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SNSで話題!“戦国武将×スマホ”ドラマの裏側は「デジタルとアナログの融合」制作担当者が撮影秘話を語る!<光秀のスマホ>

  • 2020.12.25
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「光秀のスマホ」拡大版が放送! (C)NHK
「光秀のスマホ」拡大版が放送! (C)NHK

【写真を見る】撮影で実際に使われたカメラはこちら!

全編スマートフォンの画面のみで描く戦国SF時代劇「光秀のスマホ」の拡大版、「光秀のスマホ 歳末の陣」(夜10:00-10:48、NHK総合)が12月25日に放送される。

同作は、武将たちが群雄割拠し、天下統一に向けて覇権を争った戦国時代を舞台に、もしも彼ら武将たちがスマホを持っていたら、合戦の勝敗をニュース速報で受け取り、ライバル武将とフォロワー数争いを繰り広げたりするかもしれないという“もしも”の世界を描く。

主人公は、現在放送中の大河ドラマ「麒麟がくる」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)の主人公である明智光秀。大河ドラマでは、乱れた世を憂う勇猛果敢な戦国武将であるが、本作の光秀は、“エゴサ”をして評判の悪さに落ち込んだり、フォロワーの伸びを気にしたり、裏アカで愚痴をこぼしたりする。

拡大版では、前回放送された山田孝之演じる光秀や信長(島崎信長)のやり取りを中心に、和田正人演じる秀吉の視点を加えたものを放送。秀吉の正室・おねとして田中みな実が出演する他、南殿を小島みなみが演じる。

深夜に5分程度放送されていた同ドラマだが、今までなかった全編スマホのみのドラマにSNSを中心に話題に。今回の拡大版を制作するまでに至った。そんなドラマの制作担当者にWEBザテレビジョンではインタビューを行い、このドラマの制作を始めたきっかけや、撮影秘話などを聞いた。

制作担当者インタビュー

――「光秀のスマホ」はどのようなきっかけで生まれたのでしょうか

2018年にアメリカ・ニューヨークで行われた世界の公共放送が集まる会議に研修で行かせていただいたときに、ベルギーのあるドラマを見たことがきっかけでした。主人公は10代の女の子なのですが、その子はほとんど画面に映らず、スマホをセンターに置いて、SNSのやり取りや音声のみで話が展開されていくというもので、その撮影手法や内容がとてもおもしろいなと思い、これを使って何か番組ができないものか、と考えました。

ニュースサイトを読む光秀 (C)NHK
ニュースサイトを読む光秀 (C)NHK

制作担当者が「光秀のスマホ」誕生のきっかけを語る!

そして、そのニューヨークでの会議の中で、歴史を伝える番組が世界で求められているという事実も知りました。現在、世界では歴史番組に触れる機会があまりなくなっていて、それが社会的に問題になっています。歴史を伝えるために新しい演出手法が求められているということで、歴史とスマホを合わせた番組の企画として、本能寺の変をテーマに描いた「信長のスマホ」という内容の15分のドラマを考えました。

ですが、先ほど述べたドラマは、背景や機材などにとても苦労されたそうで、制作するのに膨大な資金と時間がかかったということをベルギーの制作チームから聞きました。15分のドラマを作るだけなのに、これだけ膨大なお金と時間がかかるのは、少し割りに合わないのではないかと一度流れてしまったんです。

そんな中で、2019年に大河ドラマ「麒麟がくる」のクランクインのニュースを聞きました。その時に、大河ドラマの背景を生かすことができれば経費も削減できるし、スマホとカメラさえ用意できれば、制作できるかもしれない、「あれ…?これは光秀で書いたら実現するのでは?」と思い、思い切って「光秀のスマホ」の企画を提出したんです。そうしたら実現しました。

――ということは、たまたま企画を考えたときに大河ドラマが戦国時代を描いたもので、実現に至ったということなのでしょうか。

そうですね、数々の偶然が重なって…。他の大河ドラマだったら実現は難しかったかもしれませんね。この企画の根底に「誰もが知っている歴史」や「偉人」でなければならないということがあるので。本能寺の変は、だいたいの人が知っている歴史上の大きな事件で、それをスマホで表現するからこそのおもしろみがあるのではないかと思います。このちょうど良いタイミングで明智光秀を主人公とした大河ドラマが放送されていて、本当によかったです。

