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「SXSW」にも潜入?音楽の街、オースティンで撮られた『ソング・トゥ・ソング』が臨場感たっぷり

  • 2020.12.29
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『天国の日々』(78)、『シン・レッド・ライン』(98)などの名匠、テレンス・マリックが監督を務め、ルーニー・マーラやライアン・ゴズリング、マイケル・ファスベンダー、ナタリー・ポートマンといった豪華キャストが集結した『ソング・トゥ・ソング』(公開中)。音楽を一つのテーマとし、揺れる男女の心を綴った本作の舞台となったのが、テキサス州のオースティン。アメリカでも指折りの“音楽の街”と呼ばれる同地と、音楽ファンが歓喜すること間違いなしの本作の魅力を紹介する。

【写真を見る】ギターで語り合うパンク・ロックのゴッド・マザー、パティ・スミスとルーニー・マーラ

オースティンを舞台に、4人の男女の揺れる恋模様が描かれる [c] 2017 Buckeye Pictures, LLC
オースティンを舞台に、4人の男女の揺れる恋模様が描かれる [c] 2017 Buckeye Pictures, LLC

ロックバンドでギターを弾くフェイ(マーラ)は、成功した大物プロデューサーのクック(ファスベンダー)と密かに付き合っていた。そんなフェイに売れないソングライター、BV(ゴズリング)が想いを寄せる。一方、恋愛をゲームのように楽しむクックは夢をあきらめたウェイトレスのロンダ(ポートマン)を誘惑。愛と裏切りが交差するなか、思いもよらない運命が4人を待ち受ける…。

リッキがダンスする周りを歩くBV [c] 2017 Buckeye Pictures, LLC
リッキがダンスする周りを歩くBV [c] 2017 Buckeye Pictures, LLC

「サウス・バイ・サウスウエスト」の開催地、オースティン

テキサス州の州都で、公園や湖も市内に多数あり、ハイキング、自転車、水泳、ボートなどで賑わい、肉汁したたるテキサスバーベキューに代表される豊かな食文化を誇るオースティン。そんな同地は“世界のライブミュージックの首都”を自称するだけあって、街中にライブハウスが軒を連ね、一年を通して音楽フェスが開催されている。

「サウス・バイ・サウスウエスト」で演奏するザ・スペシャルズ 写真:SPLASH/アフロ
「サウス・バイ・サウスウエスト」で演奏するザ・スペシャルズ 写真:SPLASH/アフロ

そんな街の象徴と言えるのが、音楽や映画に、企業の見本市までをも組み合わせた大規模イベント「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」であり、その会場にもなっているダウンタウンの中心地、シックス・ストリート。道沿いにはライブハウスはもちろん、クラブやバーが並び、夜には歩行者天国となる路上では、ストリートライブも楽しむことができるなど、まさに“音楽の街”と呼ぶにふさわしい光景が広がっているのだ。

「サウス・バイ・サウスウエスト」で演奏するフー・ファイターズ 写真:SPLASH/アフロ
「サウス・バイ・サウスウエスト」で演奏するフー・ファイターズ 写真:SPLASH/アフロ

フェスで実際に撮影された臨場感ある映像

本作の大部分は、いたるところに音楽があふれるこのオースティンで行われており、街の3大ロックフェス、「オースティン・シティ・リミッツ・フェスティバル」「ファンファンファン・フェスト」、そして先ほども紹介した「サウス・バイ・サウスウエスト」の会場にも足を踏み入れている。撮影監督は『ゼロ・グラビティ』(13)、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(14)、『レヴェナント:蘇えりし者』(15)で3年連続、米アカデミー賞撮影賞を受賞したエマニュエル・ルベツキ。開催中のフェスの模様を撮影した本作の映像は臨場感たっぷりで、演奏中のミュージシャンはもちろん、そのパフォーマンスに興奮する観客の熱気も間近で感じることができ、すぐ目の前でライブが行われているような感覚を味わうことができる。

フェスの舞台裏にもカメラが潜入 [c] 2017 Buckeye Pictures, LLC
フェスの舞台裏にもカメラが潜入 [c] 2017 Buckeye Pictures, LLC

さらに、映像はステージや観客を映すにはとどまらず、バックステージや楽屋にも潜入。イギー・ポップや元セックス・ピストルズのジョン・ライドン、レッド・ホット・チリ・ペッパーズといった大物ミュージシャンが本人役で登場し、キャストと談笑したり、ふざけ合ったりするなど、ほがらかな表情を見せてくれる。彼らの演奏シーンもあり、レッチリのフリーが舞台裏でおもむろに、彼の代名詞とも言えるファンキーなスラップ奏法を披露する姿は、短い時間ながらファンにとってはたまらないシーンになっている。

ファスベンダー演じる大物プロデューサーのクック [c] 2017 Buckeye Pictures, LLC
ファスベンダー演じる大物プロデューサーのクック [c] 2017 Buckeye Pictures, LLC

ヴァル・キルマーが過激なヴォーカリスト役で登場!

ギタリストのフェイを演じたマーラは、音楽経験がまったくなかったため、友人でもあるミュージシャン、セイント・ヴィンセントとして活動するアニー・クラークからギターの弾き方を教わったという。また、フェイが所属するバンドはアトランタのロックバンド、ブラック・リップスが務めている。ライブ中にトイレットペーパーが飛び交い、天井に向かって唾を吐くなど、過激なパフォーマンスで知られる彼らだが、それ以上に強烈な印象を残すのが、このバンドのヴォーカルとして登場するヴァル・キルマー。ステージ上にチェーンソーを持ち込み、ライブ中にアンプを切ってしまう破天荒なキャラクターで、フェスからつまみ出され、悪態をつきながらパトカーに乗せられてしまう。

ヴァル・キルマーが破天荒なヴォーカリストを演じる [c] 2017 Buckeye Pictures, LLC
ヴァル・キルマーが破天荒なヴォーカリストを演じる [c] 2017 Buckeye Pictures, LLC

パティ・スミスとの共演にルーニー・マーラも感動

本作に出演するミュージシャンの中で、最も重要な役で登場するのが、監督のマリックとは70年代からの知り合いだったパンク・ロックのゴッドマザー、パティ・スミス。フェイに影響を与える存在で、劇中では二人がギターを通じて会話をしているようなシーンも描かれている。マーラ自身にとってもこれは貴重な体験だったようで、「彼女との出会いは決して忘れることのできない、信じられないほど特別な体験だった。人生や愛について、彼女が考えていることを全部聞くことができたのはラッキーでした」と感銘の気持ちを語っている。

【写真を見る】ギターで語り合うパンク・ロックのゴッド・マザー、パティ・スミスとルーニー・マーラ [c] 2017 Buckeye Pictures, LLC
【写真を見る】ギターで語り合うパンク・ロックのゴッド・マザー、パティ・スミスとルーニー・マーラ [c] 2017 Buckeye Pictures, LLC

映像だけでなく、クラシック、ブルース、ロック、R&B、レゲエと様々な楽曲が全編に散りばめられている本作。4人の男女が織りなす愛の物語を見守りながら、フェスやライブの興奮をスクリーン越しに感じて取ってほしい。

文/平尾嘉浩

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