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【茨城】癒しのパワーが満ちる〈大洗磯前神社〉へ。おだやかな空気と絶景に心洗われる“回帰の地”。

  • 2020.12.30
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今回訪れたのは〈大洗磯前神社〉。海や木々に囲まれた、自然に満ちた場所へ向かえば、かつて神々が降臨したといわれる神聖な地には心に安息をもたらす癒しのパワーが満ちていました。12月28日(月)発売 Hanako1192号「幸せをよぶ、神社とお寺。」よりお届け。

海風にいだかれながら歴史に思いを馳せて。

日本屈指の絶景スポットとしても知られる茨城県・大洗磯前神社の“神磯の鳥居”。季節や時間によって違う表情を見せる。
1937年に建てられた二の鳥居の向こうに遥かなる太平洋を望む。石段を上ると、正面に堂々たる佇まいの御社殿が。

心が洗われる、気持ちが満ちるという言葉の漢字に“さんずい”が用いられるように、水辺の神社を訪れると心身が浄化された気分になるという人も多いだろう。北関東のなかでも、とりわけ神秘的な景色を望む茨城県の大洗磯前神社。太平洋にせり出した岩礁の突端に静かに佇む鳥居は「神界の門」と呼ばれ、古くから地元の人々に親しまれてきた。

お守りは番号を指定して受け取りを。
お祀りする大己貴命(別名は大国主神)が「因幡の白うさぎ」を救ったという伝説にちなんだ可愛らしい絵馬が。

『日本文徳天皇実録』には、斉衡3年(856年)のある夜、海辺が突如として光り輝き、常陸国鹿島郡大洗の地に神々が御降臨されたという記がある。折しも疫病が猛威をふるい、人々の生活を困窮させていた時代。里人のひとりに神憑りをし、「我は大奈母知・少比古奈命なり。昔、この国を造り、常世の国に去ったが、人々の難儀を救うために再びこの地に帰ってきた」と仰せられたことで大洗磯前神社が創建されたという逸話を聞けば、目にうつる風景もより神秘的に見える。

“神磯の鳥居”が時間や季節によってまったく違う表情を見せるのも、訪れる人の心を魅了してやまない理由で、晴れた日の朝は雲間から差し込む太陽が海辺をきらきらと照らし、そこに幻想的な〝光の道〞が現れる。空と海をオレンジ色に染め上げる、夕方の厳かでドラマティックな風景も息を呑むような美しさで、太古からずっとこの場所にあり続ける自然の営みには、見る人の心を打ち、原点へリセットさせてくれるような力を感じる。海とは反対側の二の鳥居をくぐり、石段を上れば、悠々とした自然とともに大らかで清らかな空気に包まれた社殿が。

境内全体が温かさと開放的な雰囲気に包まれている。

国造りの神様、大己貴命と医薬の神様ともいわれる少彦名命をお祀りした本殿には、疫病退散や無病息災、平安無事を願う人が全国から参拝に訪れる。大己貴命が「目に見えないものをつかさどる神様」であることから、恋愛や仕事などさまざまなご縁が結ばれることをお祈りする人も多い。おだやかな空気を肌で感じるだけでも御利益がありそうだが、それ以上に、この場所を訪れれば、心が温かくなるような包容力を感じるはず。鳥居の向こうに広がる水平線を眺め、静かな気持ちでお参りをする時間が、どんなときも心を真っさらな“原点”へと導いてくれる。

〈大洗磯前神社〉

県道2号沿いにある一の鳥居は、関東有数の大鳥居としても有名。江戸時代初期の建築様式をいまに伝える立派な社殿は、茨城県の文化財に指定されており、全国から参拝者が訪れる。
茨城県東茨城郡大洗町磯浜町6890
029-267-2637
6:00~17:00

(Hanako1192号掲載/photo : Norio Kidera text : Keiko Kodera)

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