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朝ドラ『おちょやん』ヒロイン・杉咲花インタビュー!「生きるパワーがもらえるはず」

  • 2020.12.30
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女優の道を生き抜き「大阪のお母さん」と呼ばれた昭和の名女優・浪花千栄子さんをモデルとした、NHK連続テレビ小説「おちょやん」。明治の末、大阪の南河内の貧しい家に生まれたヒロイン・竹井千代が、昭和の激動の時代に大家族のような劇団生活を経て、女優の道を目指すという物語だ。道頓堀を舞台に、喜劇女優として成長していく千代の波瀾万丈の人生を、笑いあり涙ありに描いている。

【写真】はじける笑顔がかわいい!ヒロインになりきる杉咲花に注目

今作のヒロインを演じるのは「朝ドラのヒロインは憧れでした」と語る、杉咲花さん。今回、彼女に作品の見どころや撮影現場でのエピソードなどについて話を聞いてみた。

「成田さんが現場にいると安心感があります」

チャーミングな笑顔が印象的な杉咲花が、明るく元気なヒロインを演じる 写真提供:NHK
チャーミングな笑顔が印象的な杉咲花が、明るく元気なヒロインを演じる 写真提供:NHK

ー収録に参加されてみて、現場の印象はいかがでしょうか?

「大阪での撮影は、すごくアットホームです。スタッフさんがとても優しくて、慣れない環境でやっていく中で、あたたかく迎え入れてくださいました。皆さん私より先にクランクインされているのもあってか、それぞれの部署でのチームワークを感じられて楽しいです。スタッフさんやキャストの皆さんとしっかりコミュニケーションをとりながら、毎日楽しく過ごしていけたらいいなと思います」

ー成田凌さんとは共演の回数が多いと思いますが、撮影中のエピソードがあれば教えてください。

「成田さんと私は関西出身ではないので、この作品でイチから勉強させていただいています。(成田さんも)ここまで関西弁を話す作品はなかったと言っていて、助け合いながら日々乗り越えています。これまで何度も共演させていただいていることもあり、今回も昔から知っている幼なじみという役柄なので、"同志"という感じです。普段、共演者の方と話さないようなシーンの細かい点も、撮影に関係のない話も、思ったことはすぐになんでも話せるので、成田さんが現場にいると安心感があります」

ー南河内の方言で難しかった言葉、楽しかった言葉、好きな言葉はありますか?

「大阪弁を話すこと自体が楽しいです。今まで方言のある役を演じる機会がなかったので、いつかやれたら、と思っていて。約1年前から方言指導していただいているので、こんなに学べる時間があることが贅沢だなと思っています。幼少期の千代を演じた毎田暖乃ちゃんが迫力があって上手で。私もそれを引き継げたらいいなと思っていますが、巻き舌が難しいです」

ー劇中で心に染みたセリフはありましたか?

「千代に悲しい出来事が起こり、一平(成田凌)に自分の思いをぶつけるシーンがあるんです。そこで一平に『お前の苦しさなんかわからない』と言われるんです。『自分がどれだけ苦しくてもそれを人にわかってもらえるなんて俺は思っていない。だからこそ俺は芝居をするんだ。そうすることでちょっとでもわかってもらえる気がする』という言葉が自分自身の心にも響きました」

「笑ってもらうのは難しいし怖い。足とか手とか震えてます(笑)」

喜劇にも体当たりで挑戦する杉咲花に注目 写真提供:NHK
喜劇にも体当たりで挑戦する杉咲花に注目 写真提供:NHK

ー千代のモデルとなった浪花千栄子さんの印象と、大阪の喜劇のイメージについて教えてください。

「浪花千栄子さんの『水のように』という自伝を読ませていただき、苦しい体験や辛い思いをたくさんされていても、それに負けない生きるパワーや諦めない気持ちが強い方なのだろうと感じました。また、この作品が決まってからスタッフの方と喜劇を見に行かせていただきました。喜劇を生で観賞し、人を楽しませるために一生懸命に向き合われている出演者の方の姿に感動しました。今、撮影しているなかで笑ってもらうことはとても難しいしですし、怖いとすら思っています。なので、より喜劇に対するリスペクトが強まりました」

ー喜劇において、笑わせることの何が難しいと感じましたか?また本格的に取り組まれたことで、俳優として成長したなと思った瞬間はありましたか?

「星田英利さんなど、人を笑わせることをお仕事としてされてきた方とご一緒していると、ツッコミの速さ1つとってもすごいです。それから、間や言い方は考えすぎてしまうとおもしろくなくなってしまうのかもしれないとも思いました。例えば、自分が台本を読んでいておもしろいと感じたセリフも、千代は人を笑わせようとして言っているのではないのに、気付いたらおもしろく言おうとしている自分がいて。『ああ、こうじゃない気がするな…』と思ったり。

あとは監督によってはカットをかけずシーン終了後のアドリブを楽しまれている方もいらっしゃって。自分なりにがんばってアドリブを言って、たまにびっくりするくらい現場がシーンとなって落ち込むこともありますが、『次、がんばろう!』と切り替えられる時にメンタルが強くなってきているなと感じます。『自分に負けるな!』という気持ちで喜劇にチャレンジしていますが、正直、怖いです。気付いたら、足とか手とか震えています(笑)」

ー千代の生き方やセリフなどから、同じ女優として勉強になるところはありますか?

