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DX&リモートワーク時代に、知らないと危ない最新「デジタルリテラシー」一覧

  • 2021.1.2
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コロナ禍で推奨・促進された在宅勤務。リモートワーク化が浸透するにつれ、見えてきた課題も。ポストコロナ時代のデジタル環境はどうなっていくのだろうか。

“ポストコロナ時代のキーワードは「DX」。デジタルリテラシーが仕事を左右します”
日本の中年女性は自宅でオンラインで働いています
※写真はイメージです(写真=iStock.com/show999)
コロナでデジタル化加速。波に乗らずにいられない

2020年2月、新型コロナウイルスが急速に広がる中、政府は感染拡大を防ぐため、企業に在宅勤務前提のリモートワークの利用を促し始めました。2006年には、安倍首相政権下のIT新改革戦略にて、「2010年度までにテレワーク(リモートワークと同義)人口増」が掲げられ、リモートワークに取り組み始める企業が少なからずあったものの、政府目標にはほど遠い状況にありました。

09年の新型インフルエンザ流行期でも、11年の東日本大震災でも議論はされましたが、実際に働き方を変えるまでには至らず、リモートワーク化は遅々として進みませんでした。でも、今回のコロナ禍で一気に加速。20年4月7日の緊急事態宣言における外出自粛要請が、世の中のデジタル化をも促すことに。そんな急激な変化の中、私たちはどう行動していけばいいのか考えてみましょう。

かつて、政府が国家戦略としてリモートワークを推奨したことで、大手も中堅企業も意識してはいたけれど、資金面での問題をはじめ、精神的な面においても取り組むには至りませんでした。

2020年、オリンピックが開催されていたとしても、リモートワーク化を推し進める起爆剤にはならなかったでしょう。ではなぜ、リモートワーク化が進まなかったかというと、経営者や役員クラスはDX(デジタルトランスフォーメーション)化に乗り遅れることに危機感を抱いており、デジタル化を進めたいと考えるのですが、若手も含めた社員側から反対の声が上がるからです。

デジタルが苦手な年配社員が反対するならわかりますが、デジタルネイティブ世代(1980年前後以降生まれ/40代前半まで)も反対しているというのは意外ですよね。社員側は余計な仕事が増える、これまで頑張ってきた仕事がなくなるなど、DX化によって起きうる変化を危惧して反対しているのです。

ちなみに、DXとは、「デジタル技術を活用し、従来のやり方を抜本的に変革すること」。概念的でわかりにくいかもしれませんが、システムや制度が社会全体にとって、最適なものへと変貌していくことです。単なるサービスのデジタル化ではなく、DXは世の中の仕組みを変え、企業文化までも変えていくでしょう。

もちろん、今まで必要とされていた仕事が将来的になくなることはあるでしょう。でも、新たな仕事も生まれてくるので、決して、仕事が増えるとか、仕事がなくなることを意味しているわけではありません。でも、見えない未来に危機感を抱いてしまう気持ちもわからなくはありません。

そんな人にこそ伝えたいのは「みなさんは、すでにデジタル化の波に乗っていますよ」ということ。スマホを使ってアマゾンで買い物をし、通勤電車の遅延情報を得、メルカリで不要品を処分する……毎日の生活の中でデジタルサービスを利用していますよね。コロナ禍でデジタルサービスは一層進化しました。便利な世の中になりましたよね。

今や生活の中にデジタルはすっかり浸透しています。30年前だったら想像もできなかった世界。この便利なシステムを手放せますか? 一般的に企業内でのデジタル化よりも一般消費社会のほうが、デジタルネイティブに合わせたビジネスやサービスがどんどん増えています。一般向けのサービスなので、使い勝手の良さが第一に考えられており、特別な知識なしに使いこなせます。もはや、デジタル化の流れに乗るしかないのです。

アフターコロナでは出社ベースに戻る企業も

コロナ禍に後押しされてスタートしたリモートワークですが、早くから取り組んでいた企業は別にして、短期間で準備した企業でさえも十分に機能していますよね。経営者も社員層もこの結果に正直驚いていることでしょう。デジタル化は決してハードルの高いものではありませんし、使いこなすために高いスキルが必要なわけでもありません。そして、使ってみると、「意外に便利だよね」となるわけです。スマホに入っているアプリと同じ感覚。リモートワークにはメリットもあれば、デメリットもありますし、マネジメントや人事評価をどうするかといった問題など新たに見えてきた課題もありますが、それはリモート化が定着していく過程で改善されるでしょう。

