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藤原竜也、2020年初の舞台出演に万感「演劇にとってこの一年は非常に難しい年ではありました」<Interview>

  • 2020.12.16
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12月19日(土)より東京芸術劇場プレイハウスで上演される舞台「てにあまる」。松井周によるオリジナル脚本で、柄本明が演出を担当。藤原竜也、高杉真宙、佐久間由衣、そして柄本自身も出演する濃密な会話劇だ。

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今回は主演の藤原にインタビューを実施。デビュー以降、毎年必ず立っていた舞台に、コロナ禍を乗り越え、久しぶりに立つことになったその胸中を語ってもらった。

――2020年、年末にしてこの一年で最初の舞台作品となりますね。今の率直な気持ちを教えてください。

今まで一年に一本も舞台をやらなかった年はなかったので、非常に楽しみ…と単純に言えるわけはなくて、いろいろと思うことはあります。

自粛の時期があって、自分にとって舞台は必要ないんじゃないかとか、舞台に立つということはどういうことなんだろうかとか考えました。

だから今回の舞台は、演劇が本当に自分に必要なのかどうかを確認する現場みたいなものです。素直に楽しみというより、そういう思いの方が大きいかもしれないですね。

――やっぱり自粛期間などで考える時間も多かったですよね。

誰に聞いてもそうでしょう。自分の表現の場はどこなのかとか、そもそも本当に誰かに求められているのかとか。演劇にとって、この一年は非常に難しい年ではありました。正論を説いても寄ってたかってたたかれるようなこともありましたし。

でも、たたく人の意見も分かるんですよ。「演劇ごときが何を言ってるんだ」って。「大切なのは人命じゃないか」とか、本当によく分かるんです。

――役者仲間の方々とそういう話もされましたか。

(中村)勘九郎さんと話しました。彼は「子どもたちが成人したときに歌舞伎をなくしてはいけないという思いで、必死になってやってはいるけど、配信の道も考えなきゃいけないな」と。歌舞伎の方がおっしゃるぐらいですからね。切ないなと思いました。

僕としては演劇の在り方というのは、他者とのコミュニケーションは舞台でやるしかないんだ、と思いながらやってきたところはあるんですけど、正直な話、ちょっと揺らぎましたね。

今は、もうちょっと直視すべき事案があるんじゃないかっていう思いもありますが、じゃあ何も行動を起こさなくていいのかって言われたらそうではないだろうと。

冷静に考えたとき、柄本さんも言ってたんですけど、やっぱりお客さんがいて演劇は成立してきたし、配信の時代になるのかもしれないけども、配信ではなかなか伝えきれない部分もあると思うので、今回の舞台では一歩踏み込んで、僕は自分自身で確認したいなと思いますけどね。

――演劇の世界観が変わる作品になるんですかね。

そこまで大それた企画じゃないですけどね(笑)。

――それでも、今までの作品に臨む気持ちとは違いますか?

そうでもないです(笑)。柄本さんが演出をやってくれるんだ、松井さんの新作か、ありがたいなっていうことでしかないですね。

あとは、 (東京・)下北沢でずっとご自身の劇団(劇団東京乾電池)公演を、“スズナリ(下北沢ザ・スズナリ)”などでやってこられた柄本さんが、下北を飛び出して池袋まで行くという劇的な瞬間を見られるのはうれしいと思います。

柄本さんもそうだけど、(中村)勘三郎さんとか志村(けん)さんとか、あそこまで極めている方たちに対してはやっぱり尊敬の気持ちがありますし、今、自分が演劇で一緒にやらせてもらうことはやっぱり楽しみですよね。勉強になるだろうなって。

「今考えられるベストなカンパニーになるんじゃないのかな」

――共演される3人の印象を教えてください。

今考えられるベストなカンパニーになるんじゃないのかなと思います。

僕はまだ柄本さんほどドロドロじゃないけど(笑)、僕も若くはないから、若い2人の力を借りて、いい感じになるんじゃないですか。

僕らが柄本&松井のドロドロ戯曲と演出に入り込んで行くのは非常に面白いんじゃないかなと思います。

――柄本さんとは5年前に一緒にお芝居もされていますね。

そのときは2人とも参加する側であったから、「さっきの稽古面白かったな」とか「竜也の今の言い方いいな」とか、ボソボソ言ってくれるのが非常に印象に残っていますね。

面白いことを言ってくれるなと思ったので、今回、柄本さんの演出を受けるのは楽しみです。

面白い世界観を持っている方ですよね。今の年齢になっても、もう一段ギアを入れて走り続けていて、表現で自分自身を持ち上げていく姿勢というのは、若い人たちが見習わなきゃいけないなと思います。

――柄本さんの演出については。

柄本さんの演出を受けるのは初めてなので未知の部分はありますけど、演出家ってやっぱり大変じゃないですか。演者よりもはるかに知識があるし、本の内容に対して理解力がある。

近年だと蜷川(幸雄)さんの後、シェイクスピアを継いだ吉田鋼太郎さんの演出を受けても、シェイクスピアを誰よりも深く理解していて、分からないことを的確にアドバイスをくれる。こちらから言うことは何もないですよね。

あとそれ以前に、俳優がそれぞれもっと提示をして世界観を広げて、その中から演出家のチョイスを持たせてあげるぐらい、俳優が稽古初日からいろいろやってみることの方が僕は大事なんじゃないか。これは結構昔から思っています。

戸惑って何もしなかったり、言われたことをやっているだけではダメだって常々自分に言い聞かせてるんです。

――藤原さんご自身は、役をつかむ作業はどのようにやっているんですか。

ひと月の稽古の中で、しっかりと稽古をしてより深く完成させていくわけですから、大きくそれてる場合は間違っているから、根本を理解した上で、稽古でいろんなことを試すっていうのが大事なんです。

例えば直球を投げられずに変化球を試すのではなくて、直球を投げた上で変化球を投げ、最後に直球に戻っていくっていうようなやり方ですね。それが大事だとは思います。

今でも分からないことはありますよ。呼吸とかもあるので、稽古に行ってみないと分からないところはあります。難しいですね。

――今回は松井さんによる新作の脚本です。新作をやる喜び…みたいなものはありますか。

戯曲って回るんですよね。やり継がれる戯曲っていうのは、それなりの理由があってやられてるわけでしょ。ただ新作は、今まで見たことがないようなものを新しくできる喜びってあるんですよ。

新作を書いてもらえるというのは当て書きみたいなことで、この先もそんなに経験できることではないですから、非常に貴重ですよね。ありがたいことだと思います。

――では、舞台のタイトル「てにあまる」にかけまして、最近、“てにあまる”なと思ったことはありましたか。

コロナ自粛を経て、スケジュール的にそのしわ寄せが来ています(笑)。連続ドラマの撮影をやっていたんですけど、テレビってこんなに忙しくていいの!?って。

僕らも大変なのに、スタッフさんたちの方が大変。すごくタイトなスケジュールなのに誰も文句一つ言わず、そしてコロナも出さずね。時代が大変ですよね。

――最後に、舞台を楽しみにしている方に一言お願いします。

こういう時代なので、ブロードウェイとか海外の演劇動向を見ながら、日本の演劇はそれ以上に消毒や換気をしてやっています。本当に日本人はすごいなと思うんですよね。

お客さんも僕らもまだ劇場に行ってないし、躊躇(ちゅうちょ)する人たちも多いかもしれないですけど、セーフティーファーストでやるつもりですので楽しみにしてもらえたらと思います。

◆取材・文=Rum

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