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産業医に聞いた、仕事のことが気になって眠れない夜に「絶対してはいけないこと」3つ

  • 2020.11.30
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「自分のミスで周りに迷惑をかけてしまった」「上司に言い返せない自分にムカムカ……」、疲れて家に帰り、もう寝てしまおうと布団に入っても、今日起こったミスやトラブルが頭から離れず、なかなか眠れない……。そんなふうに気分がとことん落ち込んだ夜は、どうやったら乗り越えられるでしょうか。落ち着くためにすべきことと、逆に絶対してはいけないことを産業医の井上智介先生に聞きました。

ベッドの中で眠れずに苦しむ女性
※写真はイメージです
眠れないときは眠らなくていい

まず大前提として大切なのは、眠れないときは無理に眠ろうとしないこと。布団の中でゴロゴロしているうちに時間だけがたってしまった、という経験がある人もいると思います。

しかし、それが続くと布団が「眠れないかもしれない」「今日も無理かな」という恐怖の場所に変わってしまう恐れがあります。

ですから、布団は眠るだけの場所として、眠れなければ眠れなくていい。眠いときに布団に入るというスタンスでいることがいちばんです。

それでも、布団に入って、つい考えがあれこれとかけ巡ってしまう場合、どうすればいいか。3つの方法をお教えしましょう。

① 臍下丹田(せいかたんでん)を意識する

臍下丹田とは、へそのすぐ下あたりにある部分を指します。人間が落ち着かない様子を表現するときは、「上の空」「キョロキョロする」「頭に血がのぼる」など上半身をイメージしますが、反対に落ち着いているときは、「腹がすわる」「地に足がついている」といった下半身をイメージします。気持ちを落ち着かせたいときには、下半身をイメージするのがおすすめです。

ですから、落ち込んだときに気持ちを整理するには、臍下丹田を意識します。具体的な位置は、へそから5cmぐらい下、指4本分ぐらいでしょうか。そこをピンポイントで探す必要はなく、そのあたりに意識を集中するだけで、気持ちを落ち着かせることができます。

慣れないうちは呼吸をしながら、そのあたりに手を当てて、おなかが動いているのを感じましょう。ゆったりと寝ころんだまま、リラックスした姿勢で、息を4秒吸って、2秒止めて、6秒かけて吐く。おなかの動きに意識を向けていると、知らないうちに落ち着いていきます。

② 誰かへのプレゼントを考える

気持ちが落ち込んでいるときは、とかく自分を責めたり、反省したり、意識のベクトルが、すべて「自分」に向かっています。それがエスカレートすると、悪いほうに悪いほうに考えて、どんどん沼にはまっていきます。

だいたい眠れないときに、人のことを考えている人はいません。自分の悪いところばかり考えていますから、とにかくベクトルの向きを自分から他人に変えて、自分に執着しないことが大切です。意識のスイッチを自分から他人に切り替えるということです。

ピンクの背景にピンクのギフトボックス
※写真はイメージです

では他人に意識を向けるには、どうしたらいいか。おすすめは、誰かに何かをプレゼントすることを考えることです。ふだんお世話になっている人に、おいしいお菓子やおしゃれな小物など自分のおすすめのものでもいいですし、物でなく、感謝の気持ちやねぎらいの言葉でもいいでしょう。

他人ではなくて家族でもいい。ごはんをつくってあげる、明日のお弁当を豪華にする、家の掃除をする……。自分以外の誰かに向けて、何かを届けることを考えているうちに、落ち込んだ気持ちを切り替えることができるでしょう。

③ 情報をシャットアウトする

私たちは仕事や人間関係、健康、お金などのことで不安になると、解決を求めて、ネットやテレビ、雑誌などで、ついいろいろな情報をあさりがち。でも、いくら調べても、そのようなパーソナルな悩みに対する答えというのは、どこにもありません。時間ばかりとられて、気持ちはどんどん落ち込むという悪循環にはまってしまうのがオチでしょう。

ですから基本的に落ち込んだときは、情報をシャットアウトすること。スマホやテレビの電源は、思い切って落としましょう。

とはいえスマホの電源は、なかなか落とせないという人も多いでしょう。そういうときは、軽く散歩をするのがおすすめです。

もちろんスマホを家に置いていければベストですが、手放せない人は持って行ってもOK。散歩中に見ることはないでしょう。「頭を冷やす」とはよく言ったもので、やはり体を動かして、外の風やにおい、温度を肌で感じて頭を冷やすと、モヤモヤした気持ちも静まります。

本を読むなら「つまらない本」を読む

夜、歩きに行くのが難しい場合は、何か没頭できることをすればよいでしょう。たとえば自分がリラックスできる音楽を聴く、好きなアロマをたく、ストレッチで体を動かすといったことでしょうか。

ちなみにリラックス効果のあるアロマのうち、文献報告があるのはラベンダーです。

ラベンダーのなかでも、酢酸リナリルという成分が35%以上入っているものなら効果があります。ですから、こういったものを選んで、ティッシュやハンカチに1滴垂らしたものを枕のちかくにおいて寝るという方法もよいでしょうね。どのアロマを買おうと迷ったときは、「ラベンダーの酢酸リナリル35%以上」を基準にしてください。

ちなみにNGなこととしては、①冒頭にもお伝えした「無理に寝ようとすること」、②激しい運動、③推理小説が挙げられます。

ストレッチやウオーキングなど軽い運動は副交感神経を優位にしますが、筋トレやジョギングなど激しい運動は交感神経を優位にしてしまい、寝るどころか余計興奮してしまいます。

また推理小説など、ワクワクするような本も感情を高ぶらせてしまうのでNGです。本を読むなら、つまらない本がいい(笑)。僕は自分の患者さんには「自分の病気に関する難しい本でも一冊用意しとき」って伝えています。つまらない本を読むと、あっという間に眠くなりますから。

構成=池田純子

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医
島根大学医学部を卒業後、様々な病院で内科・外科・救急科・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び、2年間の臨床研修を修了。その後は、産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医として毎月約30社を訪問。精神科医・健診医としての経験も活かし、健康障害や労災を未然に防ぐべく活動している。また、精神科医として大阪府内のクリニックにも勤務

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