信長からの着信におびえる光秀 (C)NHK
信長からの着信におびえる光秀 (C)NHK

制作担当者「共感性が高いのは光秀の方かもしれませんね」

――実際におこった歴史をドラマ化されるということで、事前に準備はされたのでしょうか。

歴史に忠実であるということが、おもしろさを感じられる一つのポイントだと思うので、脚本の竹村武司先生を中心に史料や文献なども参考にしてストーリーを組み上げました。

一番重要だと感じたのが、光秀はどういうキャラクターなのかということでした。大河ドラマでも言われている通り、光秀は前半生がほとんど知られておらず、謎に包まれた人物なので、いろいろな文献を研究してキャラクターを作り上げていきました。

このスマホを中心に置いたドラマの素晴らしいところは、見ている方がその登場人物になれてしまう、同じ気持ちを味わえるというところだと思うんです。なので、その主人公がどういう人物で、皆さんに共感していただけるような人物かというのはすごく大事でした。

――そういう面でいうと、気性の激しいカリスマな信長ではなく、光秀となったのも視聴者にとって親しみやすかったのかもしれませんね。

そうですね!光秀は信長よりもだいぶ年上で…なのに蹴られたり怒られたり、途中で家臣になってやりづらかったんだろうな、とか。でも、城をもらったときはすごくうれしかったんだろうな、とか。自分に照らし合わせて考えてみたら、共感性が高いのは光秀の方かもしれませんね。

あとは、SNSのことを知るために、デジタルネイティブ世代の人たちから話を聞きました。

例えば裏アカウントに切り替えるときにどのようにやっているのだろうとか、会社の人の裏アカウントで悪口をつぶやいているのを見つけた瞬間とか…みなさんが思わずあるある!となるような小ネタもドラマの中で描かれているのではないかな?と思います。

――スマホの中のアプリが、その時代の言葉などにあわせ「LINE」は「FUMI」となっており、とてもリアルだなと感じました。アプリはどのように作られたのでしょうか。

アプリは外部のいろいろな方にお力をいただいています。そのうちの1人に日本史のパロディ画像を作ってらっしゃるスエヒロさんにご協力いただきました。光秀がスマホを持っていたらどんなアプリを入れているのだろうとスエヒロさんと相談しながら作りました。

アプリだけでなく、細部にもこだわっていて…例えば、「FUMI」をひらいた瞬間に映る光秀と他の武将たちとのやりとりや、10件以上未読のままの武将がいたり、通知をOFFにしている武将がいたり。ぜひ、映像を止めて何度も繰り返し見ていただけるとうれしいです。

また、今回は「秀吉のスマホ」も映ります。光秀と違ってホーム画面が金色だったり、入っているアプリも違ったりと個性が出ていますので、そこにも注目していただきたいです。

秀吉のスマホのホーム画面 (C)NHK
秀吉のスマホのホーム画面 (C)NHK
光秀のもとに秀吉から着信が! (C)NHK
光秀のもとに秀吉から着信が! (C)NHK

制作担当者「全て山田さんのアドリブになります」

――光秀を演じる山田孝之さんですが顔が出てきません。これに対して、山田さんは何かおっしゃっていましたか?

最後だけ出る、という案もあったのですが、山田孝之さんが「顔が出ない」ということをとてもおもしろがってくださって、「顔が出ないなら出演します」と言ってくださいました。こちらが、最後顔を出すという案もあるのですが…と提案もしたのですが、出さないほうがおもしろいと言ってくださいました。

――山田さんが演じられている中で、演技の提案などはあったのでしょうか。

秀吉のTwitterのフォロワーがどんどん増えていったときに、脚本では「スマホを投げつける」という演技だったのですが、山田さんから「フォローを外すってどうですか?」というアイデアをいただきました。激しく怒った後に、静かにフォローを外す…そっちのほうが光秀っぽいな、最高だなと思い、山田さんのアイデアを使わせていただきました。あとは、光秀がぼそぼそとつぶやいている言葉は全て山田さんのアドリブになります。

また、アドリブということで言うと秀吉の「御意、御意~」は和田さんのアドリブです。秀吉の軽い感じが出ていて、とても良いなと思いました(笑)。

――撮影の裏側なども教えていただけないでしょうか。

スマホにカメラを固定するというやり方で撮影しています。一眼レフに見えないところでスマホがつながっていて、これを俳優さんが首から下げて撮影しています。カメラマンもいるのですが、カメラを動かすのは俳優さんです。今回、俳優さんはカメラマン兼、役者なので、せりふや演技だけでなく、スマホの操作やカメラの動きまで覚えて演じていただいたので、とても大変だったと思います。でも、その分俳優の皆さんも楽しんでくださっている印象ですね。

この撮影方法にしたおかげで、俳優さんのちょっとした驚きとかでカメラがぴくって動くようになっているので、細かな動きでより臨場感と言いますか、先ほど言った“その人になった気分”や共感性がより味わえたのではないかなと思います。

