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杉咲花、若村麻由美、映美くららが見せる女優魂 『おちょやん』が描く芝居に魅せられた女性たち

  • 2021.1.8
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『おちょやん』写真提供=NHK

NHK連続テレビ小説『おちょやん』京都編が幕を開けた。

芝居茶屋「岡安」を“卒業”し、行く当てのない千代(杉咲花)が次にたどり着いたのはカフェー「キネマ」。そこで働く女給たちの夢に刺激され、千代は女優を目指すことに。これまで生きることに必死だった千代が、ようやく本当にやりたいことに向かって走り出す。最初は詐欺師に騙されて散々だったが、「これからは自分のために生きますのや」と餞の言葉を送ったシズ(篠原涼子)が夢のために奮闘する千代の姿を見たらきっと微笑むだろう。

さて夢の第一歩として、女給仲間に紹介された山村千鳥一座で雑用係として働き始めた千代。だが、座長の山村千鳥(若村麻由美)は千代に稽古をつけてくれないばかりか、他の座員にも辛くあたる。千代が「家の周りを注意深く一周する」「四つ葉のシロツメ草を探す」といった意味の分からない雑用にイライラし始めたある日、座員の一人、清子(映美くらら)が千鳥を訪ねてきた。

清子によると山村千鳥一座は客数が伸びず、このままだと劇場から公演を打ち切られてしまうという。清子は一座のために打開策を提案するが、千鳥は聞く耳を持たない。そんな千鳥に千代はついキレてしまい、勢いで一座の雑用係をやめてしまった。落ち込む千代の様子を見にきた清子も、カフェーでお酒を呑んで千鳥に対する愚痴を話し始める。

「あいつほんましょーもないで。すぐ怒鳴るし、口悪いし、物投げるし、わがままやし、性根ねじ曲がってるし、ババアやし、化粧濃いし、ババアやし!」

まさに悪口のオンパレード。千代が「ババア2回いわはりました」とツッコミを入れた場面で思わず笑ってしまった。これは相当、清子もストレスが溜まっているようだ。それでも清子が一座を辞めず、千鳥の方針に従っているのは「山村千鳥が大好きだから」。口が悪くてもわがままでも、性別を理由に弟子入り志願を断られ続けた自分を千鳥は拾ってくれた。思えば、山村千鳥一座は女性の座員ばかりだ。

それは千鳥自身も酷い旦那に捨てられた経験があるからだという。千鳥が死のうと思った矢先に見つけたのが、幸せになれるという四つ葉のクローバー。どんな理不尽な目に遭おうとも、一度死んだ気になって頑張っていれば、いつかは幸運が訪れる。千代に毎日四つ葉のシロツメ草を探させていたのも、千鳥の願掛けみたいなものなのだろう。

清子の話を聞き、千代はふたたび千鳥のもとへ。そこには8時間は寝ると嘘をつき、夜遅くまで一人稽古に励む千鳥の姿が。汗をかき、衣服を変え、「もう一回!」と自分を鼓舞しながら、何度も、何度も同じ舞を繰り返す。稽古なのに、まるで舞台に立っている姿が想像できるほどの気迫。

千鳥も、清子も、カフェーの女給たちも、千代も、なぜみんな芝居に魅せられるのか。それは、芝居が自分の存在を肯定してくれるからだろう。まだ女性よりも男性の力が強い時代、「女性だから」という理由で損をすることもある。だけど女優になれば、自分を思い切り表現できる、自分を見下した人たちを芝居であっと言わせることもできる。舞台の上では女も男も関係ない。それぞれ事情は異なれ、彼女たちはみな志で繋がっている。

千代の夢はまだ始まったばかりだ。戻ってきた千代に悪態をつきながらも、水に浮かんだ四つ葉のクローバーを見て微笑む千鳥。2人はきっと、良い師弟関係を築いていくことだろう。(苫とり子)

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