「千代はすごく機転が利く人なので、ハプニングが起こった時も真っ正面から向き合える人。私はアドリブもすごく苦手でしたが、千代のおかげで『この後どうなるかじゃなくて、今起こっていることをちゃんと受け止めなきゃ、千代もそうしているし』と、思えるようになりました。それからは、焦ったりすることが減ったように思います」

ー時代が戦前から昭和初期ということで、その時代の人物を演じるうえで大切にされていることはありますか?

「千代は主に着物で生活しているので、外出自粛期間中は毎日着物で過ごしていました。所作はすぐにできることではなく、繰り返すことで馴染むものだと思うので。メンタル面では、この時代だからというより、どんな時代を生きていても人には気持ちがあって、相手の存在によって心が動かされる、ということを心に留めて演じたいと思っています」

憧れの朝ドラヒロイン。「女優の道を目指していくのは私との共通点」

ーご自身の役柄についての印象(ご自身との共通点・異なる点など)は? 演じるうえで楽しみにしていること、役のここに注目してほしいという点は?

「千代には険しい試練がどんどん降りかかるんですが、負けずに前を向いて進んでいく人なので、自分自身も台本を読んだり演じたりするなかでパワーをもらっています。いろんな人と出会っていろんな場所に行く千代ですが、どこにいっても周りの人たちから愛されます。最初はキツイ対応をされることもありますが、諦めずにまっすぐ向き合う千代の人柄がすてきだなと感じました。自分が落ち込むところや 、悲しい姿を人の前で見せないところがすごいなとも思うし、不器用だなとも思います。でも、自分の力で立って進んでいこうとする人だからかっこいい。すごく強い人だと思います。

千代が、井川遥さん演じる高城百合子という女優のお芝居を見て女優の道を目指していくのは、私自身との共通点かもしれません。高城さんのお芝居が頭の中から離れなくなって、お芝居が大好きになっていく千代と同じように、小さい頃からドラマが大好きで1クールに放送しているドラマを全部見るくらい夢中だった私は、女優の志田未来さんに憧れて今の事務所に入りました。見ていたドラマの中でもいくつか大好きな作品があって、そのほとんどに志田さんが出演されていたんです。志田さんのお芝居を拝見して志田さんに憧れて、自分もお芝居をやってみたいなと思ったのがきっかけなので、なんだかちょっと千代と似ているのかなと思います」

ー初の朝ドラヒロインということで、プレッシャーとの向き合い方を教えてください。

「プレッシャーと向き合えているのかは分かりませんが、1番大事なのは千代として存在することなので、ただそれだけを考えています。いつも新鮮な気持ちでいることも大切にしています」

ー連続テレビ小説「とと姉ちゃん」にご出演されていましたが、今回ヒロインを演じられて、朝ドラヒロインへの印象は変わりましたか?また高畑充希さんなど、朝ドラヒロイン経験者の方からアドバイスを受けたことがあれば教えてください。

「『とと姉ちゃん』の時は、毎週のリハーサルや毎日の撮影が長い期間積み重なっていくことを痛感し、『きっと私でもこんなに大変だから、高畑さんはもっと大変なんだろうな』と思っていました。実際に今回ヒロインを演じさせていただいてからも、リハーサルの量や膨大なセリフなどに毎回しびれますが(笑)。でも、毎日現場でスタッフさんやキャストの方の顔を見ると、作品に携われていると実感できるのでそれがうれしいです。(高畑さんと)つい最近電話したんですが、『大変でしょ、がんばってね。おいしいご飯屋さん紹介するね』と励ましの言葉をいただきました」

「思いやりある登場人物に生きるパワーをもらえるはず」

「負けずに前を向く千代にパワーをもらっている」と語る杉咲花 写真提供:NHK
「負けずに前を向く千代にパワーをもらっている」と語る杉咲花 写真提供:NHK

ー「おちょやん」という作品の見どころについて教えてください。

「千代はもちろん、この作品には苦しい体験をした登場人物がたくさん出てきます。そんな登場人物も辛い出来事から真っ正面に向き合えない時がありますが、『でもあと一歩だけ踏み出してみよう』『あとちょっとだけ頑張ってみよう』と自分を奮い立たせる姿が描かれています。自分が辛い時でも相手のことを支えてあげようと行動する思いやりある登場人物たちに、生きるパワーをもらえると思います。

不思議なんですが、演じていると楽しいシーンでもなんだか泣けてきたり、逆に悲しいシーンなのに愛おしく感じたりすることがあるんです。劇中に『笑いと悲劇は紙一重だ』というセリフが出てきますが、『まさにそうだな』と感じます。今、まさにこんな世の中になって皆さん大変なことがたくさんあると思いますが、この作品を見て『あとちょっとがんばってみるか』と、思っていただけたらうれしいです」

ー視聴者へのメッセージをお願いします。

「千代は悲しいことがあったときに、ストレートに感情を出すのではなく、あえて笑ってそれを隠したりする、我慢の人。一生懸命前に前に進んでいく千代の姿に勇気づけられる瞬間があったらうれしいです」

NHK連続テレビ小説『おちょやん』は、総合テレビにて毎週月曜〜土曜8時、BSプレミアム・BS4Kにて午前7時30分などで放送中。

取材・文=左近智子(glass)

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