新型コロナが収束した後は、リモートワークを推し進める企業と出社ベースに戻る企業と二極化するでしょう。しかし、ここで出社ベースに戻ってしまうと、デジタルディバイド(情報格差)が顕著になり、DX化の恩恵を受けることができなくなります。それは収益だけでなく、企業の将来性を左右し、企業間格差を生み出す大きな問題。もはや、コロナ以前の世界に戻れない今、社会全体でいかにDX化を進めるかを考えるべき時なのです。すでにリモートワークを継続し、さらなるDX推進を宣言している企業も出てきています。世の中はますますDX化に向けて加速中。その中で、どう行動していくべきかを考えることは、これからのキャリア形成を考えるうえでも大切なことだと思います。

デジタル化が進む中での、AIとの付き合い方

難しいことを考える必要なし。デジタルを楽しみ、遊び倒す気持ちがデジタルリテラシーを高めることに。

ポストコロナ時代の変化
苦手意識を持たずにどんどんチャレンジして

「デジタルは苦手だから無理……」と最初から拒否感を持つ人も多いのですが、会社からリモートワークを行うと通達されれば、使わないわけにはいかず、自然と使いこなせるようになります。やってみればできるものなのです。しかも、リモートワークは育児との両立ができ、WLB(ワーク・ライフ・バランス)を取るうえでもベストなシステム。もう元に戻りたいとは思わないですよね。

早くからリモートワークを取り入れていた企業ですら、女性が働きやすい環境を提供しきれていたとは言い難いものでした。しかも、ビフォアコロナ時代、リモートワークは短時間勤務の延長のように思われ、在宅勤務に後ろめたさを感じる人も多かったようです。でも、コロナ禍で在宅勤務が推奨されると、成果の出せる働き方だと認められるように。

コロナ禍で何が変わったのかというと、リモートワークが浸透したことよりも、リモートワークを行う環境が整ったことがいちばんの成果。そうしてやっと今、リモートワークにおけるマネジメントや人事評価をどうするかといった問題点が指摘されるところまで発展しました。こういった問題もAI(人工知能)などのデジタル技術を使うことによって解消されていくでしょう。

デジタルリテラシーは楽しみながら高めて

これからの時代、学ぶべきことはデジタルリテラシーですが、デジタルリテラシーは学ぶものではなく、デジタルを楽しみながら使うことで身につく能力です。例えば、中高生にティックトック(ショートムービーアプリ)が人気というのなら、1度使ってみるべきです。ドローンの進化がすごいと聞いたなら、1度飛ばしてみるべきです。試した経験がデジタルリテラシーを高めてくれます。

デジタルデバイドがもたらすもの

以前、某企業の取り組みで、社員の位置情報をタイムリーに地図に表示させる仕組みを見た際に、「ウーバーイーツからヒントを得たのですか?」と聞いてみると、案の定ウーバーイーツを使ったことのある社員からの提案だったそう。でも、サービスを使ったことがなければ、そのような提案はできません。こうやってデジタルに触れた経験のひとつひとつが、新しい取り組みを敬遠している人との間にデジタルディバイドを生み出していくのです。デジタルリテラシーを高めるには、難しい言葉や仕組みを学ぶより「デジタルに触れる」。それが最短の方法なのです。

また、デジタル化で問題とされるのがセキュリティー。個人情報が流出するのではないかと騒がれていますが、すでに個人情報は取られています。アマゾンで買い物をすれば、AIがユーザーの好みを分析して、興味のありそうな商品をピックアップしてくれます。DX化が進むと例えば、現在、アマゾンで“40代女性”とカテゴライズされている情報の精度がより深くなり、個人の趣味嗜好しこうに合った提案がなされるようになります。

これは便利なサービスであり、リスクではありませんよね。私たちもメディアに氾濫する情報を選び取る力が試されています。発信された情報をうのみにせず、分析し、必要以上にリスクを恐れず、自分に必要かどうかを見極める目を持つことが大切なのです。

ポストコロナ時代の働き方

リモートワーク

デジタル化は顔の見えない世界を生み出すのではなく、より「人」に焦点が当たる世界になる。

ウィズコロナでリモートワークの状況はどう変わった?
「人」の存在が重要になり「人」を大切にする社会へ

在宅勤務の環境が整いつつある今、働き方の多様化がさらに進み、「永久在宅勤務者」というくくりができるかもしれませんね。DX化の流れでAIに取って代わる職業が出てくるだろうと以前からいわれていますが、それが現実になる日も近いでしょうし、大リストラ時代が訪れるのは間違いないでしょう。仕事をしているフリをしてきた社員や社内を散歩するのが日課の上司など、これを機にあぶり出されそうです。そんななか、これからの強みは“個性”。

デジタル化で顔が見えなくなるからこそ、個性を輝かせる働き方が重要に。誰にでもできる仕事はAIに任せればいい。注目されるべきは技術ではなく、“人”。「この人でなければできない仕事」に取り組むことが大切になるのではないでしょうか。リモートワークの浸透で、個性が前面に押し出され、自分の意見を言えない人は発言の機会すらなくなるでしょう。男性だから、女性だからとか、空気を読めるか否かなど非言語的表現が通用しない世の中に変わっていくと考えられます。

リモートワーク時代のマネジメント術

また、個々の動きが見えないリモートワークでマネジメントをどう行っていけばいいのかという問題が浮かび上がってきましたね。まだベストな対策を見いだせずにいますが、出社ベースの現場の場合、上司はプロジェクトの進捗管理をしていましたが、リモートワークでのマネジメントは、“人”を管理する方向にいくのではないかと考えます。顧客へのサービス向上を考えるときも、今まで見逃されてきた“働く側”に焦点が当たるようになるでしょう。人口増加時代はマス戦略で十分でしたが、時代はますます個人中心に。

ポストコロナ時代、女性の働き方はどう変わる?

