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「湯湯婆=?」意外と読めない漢字3選【ベテラン国語教師が解説】

  • 2020.12.25
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冬らしい寒さもひときわ感じられるようになり、何かとあわただしかった2020年も残り少なくなりました。今回は、冬に関係する漢字の読みを、いつものように3種選んでみました。使用されている漢字自体は、一部常用漢字外のものもありますが、よく目にするものだと思います。では、始めましょう。

1.「湯湯婆」

まずは「湯湯婆」です。大ヒットしたアニメ映画「千と千尋の神隠し」に出てくるのは、「湯婆婆(ゆばーば)」です(実は私の周りでも間違えて読んだ人がいます)。昔は、どこの家にもあったものですが、存在自体をご存じない方は読めないかもしれませんね。さて、何て読むでしょうか?

正解は「ゆたんぽ」です。「中に湯を入れ寝床などに入れて、足や腰を温める道具」のことを言います。一定年齢以上の方々は、幼児体験として記憶にあることでしょう。ちなみに、漢字「湯」の常用漢字表での音読みは「トウ」ですが、別の読みとして、唐音「タン」があります。中国料理などで「白湯(パイタン)スープ」がありますね。また、もともと中国では「湯婆(タンポ)」で通用していたものが、日本に入った時にもう一字「湯」の漢字が加えられて、「湯湯婆」となったと言われています。

2.「馴鹿」

次は「馴鹿」です。ヒントは動物の名前です。さて、何と読むでしょうか?

クリスマスのサンタクロースが乗る「そり」を引く動物と言えば、おわかりですね。音読みで「ジュンロク」とも読みますが、一般的には、「トナカイ」と読みます。ちなみに、シカ科の哺(ホ)乳類である「トナカイ」の語源は、アイヌ語だそうです。その表記に「馴鹿」の漢字をあてたのですね。皆さんのところにも、今年のプレゼントはもう届いていますか?

3.「柚子」

最後は、「柚子」です。「柚」の漢字は常用漢字外ですが、「人名用漢字」と言って、常用漢字2,136字以外に人名に用いてもよい漢字863字が決められており、その中には含まれます。「柚子」は「柚」一字でも同じ読みをします。さて、何と読むでしょうか?

正解は「ゆず」で、ミカン科の木(またはその果実)の名前です。若い方なら、居酒屋で「柚子サワー」のお品書きを見たことがあるでしょうか? また、今週12月21日の「冬至(とうじ)」の夜には、これをお風呂に入れた「柚子湯」を楽しまれたご家庭も多いかもしれません。この「柚子湯」の日本古来の風習ですが、科学的にも風邪予防などの効能があると認められています。

今年は大変な年末となってしまいましたが、新型コロナウイルス感染防止対策はもちろんのこと、体調維持にはくれぐれもご留意ください。では、今週はこのへんで。

《参考文献》
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第二版」(大修館書店)
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新字源(角川書店)」
・「読めそうで読めない間違いやすい漢字」(二見書房)
・「挑戦! よくばり漢字道場」(角川文庫)

文/田舎教師 構成/CLASSY.ONLINE編集室

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