋縄ではいかない登場人物たちに協力を取り付けることが必要不可欠となる。第1期で王選候補の複数の陣営が、白鯨攻略という大義のためにスバルのもとに団結し、見事これを成し遂げたときのように。

しかも、今回はこれまでにも増してそれぞれのキャラクターの思惑があまりにもバラバラな上に不透明。特に、何らかの大義のためにスバルに対して「大事なひとつを守り抜くため、ほかのものはすべて切り捨てる」ことを強いるロズワールの思考は、スバルにとって理解し切れないものだ。

ロズワール邸を襲うエルザたちはスバルを追い詰めるためにロズワール自身が送り込んだ刺客であることが判明しており、少なからず縁のあった者たちの命すら容赦なく奪おうとするロズワールの選択は、おおよそ人の所業ではないように感じられる。

ロズワールはスバルに「覚悟を研ぐ」ことを強いる。そしてそれを成したならばスバルは「本当の意味で私に追いつくときがくる」とも言っている。それはスバルがあらゆる意味で“人間の理”から外れることを意味しているのだろう。ならば本作の物語はそれとは逆に、スバルが「いかに人間に留まっていられるか」ということがテーマになるのではないだろうか。

スバルは「すべての大切な人を救う」ということを、これまで絶対に諦めなかった。そしてそのための試行錯誤の中、必要な人々の助けを借りるため、結果的に「多くの人の想いを否定せずにすくい上げていく」という道を選んできた。「すべてを救う」ため、「誰かの想いをすくい上げる」ための行動を諦めないという指針を今回もスバルが曲げないのなら、それはロズワールの要求には背くことになる。しかし同時に、別の方法でロズワールすら救う方法をも探すことに繋がるのではないだろうか?

人間としての情を捨てなければできないこともあるかもしれない。しかし「すべてを救う」という、ロズワールの意志すらも超えた結末を掴み取ることは、スバルが幾重ものループを繰り返す中、人間としての情を持ち続けなければ成し得ないことだ。

そして本作で最も“人間の理”から外れてしまっている人物は誰か? それはスバルに“死に戻り”の力を与えた張本人でもある嫉妬の魔女・サテラであろう。彼女を無限に続く嫉妬の苦しみから救い出す方法。それもまた、スバルが「人間であり続ける」側にいなければ見つからないことに思える。これから先、さらに多くの試練を乗り越えたスバルならば、きっとサテラのことも“救うべき相手”と考え、手を差し伸べることもあるかもしれない。

“死に戻り”を行使して多くの死を経験し続け、ロズワールや魔女たちといった“人の理”を超えた存在と深く関わっていくことは、スバルをも“人ならざる者”の側へと近づけていく。スバルは、戦いの中で増えていった大切な仲間たちへの愛を見失わず「人間であり続ける」意志を持ち続けられるだろうか? 一度でも手放してしまえば、そこに完全無欠のハッピーエンドは有り得ないように思う。ここに着目して『リゼロ』の物語の行き着く先を見届けて行こうと考えている。

(小林白菜)

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