デジタル化で、より“人”の存在が重要視されるようになれば、EX(従業員の体験価値)を高めることが大切に。仕事が嫌いな人がお客様のことを考えられますか? EXを高めれば、CX(顧客の体験価値)はおのずと高まります。つまり、雇用者が従業員へ目配りしていれば、従業員は顧客への目配りができるということ。デジタルが当たり前の世界になれば、より“人”中心のビジネスへとシフトするでしょう。

リモートワーク時代の身近な問題

オンラインツールの基本の“き”

社会的にもリモートワークが当たり前となった今、今さら聞けないオンラインツールの基本についておさらいを。

オンライン環境への投資は惜しまずに

デジタルリテラシーを高めるためにも、リモートワーク環境を整えるための投資を惜しむべきではありません。仕事の効率を上げ、成果を出すための必要投資と考えるべきです。オンライン会議の場合、女性なら少しでもきれいに映りたいと思うでしょう。それならカメラにこだわるのもいい。リングライトを導入すれば、カメラ映りは格段にアップしますし、メイクと同様、きれいに映っていれば、自信に裏打ちされた、より攻めたプレゼンテーションが行えることも。

ポストコロナ時代のニューノーマル1

オンラインツールにもたくさんの種類があり、いつも使っているものならいいのですが、使ったことのないものだと面倒だと感じてしまう人は多いですよね。でも、よいきっかけを与えられたと意識を変えてチャレンジして。いつもと違う使い勝手に、こうだったら、ああだったらと思うこともデジタルリテラシーを高めるきっかけになります。

ポストコロナ時代のニューノーマル2

また、リモートワークの普及と同時に問題視されているのがリモハラ(リモートワークハラスメント)。オンライン中、部屋の様子や服装について詮索されたり、生活音や子どもの声に対してコメントされるなど、デリカシーのない発言に不快な思いをすることも。しかし、お互いにバーチャル背景を設定して、相手が気にしないように配慮したり、生活音が漏れないよう、発言のタイミング以外はミュートにしておくなど、できうる対策は最大限行ったほうがいいですね。オンラインツールは、リモートワーク時代の大切なコミュニケーションツール。お互いにマナーを守って、気持ちよくコミュニケーションを取っていきましょう。

WEB会議比較ツール
覚えておきたいデジタル用語
DX(デジタルトランスフォーメーション)

進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにしていくという概念。

デジタルディバイド

情報通信技術(IT)を利用したり、使いこなすことができる人とできない人との間に生じる格差。=情報格差

デジタルリテラシー

デジタルツールを使いこなし、活用する能力。また、デジタル化による進化や変化に適応する能力。

ゼロトラストネットワーク

サイバー攻撃や内部不正などのIT環境を取り巻く脅威に対し、「社内だからこそ安全」ではなく、「全く信頼できない(ゼロトラスト)」として制御すること。

インターネットとイントラネット

インターネットは世界中のコンピュータなど情報機器を接続するネットワークのこと。企業など組織内で構築されたプライベートネットワークがイントラネット。

エッセンシャルワーカー

社会機能を維持するために必要不可欠な仕事に従事する人。医療関係者やスーパーのレジ係など。

リモートワーカー

自宅やサテライトオフィスなど、オフィス以外の場所でリモート(遠隔)で働く人。

Maas(マース)

バスや電車、タクシーやライドシェアなどすべての公共交通手段をITで結びつけ、便利に使えるようにするサービス。=Mobility as a service

EX(Employee Experience)

商品やサービス利用における従業員の体験価値。

CX(Customer Experience)

商品やサービス利用における顧客の体験価値。

UX(User Experience)

商品やサービス利用における利用者の体験価値。

O2Oオーツーオー(Online to Offline)

オンラインとオフラインを連携させて購買活動を促進させる施策。

構成=江藤 誌恵 写真=iStock.com

八木 典裕(やぎ・のりひろ)
ベイカレント・コンサルティング チーフ・エバンジェリスト
デジタル・イノベーション・ラボ所属。デジタルトランスフォーメーション、新規ビジネスの創造などをテーマとしたプロジェクトを主導。共著に『デジタルトランスフォーメーションの実際』『データレバレッジ経営』(ともに日経BP)など。

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