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日本列島ゆるゆる古墳ハント(13)一見“ただの野原”、実は国宝級の価値!福岡県古賀市「船原古墳」

  • 2021.1.6
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「旅チャンネル」の企画で世界一周を2回経験した、古墳を愛するイラストレーター・マンガ家の水谷さるころが、これまで訪れた日本各地の古墳の魅力を紹介します。今回は、福岡県古賀市の「船原古墳」です。

※記事中の写真はすべて2017年5月に撮影したものです

福岡県古賀市の初の国史跡です。国史跡は学術的な価値が高い遺跡などを保護するために国が指定するものです。船原古墳は2016年に国史跡にされました。そんなにすごい古墳・・・どんな古墳?!とワクワクと見に行ったのは2017年でした。しかし・・・そこは辺り一面シロツメクサが生い茂る、立ち入り禁止の野原でした・・・!あ、あれ?

船原古墳は現存長37.4mで、復元された全長は45m以上とされています。6世紀末から7世紀初頭に築造されました。以前は円墳だと思われていましたが、その後の調査で前方後円墳とわかりました。古賀市では唯一の前方後円墳です。

2013年の発掘で、古墳横の遺物埋納坑から大量の遺物が発掘されました。ちなみに! GoogleMapのストリートビューで船原古墳を見ると、なんと遺物埋納坑発掘中の2013年の状況が見られます!!(2021年1月現在)

バーチャル!古墳ハーント!

ちなみに私はGoogleMapでのバーチャル古墳ハントをよくやっています。行きたい古墳、もう行った古墳、航空写真、投稿写真、ストリートビューなどで仕事の合間に古墳を見ています。

古墳の石室は盗掘をうけており、出土品は少なかったのですが、遺物埋納坑からは馬具装飾、金属製武器が発掘されました。その豪華さは未盗掘の状態で豪華な埋葬品が発掘され、のちに国宝・重要文化財になった国史跡、藤ノ木古墳に匹敵するといわれています。この古墳に葬られた人物がかなりの権力者であったことがうかがわれます。

2013年に未盗掘の状態で発掘された、それらの遺物は、土を掘り出した状態で九州国立博物館や九州歴史資料館へ送られて、エックス線やCTスキャナでの撮影や解析が行われたそうです。2018年に土が落とされた状態で古賀市に返却され・・・そして2020年に、国内では初となる玉虫装飾の馬具があるということがわかった!というニュースになったのでした。

玉虫の羽が使われた装飾は国宝である「法隆寺(奈良県)の玉虫厨子」などにみられるそうですが、馬具に使われているのは国内初。国宝級の価値があるそうです。

す、すごい。本当にすごい古墳だったんですね・・・。ぱっと見「ただの・・・野原・・・」とか思ってスミマセンでした!

ちなみに私が見に行った翌年の2018年には広場と駐車場、案内板などが整備されたそうです。石室も、遺物埋納坑も埋め戻されているため内部を見ることはできませんが、外部を見学することができます。古墳は現在進行形で発掘調査されているものもあるので、こんな風に古墳の外見や発掘された遺物の情報がバージョンアップされることもある・・・というのが船原古墳でよくわかりました。

もう一回、ちゃんと見に行きたい古墳ナンバーワンです。

この写真の中央が遺物埋納坑です。現在は広場になっています

船原古墳

住所:福岡県古賀市谷山1168

[All Photos by Mizutani salucoro]

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