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【佐々木依里のメディテーションジャーニー】 マインドフルネスとは

  • 2020.12.9
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マインドフルネス(Mindfulness)は、「今現在体験していることに全意識が集中している状態」を指す。マインドフルネスという単語を分解すると、マインドは精神や意識、フルは満ちている、ネスは状態を意味する。「今ここに気づく」と訳されることもある。

マインドフルネスのルーツは、仏教の「八正道」にある。

八正道とは、安らかな暮らしを実現し自分らしく居られるようになるための実践を「8つの道」として説いたもの。八正道の中のひとつ「正念」は英語に訳すと「Right Mindfulness」にあたる。マインドフルネスの理解が深まるよう、八正道をひとつずつ紐解いていこう。

八正道

1.正見(しょうけん)Right view

正しく見るというより、ありのままを見るという意味。偏見や刷り込み、思い込みなどに気づき、ありのままの世界をみること。ありのままの自分をみること。

2.正思惟(しょうしゆい)Right resolve

正しい意思を持つこと、正しく考える。つねに大きな視点をもつこと。

3.正語(しょうご)Right speech

言葉を大切に話すこと。目的に合った適切な言葉を話すこと。

4.正業(しょうぎょう)Right action

正しい行いのこと。調和のとれた行いを意味する。

5.正命(しょうみょう)Right livelihood

正しい生活のこと。生活態度などをふくめて指すこともある。

6.正精進(しょうしょうじん)Right effort

正しい方へ向かって努力すること。

7.正念(しょうねん)Right mindfulness

正しい信念を忘れずにいきること、生きる目的を忘れないこと

8.正定(しょうじょう)Right concentration

心を鎮めてただ一点に集中すること。1-7の総括である。

7の正念は、八正道においては信念を忘れずに生きることとある。信念や生きる目的を常に忘れないでいるのは、極めて難題。そこで正念が示す「常に忘れないでいる」という概念を、より実践しやすくしたのがマインドフルネスでいう「今ここに集中すること」なのだ。

1979年にアメリカの分子生物博士であるジョンカバットジン氏が八正道の正念と心理学を融合させたマインドフルネスストレス軽減法を構築し、多くの人の心や感情のレジリエンスにつながった。

また日本語には「正念場」という言葉がある。これは、歌舞伎の世界で役者のキャラクターや人物の真価を発揮するべき瞬間、非常に重要な局面を表す言葉として生まれた。今では日常的に、全身全霊の集中が必要とされる大事な場面を表す言葉として使われるが、もともとこの八正道の正念と関係が深いのだ。

昔から使われてきた言葉の中に、マインドフルネスを見ることができる日本人にとって、実はマインドフルネスは難しいことではない。

「今この瞬間を大事にする」「この一瞬に全神経を集中させる」といった表現であれば、マインドフルネスの意味を捉え実践することができる。

マインドフルネスイーティング、マインドフルネスウォーキング、マインドフルネスリスニングなどがあり、全神経を集中させて食べる、歩く、聞くなど、自分が体験していることに集中するのだ。

日々の生活のなかで、意識が上の空になってしまう時は、少し立ち止まって”今この瞬間に意識を向ける”。そんなマインドフルネスな時間を大切にして欲しい。

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