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新型コロナとインフルエンザに負けない!内科医が実践している冬の免疫対策方法

  • 2020.12.22
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新型コロナウイルス感染の収束が見られないまま、年を越そうとしています。

今期は新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が懸念されていますが、現段階では、インフルエンザの流行は静かな立ち上がりです。

その背景には、マスクや手洗い、手指消毒など新しい生活様式の中に組み込まれた感染予防対策が功を奏しているのかもしれません。

しかし、インフルエンザの季節はまだ始まったばかり。空気が乾燥してくると、インフルエンザの感染リスクも高くなってきます。

新型コロナとインフルエンザの初期症状は似ている点も多く、診断が難しいケースも多々あります。

だからこそ、身体の免疫力を高めて予防に努めることがとても重要。

そこで今回は内科医で健康ソムリエも務めている石原 新菜先生に、普段実践している対策や注目しているインフルエンザ対策について教えていただきました。

身体を温めて免疫機能を活性化

ウイルスの侵入や増殖を防ぐために重要な働きをしているのが、マクロファージやリンパ球、顆粒球などの免疫細胞。

これらの働きと体温は深くかかわっていると石原先生は話します。

「人間の体には温度を感知するTRP(トリップ)チャネルと呼ばれるセンサーがあります。中でもTRPM2と呼ばれる温度センサーは、マクロファージの働きを強めるスイッチとして機能していて、体温が高くなるとマクロファージが活性化することがわかっています。」とのこと。

また、免疫細胞は複雑な化学反応によってウイルスと戦っていますが、その働きを助けているのがさまざまな酵素。

この酵素の働きが最も活発になる体温域が37度から38度

先に述べた、TRPM2センサーも平熱域の37度でもマクロファージの活性化を導くそうなので、平熱が低い人は特に注意が必要です。

ちなみに石原先生の平熱は37.0度前後をキープしているそう!

入浴は40°C以上の湯船に浸かる

入浴はシャワーではなく、湯船に肩までしっかり浸かり、深部体温を上げることが大切。

40°Cのお湯に15分浸かると深部体温が0.5度アップ!

41°Cのお湯なら10分程度。身体の芯まで温まったかどうかは、額にプツプツと汗が出てきたかどうかを目安にしましょう。

「38°Cのお湯に半身浴」は身体が冷えるのでNGです。

筋肉による熱産生で身体をポカポカに

「人が安静時に作られる熱=基礎代謝の発生源は、筋肉=約22%、脳=約20%、肝臓=21%で、体温維持に筋肉は重要です。」と石原先生。

ウォーキングや筋肉トレーニングなどのほか、日常生活の中で少し足腰を動かして活動量を増やすよう心がけて。

石原先生は、診療後、5kmのランニングが日課で、その後はスーパー銭湯で汗を流してすっきりするんだそうです。

腹巻きで内臓を保温

お腹が冷えると内臓の機能が低下します。

中でも腸は、体全体の免疫の70%を担っていて、特に小腸には「パイエル板」と呼ばれる腸管特有の免疫組織が集結しています。

腹巻きは365日24時間着用することをオススメします。素材はお好みで。肌の弱い人は綿やシルクなど自然素材のものがよいでしょう。」と石原先生。

ちなみに石原先生はパンツ一体型をご愛用しているそうです。

旬の食材、自然由来の食品でビタミン・ミネラルなどを摂取

身体の免疫力を高めるためには、食事も重要。

身体を温める食材や、免疫機能と関わりの深いビタミンやミネラルといった栄養成分を含む食材をバランスよく摂りましょう。

身体を温める陽性食品を

漢方医学を診療に取り入れている石原先生。

漢方では身体を冷やす陰性食品と身体を温める陽性食品があり、冬場は特に陽性食品を摂ることが必要で「陽性食品は寒い土地が原産地で、色が濃く、水分が少なく、硬いものが多いのが特徴。ごぼう、ニンジン、レンコンなどの根菜類、黒砂糖、玄米などの未精製のものなどがオススメです。」とのこと。

根菜類や未精製の黒砂糖、玄米には現代人が不足しているビタミンやミネラルが多く含まれています。

ビタミンやミネラルはサプリメントで補おうと考えがちですが、食材から摂ることで他の栄養素も一緒に摂取でき、相互効果が期待できます。

しょうが・にんにくなどの香味野菜を積極的に

しょうが、ねぎ、玉ねぎ、にんにくなどの香味野菜も多く摂るよう心がけましょう。

しょうがに含まれるジンゲロールには身体を温める効果があり、ねぎや玉ねぎに含まれる辛み成分アリシンは、白血球の働きを強化する作用があります。

にんにくは、アメリカ国立がん研究所が提唱したがんを予防する食品をピラミッド型に並べた「デザイナーフーズ計画」の頂点に立つ食材です。

きくらげや青魚でビタミンDもしっかり摂取

免疫機能を調整する働きがあると近年注目を集めているのがビタミンD。

ビタミンDは、キノコ類に多く含まれますが、最も多いのがきくらげ

また、カツオやさば、サンマなどの魚類にも含まれています。

腸内環境を整える

腸は最大の免疫機能であるため、常に調子を整えておくことが大切。

そのために食物繊維やオリゴ糖、乳酸菌やビフィズス菌などを含む食材を積極的に摂るようにしましょう。

「小腸に多い乳酸菌には、強い免疫増強因子があり、それが腸内のリンパ球などの免疫細胞を刺激してくれます。また大腸に多い ビフィズス菌は、食物繊維などを分解することで短鎖脂肪酸を産生。この短鎖脂肪酸は、粘膜面で病原体の体内への侵入をブロックするIgA(免疫グロブリン)を作り出す作用を持っていて、腸管だけでなく、喉や気管支などの粘膜も感染から守ってくれます。」と石原先生。

手軽に実践できることばかりなので是非取り入れて、新型コロナとインフルエンザに負けずにこの冬を越しましょう!

監修:石原 新菜先生プロフィール

医師・イシハラクリニック副院長/ヒポクラティック・サナトリウム副施設長/健康ソムリエ講師

2006年帝京大学医学部卒業。同大学病院で2年間の研修医を経て、現在、父、石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療 法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリ ニックでの診察の他、わかりやすい医学解説と、親しみやすい 人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍。著書 は 13万部を超えるベストセラーとなった『病気にならない蒸 し生姜健康法』をはじめ30冊を数える。

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