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祝・ホーカーの世界無形遺産登録!シンガポールの文化が感じられる国民の台所【週末アジア:シンガポール編】

  • 2021.1.1
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連載「週末アジア」は、アジアに精通している女性たちが、おしゃれなショップやカフェ、おすすめスポット、旬のニュースなどをピックアップして、まだまだ知られていないアジアの魅力をお伝えしていきます。いますぐに旅立つことはできないけれど、また旅ができる日々を楽しみに。

 

祝・ホーカーの世界無形遺産登録!シンガポールの文化が感じられる国民の台所【週末アジア:シンガポール編】
出典 FUDGE.jp

 

シンガポールらしいグルメスポットの代表的存在が、ホーカー。屋台です。

屋台が多数集積するホーカーセンターは、東京23区と同サイズといわれるシンガポール国内に114個もあり、数軒の屋台で構成されるコーヒーショップはさらに数が多く、屋台は国民の台所的役割を担っています。

 

このホーカー文化が、2020年12月、ついにユネスコ無形文化遺産に登録されました!パチパチパチ! シンガポールでは2015年にボタニックガーデンが世界遺産登録されていますが、無形文化遺産としてはこれが初。

というわけで、今回はシンガポールのホーカーの歴史について簡単にご紹介させてください。

 

祝・ホーカーの世界無形遺産登録!シンガポールの文化が感じられる国民の台所【週末アジア:シンガポール編】
出典 FUDGE.jp

 

ホーカーの原型は、移動式カート。

第二次世界大戦前、港湾や建設現場に従事する移民労働者の多くが、この移動式カートで食事をとっていました。しかし衛生管理が悪く、疫病が発生しやすい場であったことに加え、屋台によって道路がふさがれていることが国の都市計画に反するという理由から、移動式カートの撤廃勧告がなされます。

 

ですが移動式カートを生業にする人がいるわけで、当然、なかなかなくならない。

そこで国は、屋台を一箇所にまとめ、衛星管理を徹底しようと考えます。その際、施設使用料を安く抑えることを約束。料理の提供価格を上げずに商売が続けられることをアピールし、移動を促したのです。これが進化し、ホーカーセンターが生まれました。

 

祝・ホーカーの世界無形遺産登録!シンガポールの文化が感じられる国民の台所【週末アジア:シンガポール編】
出典 FUDGE.jp

 

昨今では国内の人気レストランを屋台として招致するホーカーセンター「Timbre+」や、若者が屋台出店をしやすいように設けられた「Pasir Ris Central Hawker Centre」などが登場。

ホーカーに新しい風を吹かせよう、という試みがなされる一方、驚くべきは、「適正価格で料理を提供する」という発足時のコンセプトが、現在に至るまで維持されていること。

 

祝・ホーカーの世界無形遺産登録!シンガポールの文化が感じられる国民の台所【週末アジア:シンガポール編】
出典 FUDGE.jp

 

2016年にスタートしたシンガポール版ミシュランに2軒の屋台が1つ星店として名を連ねたのですが、「Liao Fan Hong Kong Soya Sauce Chicken Rice and Noodle」は3ドル(約240円)で食べられる世界でもっとも安いミシュラン店として話題となったほど。

 

祝・ホーカーの世界無形遺産登録!シンガポールの文化が感じられる国民の台所【週末アジア:シンガポール編】
出典 FUDGE.jp
祝・ホーカーの世界無形遺産登録!シンガポールの文化が感じられる国民の台所【週末アジア:シンガポール編】
出典 FUDGE.jp
祝・ホーカーの世界無形遺産登録!シンガポールの文化が感じられる国民の台所【週末アジア:シンガポール編】
出典 FUDGE.jp

 

昔に比べて原材料費が上がるなか、メニュー価格にはほとんど変化がない。食べ手としてはありがたい限りだけれど、屋台オーナーにとっては大変な世界。

そこにきて、パンデミックによる外出制限も加わって、いま、ホーカー経営は厳しい状況であると想像に難くありません(現在、外出制限はないけれど、コロナ禍前と比べたら客数は減っているそう)。

 

だからこそ、今回の無形文化遺産登録は、ホーカー経営者にとっても、シンガポール国民にとっても喜ばしく感じられました。

 

祝・ホーカーの世界無形遺産登録!シンガポールの文化が感じられる国民の台所【週末アジア:シンガポール編】
出典 FUDGE.jp

 

ホーカーがこれからも安くて、おいしくて、シンガポールの文化を感じられる場所でありますように。

 

※写真はコロナ流行前に撮影したものです。

 

 

text:Ayako Tada

祝・ホーカーの世界無形遺産登録!シンガポールの文化が感じられる国民の台所【週末アジア:シンガポール編】
出典 FUDGE.jp

編集&ライター。2006年、マガジンハウスに入社。雑誌『Hanako』『GINZA』編集部に勤務し、ビューティ、ファッション、グルメなどを担当。結婚を機に2016年よりシンガポールに移住。現在はフリーランスとして「Hanako.tokyo」やシンガポールのローカル誌などで活動中。

Instagram : @tadaayako

 

 

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