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ミレニアル・Z世代から見る日本のジェンダー観。性差のない世界を実現するには?

  • 2020.12.2
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多様なセクシュアルを表現する言葉「LGBTQ+」が、近年日本でも広まり認知されるようになった。ジェンダーの自由を目指す時代に生まれたミレニアル・Z世代は、性的マイノリティに対してどういった希望や不安を持っているのか。東京で暮らすZ世代に聞いたLGBTQ +に関する日本と海外の違い、本当にみんなが生きやすい世界とは。

話を聞いたのは、 LGBTQ +でメディア関連の仕事に携わる社会人1年目のAさん。日本のジェンダー観に驚いたことは?

「日本の企業で就職活動をしたときに、男性・女性という性別を意識した発言が多すぎて驚いた。けれど就職先がメディア系ということもあってか理解がある人が多く、同じようにLGBTQ +の人に仕事を通して出会ったり、年齢が近い上司や同期はLGBTQ +に違和感を持っている人はほとんどいない。だから会社でも自分らしくいられる環境がある」(Aさん)

メディアに頻出するタレントやSNSインフルエンサーにもLGBTQ +の人は多く存在しており、彼らの持つ影響力は非常に大きい。けれど日本におけるLGBTQ +の伝えられ方は、「男なのに女の服を着ている」とか「中性的なキャラクター」など、人と違うところにばかり焦点が置かれ、お笑いやエンターテイメントの対象として消費されることが多い印象。一方海外では、“ジェンダーの壁を取り払う”という意味合いが強い。トップメゾンがPRIDEコレクションを発表したり、グラミー賞を受賞するような著名なアーティストがMVでジェンダーレスな衣装を着こなしたり、とジェンダーレスは「イケてる」最先端のファッションアイコンの一つとして、若者に影響を与えている

Women's Health

世界中の最新情報にいち早く触れることのできるSNS。それらを使いこなすZ世代が、ジェンダーを自己表現の一つとして認識していることはいたって自然なことなのかも。「SNSでの発信力は絶対にZ世代の強み。もっとメディアを活用してLGBTQ +に対してポジティブな印象を発信することで、きっと多くの人の意識が変わると思う」(Aさん)

日本がこれからできることって?

残念なことに、日本は世界の先進国と比べても同性愛者に対する国の制度がまだ整っていない。最近でも80歳近い足立区の区議会議員が、同性愛に対して差別的な発言が物議を醸したことは記憶に新しい。例えばイギリスでは、2004年の時点で結婚と同等の法的権利を同性パートナーに与える「シビル・パートナーシップ法」が既に成立(その後2014年には同性婚を認める法律も成立している)。また、毎年夏に行われるPride Monthでは街中がレインボーカラーに変わり、大学の講義でもその期間はLGBTQ +に関連する講義が行われたりなど、教育の面でも世界の一歩先を進んでいる。

「日本に帰国して一番に驚いたことは、人々がまだジェンダーというカテゴリー意識が強いこと。イギリスではその人がどんなジェンダーを持つかなんて人間関係を築くうえで必要ない。仲良くなってから『あの人トランスジェンダーなんだね』と気づくけど、もはやなんの支障もきたさない」とロンドン在住の学生Bさん。

彼らはSNSを話し合いの場としても活用していて、自分のインスタグラムアカウントで世間のLGBTQ +に関する情報をシェアしたり、コミュニティ内で意見交換をすることもしばしば。そうすることで今までこの問題に意識が向かなかった人にも、LGBTQ +を知ってもらえる機会になると考えている。

「自分たちのような若者は影響力がない」と諦めるのではなく、まずは周りにいるLGBTQ +の人々をサポートしてみよう。少しでも多くの人がこの問題に目を向ければ、国の制度も少しずつ変化するかもしれない。LADY GAGAが「Born this way」で歌ったように、誰にでも自分らしく生きる権利は必ずある。どのようなジェンダーを持っていても生きやすい世の中を実現するには、まずは少しでも多くの人がLGBTQ +に関心を持ち、話し、発信していくことが大事。そのうえで、大きな影響力を持つメディアやSNSの発信力が、今後どの世代にもLGBTQ +に関する認識を広めていくキーとなっていくはず。

LGBTQ+について知りたい人はこちらを参考に!

@blossomtheproject :メンタルヘルスやさまざまな社会問題について発信しているアカウント。世界の動向もチェックできる。

@palettalk_ :「性にまつわるモヤモヤ」を漫画で読み解いており、わかりやすい。LGBTQやフェミニズム について、実話に基づくストーリーを紹介。

Netflix『Queer Eye in Japan』:自然体な自分でいることの大切さを教えてくれる全世界で人気の番組。日本版は水原希子、渡辺直美も出演。

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