今回の秀吉のシーンは和田さんがカメラをつけてくださいました。山田さんの光秀とはまた違ったカメラの動きも楽しみにしていただきたいです。

【写真を見る】撮影で実際に使われたカメラはこちら! (C)NHK
【写真を見る】撮影で実際に使われたカメラはこちら! (C)NHK
秀吉のスマホにおねからの着信が! (C)NHK
秀吉のスマホにおねからの着信が! (C)NHK

制作担当者「みんなで知恵を出し合って撮影に臨んでいます」

――特に大変だったシーンや思い入れのあるシーンはありますか。

ドラマの最後の光秀がうたれるシーンと、光秀が信長に蹴られるシーンですかね。蹴られるシーンは、スマホを飛ばすわけにはいかなかったので、カメラマンが山田さんから、顔が映らないようにカメラを受け取って、スタジオやセットがいろいろ見えないように避けながら、最後に光秀が信長に蹴られているのが映るように固定しなければならなかったので…苦労しましたね。

今回新たに撮影したところで言うと、おねの登場シーンが5分弱のワンカット長回しですごく大変でした。

――今のお話を聞いて、とてもアナログな手法を使われているなという印象なのですが…

そうですね、みんなで知恵を出し合って撮影に臨んでいます。なので、撮影が終わったときの現場の高揚感はすごいです(笑)。

でも、アナログばかりではなくて、スマホのアプリなどには最新技術も使われています。スマホ画面は合成だと思われている方も結構いらっしゃるのですが、タップすると本当に文字が出てくる、アプリが出てくるスマホを作りました。

例えば、本物の「LINE」などのアプリは使えないので、そういうシステムを作って撮影しています。なので、今回の作品は“デジタルとアナログの融合”ということになります。

――「光秀のスマホ」はTwitterのアカウントも大きな話題となっています。

Twitterはせっかくスマホを使ったドラマを作るんだから、デジタルでの展開はしたいなと考えていました。ここでは、武将アカウントの先輩である石田三成さんにご指導をいただき、光秀のアカウントを作りました。アカウントを作った1日目とかはフォロワーが7人とかで…このアカウント大丈夫かな?と心配していたのですが、多くの方に受け入れていただいて、とても安心しました。

あとは、光秀がつぶやくたびに、やはり僕たち制作サイドも反響などが気になるのでついエゴサとかしますね(笑)。

また、スタンプに関する問い合わせを多くいただいていて、これから視聴者の方々にも使っていただけるよう、検討中です。

秀吉のスマホにおねからの着信が! (C)NHK
秀吉のスマホにおねからの着信が! (C)NHK

制作担当者「前作も合わせてお楽しみいただけたら」

――拡大版の制作や、Twitterのフォロワーの数など、反響ははじめから想定されていたのでしょうか。

最初考えていたよりは、盛り上がったなという印象です。もともとは30分の6本のドラマをやって終りの予定だったので、まさか拡大版を制作できるとは思ってもみなかったですし、Twitterも“知る人ぞ知る”アカウントになるだろうなと思っていたので。

拡大版もつくれて、Twitterも盛り上がって、本当にうれしいです。

次回作に関しても、本当にいろいろなアイデアをTwitterフォローしてくださっている皆さんが考えてくださり…個人的にもやれたらいいなと思っていますが、今のところは未定です。

――今回の拡大版の見どころを教えてください。

前作では、秀吉が悪者のような感じになってしまっていて…でも視点を変えてみれば、そんなことないんだよということが伝えられればと思っています。皆さんのスマホの裏側にもいろいろな視点があるように。

なので、ぜひ前作を見ていない方はYou Tubeに動画があがっているのでそちらを見ていただいてから拡大版を見るとより楽しめるのではないかな?と思います。

新しく撮影したところはもちろん、前作も合わせてお楽しみいただけたらと思います。

「光秀のスマホ 歳末の陣」あらすじ

「光秀のスマホ」拡大版が放送! (C)NHK
「光秀のスマホ」拡大版が放送! (C)NHK

超バズった戦国SF時代劇が、新撮を追加して再出陣! 信長と〈SNSで〉出会い、秀吉と〈フォロワー数で〉しのぎを削り、戦国時代を〈エゴサしながら〉駆け抜けた〈スマホ中毒〉明智光秀の一代記。ついに宿敵・秀吉のスマホ登場!なぜ光秀は本能寺の変をプランニングし、そこに秀吉はどうコミットしたのか!二人のスマホがすべてを知っている!日本史上最大の事件を、『麒麟がくる』ほぼ1話分の長さと、スマホ画面のみで描ききる!

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