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成田凌は朝ドラにうってつけの俳優だった 『おちょやん』で発揮する“相手役”の資質

  • 2020.12.25
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NHK連続テレビ小説『おちょやん』(写真提供=NHK)

現在放送中のNHK朝の連続テレビ小説『おちょやん』で、杉咲花演じる千代の幼なじみであり、後に運命の相手となる天海一平役を演じている成田凌。「朝ドラ」への出演は2017年後期に放送された『わろてんか』以来となり、その時には主人公の息子役だった。そこで一気に知名度を上げ、今回こうして主人公の“相手役”へと至るまでの成田の活躍ぶりは実に著しいものであった。

『わろてんか』に出演する前から、社会現象を巻き起こした『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)や『コードブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ系)で確かな爪跡を残していた成田。『MEN’S NON-NO』の専属モデルとしてキャリアをスタートさせ、モデル業と並行して始めた俳優業ではその長身と、ほかのいわゆる“イケメン俳優”枠に含まれる同世代の俳優たちが持ち得ていない、どこか憂いを帯びた雰囲気を活かし、どんな役でもこなしていく。その掴みどころのなさは、彼が演じてきた役柄の多くと同様、初めはどうにも取っ付きづらそうな一面がありながらも、次第にこの上ない信頼を置きたくなるほどの人懐っこさを感じてしまう。なんとも稀有な俳優ではないか。

その存在感はやはり、映画のスクリーンで存分に活きる。『わろてんか』後の2018年に成田が出演した映画は『コードブルー』の劇場版のような大作から、インディペンデント系作品まで6本。中でも『スマホを落としただけなのに』で演じた浦野という役柄の後半シーンにおける豹変具合たるや。目玉をひん剥いて迫るド変態のサイコパスぶりは、完全に成田凌という俳優の殻を破る名演であったと記憶している。これだけの振れ幅の広さを1本の作品のなかで披露してしまえば、もう怖いものなしだ。

2019年にはさらに多く、ボイスキャストとしてカメオ出演した『天気の子』を含めれば7本の映画が公開。『翔んで埼玉』ではクライマックスの一番盛り上がるところで「家を建てよう! 春日部に」という名台詞を言うためだけに登場し、それまで展開していた壮大なコメディを独占する。『愛がなんだ』や『さよならくちびる』では、元々のイメージ通りの“掴みどころのない”現代的な青年像を強化し、そして『カツベン!』では偽活弁士の主人公として、チャップリンさながらのドタバタ喜劇を器用にこなしていく。『わろてんか』しかり、今回の『おちょやん』しかり、大正から昭和初期ごろのクラシカルな青年像を演じても説得力があるのは、成田の振れ幅の広さをさらに強化する重要なポイントであろう。

それはもちろん、『弥生、三月 -君を愛した30年-』のように1人の人物を長い年月にわたって演じる作品では非常に顕著に発揮さるだけに、「朝ドラ」への適性の高さは言うまでもなく高いはずだ。ましてや、今年の夏クールに病気療養で降板した清原翔の代役を務めた『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ系)のように、積極的な主人公の姿に感化されて取っ付きづらい雰囲気から徐々に柔らかく前向きに、人間味を帯びていく変化を演じられるというのも“相手役”として重要な資質である。主人公を立てながら、自分の役柄を魅力的に見せることは、器用な役者にのみできる技だ。

さて、第4週から『おちょやん』に本格的に登場した成田演じる一平。天海一座の中で、いまひとつ芝居に身が入っていないようなその姿は、成田自身のコメントにもあったように「まだ若くて定まっていない状態」という朧げさを明確に体現している(参照:成田凌「ただただ“杉咲花がすばらしい!”」 『おちょやん』現場の雰囲気の良さを語る)。それでも千代を気にかけていることは見て取れるだけに、これまで成田が演じてきた様々な役柄同様、劇中での心理的な変化、ないしは進化が期待できよう。まだ『おちょやん』の物語は始まったばかり。これからさらなる見せ場とともに、成田凌という演技者の開眼を楽しめるに違いない。 (リアルサウンド編集部)

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