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『僕のヒーローアカデミア』劇場版が高評価な理由 第3作はどんな作品に?

  • 2020.12.22
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『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE3(仮題)』(c)2021「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 (c)堀越耕平/集英社

人気漫画『僕のヒーローアカデミア』(以下『ヒロアカ』)の第3弾となる新作アニメ映画が2021年の夏に公開されると発表された。いまや『週刊少年ジャンプ』(集英社刊)では『ONE PIECE』に次ぐ長期連載となり、ジャンプ漫画を支える屋台骨の1つとなっているほか、ヒーロー文化に親和性の高いアメリカでも大人気となっているタイトルだけに、その注目度は自ずと高いものになる。今回は過去2作を振り返りながら、新作映画がどのような作品になるのか、簡単に予想していきたい。

まずは1作目の『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄~』から振り返ろう。巨大人口移動都市であるI・アイランドに訪れた主人公のデクとオールマイト、そして雄英高校の生徒たちがテロリストが起こす事件に巻き込まれてしまう騒動を描いている。『ヒロアカ』らしい明るいコメディとボンズの迫力のあるアクション作画、そして「正義とは何か?」という問いについても考えさせられる作品だ。

特に注目したい点は2つある。まずはゲストヒロインのメリッサ・シールドだが、彼女はデクと同じように個性と呼ばれる特殊な能力を持たない人間だ。この世界では無個性の人の方が少なく、危険を伴うヒーロー活動はできないとされている。それでもヒーローを支える側になり、科学者の夢を追う姿が描かれているが、デクの初期の状況と重なり、原作1話を思い返して涙腺を刺激される人もいるだろう。メリッサは魅力的なキャラクターであり、映画のゲストキャラクターとしてのみならず、本編にも登場してほしいと熱望する存在だった。

そして最も注目を集めるのがオールマイトとデクの共闘だろう。原作漫画では様々な状況が重なってしまい、2人が共に戦うことはない。そのもしもの夢を叶えてくれる作品であり、映画というスピンオフ作品だけではもったいないとすら感じさせるエピソードでもある。だからこそお祭り感も大きくなったこともあり、ファンから高い評価を獲得した。

またどうしても『ヒロアカ』ではヒーロー側の描き方が多くなりがちなのだが、ヒーローを支える科学者のメリッサ親子に注目することにより、ヒーローを支える人たちの思いが描かれることにより、更なる世界観の底上げに繋がる。筆者は『ヒロアカ』をほとんど知らない状態で映画を鑑賞したが、とても気に入り原作を全巻集めるほど深くのめり込んだ。映画がキャラクターや物語の魅力をしっかりと抑えながらも、初見でも問題ないように作品の入り口となる、理想的な作り方をしていたからにほかならない。

2作目の『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』に話を移そう。出久ら雄英高校ヒーロー科1年A組の生徒たちが向かった那歩島を舞台に、ヴィランとの対決が描かれている。こちらでは当時のテレビアニメ版よりも少し先の出来事が描かれ、人気キャラクターのホークスが初登場しており、原作ファンも喜ばせた。

この作品で最も驚かされたのが、雄英高校ヒーロー科1年A組の生徒たちが全員集合したことだ。1作目の『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄~』ではメリッサやオールマイトとの関係が主になるため、ほんの一部の生徒以外は島に来ていない、来ていてもあまり事件に絡むことがないキャラクターもいた。しかしこの作品ではクラスメイト20人を集結させて、それぞれに見せ場を与えている。その誰が欠けても作戦が成功しないと感じさせる作りとなっている。

そして原作者の堀越耕平が「原作の最終決戦に考えていたネタの1つ」と答えているラストの展開はまさに圧巻だ。「その手があったか!」と思わせるスーパーパワーの理由にも納得がいくとともに、この手が使えなくなった原作がどこに向かうのか、よりワクワクさせる出来となっている。

ここまでざっくりと劇場版作品2作について振り返ったが、この2作とも堀越耕平監修もさることながら、長崎健司監督と脚本家の黒田洋介の手腕によるものも大きい。このコンビは『ガンダムビルドファイターズ』でも少年向けの熱血アニメを作り上げているほか、黒田洋介は『スクライド』などの男と男の真っ向勝負を描いてきた脚本家だ。その熱量が見事に作品に載った結果だろう。

制作スタジオのボンズも、派手なアクション描写で知られているが、今作では最も重要なバトルの説得力を与える作画を披露している。少し穿った見方をすれば『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄~』にて、敵キャラがボンズの代表作の1つである『鋼の錬金術師』を思わせる攻撃をしてくるなど、知っていればニヤリとできる要素も入れていたのが印象的だった。もちろん、それが作品世界を壊すことなく、しっかりとマッチしていたとも付け加えておきたい。

さて、では3作目はどのような作品になるのだろうか。現在公開されているキービジュアルでは、IIIという数字と緑谷出久、爆豪勝己、轟焦凍の3人が映っており、作中屈指の人気をほこる彼らが中心となることは間違いないだろう。過去2作を見ると、原作では描かれづらい人々などをピックアップし、1エピソードとして魅力あるものを公開してきている。そうなると、プロヒーローや1年B組の面々など、魅力的で掘り下げがいのあるキャラクターの登場や、オールスタームービーもありうるかもしれない。想像は膨らむ一方だ。

原作では過酷な状況が続いているが、それを吹き飛ばすような熱いバトルと爽快感のある物語を、『劇場版ヒロアカ』は約束してくれるだろう。観客の想像を超えた「プルスウルトラ」な作品を大いに期待したい。

(井中カエル)

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