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「エール」窪田正孝&二階堂ふみ、“コロナ禍”乗り越え素敵な夫婦の物語を見せてくれた2人に感嘆

  • 2020.11.28
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「エール」119回。裕一(窪田正孝)と音(二階堂ふみ)がお互いのかけがえのなさを噛みしめる (C)NHK
「エール」119回。裕一(窪田正孝)と音(二階堂ふみ)がお互いのかけがえのなさを噛みしめる (C)NHK

【写真を見る】物語のクライマックス…!裕一(窪田正孝)、音(二階堂ふみ)が海辺で歌う感涙シーン!!

“朝ドラ”こと連続テレビ小説「エール」(NHK総合ほか)の最終週が11月23日〜27日に放送された。裕一(窪田正孝)は栄えある1964東京オリンピックの開会式の曲「オリンピック・マーチ」を手掛け、物語の盛り上がりはマックスに。そして本編最終回である27日は、出演者たちが裕一のモデル古関裕而の名曲メドレーを歌う特別編となった。今回は“コロナ禍”を乗り越え大団円を迎えた「エール」最終週を、フリーライターでドラマ・映画などエンタメ作品に関する記事を多数執筆する木俣冬が解説する。(以下、一部ネタバレが含まれます)

いよいよ「オリンピック・マーチ」の制作に取りかかる

「エール」24週のサブタイトルは本タイトルと同じ「エール」。それだけの想いがこもった力作週だった。

紆余曲折を経て、裕一は、娘・華(古川琴音)がロカビリー歌手の霧島アキラ(宮沢氷魚)と結婚することを許し、音(二階堂ふみ)がクリスマス会で歌った聖マリア園で、結婚パーティーが催される。アキラがバンド仲間とともにロカビリーを歌い、出席者は新時代の音楽でゆかいに踊る。

「エール」117回 華(古川琴音)とアキラ(宮沢氷魚)の結婚祝いのコンサート (C)NHK
「エール」117回 華(古川琴音)とアキラ(宮沢氷魚)の結婚祝いのコンサート (C)NHK

「僕たちの人生も終わりに近づいたな」としんみりする裕一に音が「私はまだある気がしますけど」と言うと、その予感は当たり、1964東京オリンピックの開会式の曲を依頼される。

裕一は勇んで引き受けたものの、なかなか曲ができない。盟友の木枯(野田洋次郎)は「たぶん自分のなかで楽しんでいるんじゃないかな」と裕一の気持ちを慮る。

裕一は、昔からの仲間、木枯や鉄男(中村蒼)や久志(山崎育三郎)たちと飲んでしゃべって、

「なによりも尊いのはさ 人と人の繋がりだと思う。僕はそれを曲にこめたい」と「オリンピック・マーチ」を完成させて、開会式に出席する。開会式のドタバタは第1話の通り。

「エール」118回。仲間の尊さを感じる裕一(窪田正孝) (C)NHK
「エール」118回。仲間の尊さを感じる裕一(窪田正孝) (C)NHK

オリンピックで終わりじゃなかった

1話に戻ったところでドラマは終わるかと思ったら、まだ続きがあった。音が病に臥せってしまうのだ。

朝ドラでは、主人公(夏木マリ)自体が亡くなったた「カーネーション」(2011年度後期)、主人公(玉山鉄二)の愛妻(シャーロット・ケイト・フォックス)が亡くなった「マッサン」(2014年度後期)、主人公(波瑠)の夫(玉木宏)が亡くなった「あさが来た」(2015年度後期)と、10年代はBKこと大阪局制作作品がメインキャラの死を描くことが多いのだが、「エール」はAKこと東京局制作作品。

それはともかく、裕一と共に歩み、支えてきた音がすっかり弱ってしまった姿は哀しい。でも彼女が亡くなる場面はなく、裕一とふたり、海で走り、ピアノを弾き歌うという幻のような世界が描かれ、あとは視聴者の想像に託された。

私たちがこれまで楽しんできたオープニングの映像は、音が病のなかで見た夢だったのか?というようなおどろきの展開でもあった。

また、裕一の前に立ちはだかる作曲家の大御所・小山田(志村けん)の本心を語る手紙が手渡された場面も、亡くなった志村が生前、撮影中、偶然鏡に映ったときの笑顔が使用され、話題を呼んだ。

「エール」119回。小山田(志村けん)の笑顔 (C)NHK
「エール」119回。小山田(志村けん)の笑顔 (C)NHK

異例のカーテンコール

「エール」120回。古関裕而メロディを出演者たちが歌う (C)NHK
「エール」120回。古関裕而メロディを出演者たちが歌う (C)NHK

幻のような場面のあとは、役でなく演者としての窪田正孝と二階堂ふみが画面に現れ、最後の最後の120回は「特別編、人気キャラクター総出演によるカーテンコールをお届けします」と予告。

続く120回は、NHKホールで撮影された、「とんがり帽子」(歌:御手洗役・古川雄大、藤丸役・井上希美、夏目千鶴子役・小南満佑子、子役たち)、「モスラの歌」(歌:井上希美、小南満佑子)、「福島行進曲」(歌:古川雄大)、「船頭可愛や」(歌:久志役・山崎育三郎 ギター演奏:鉄男役・中村蒼)、「フランチェスカの鐘」(歌:藤堂昌子役・堀内敬子)、「イヨマンテの夜」(岩城役・吉原光夫)、「高原列車は行く」(歌:光子役・薬師丸ひろ子)、「栄冠は君に輝く」(歌:藤堂役・森山直太朗、山崎育三郎)、「長崎の鐘」(歌:音役・二階堂ふみ)という豪華な歌謡ショーだった。

「エール』120回。「長崎の鐘」を歌う二階堂ふみ、指揮する窪田正孝 (C)NHK
「エール』120回。「長崎の鐘」を歌う二階堂ふみ、指揮する窪田正孝 (C)NHK

なぜ、こういう展開になったか考察

戦時中のエピソードでは多くの登場人物が亡くなったが、最終週ではっきりとした人の死を描かず、結婚式やオリンピックの開会式などの祝祭を描き、歌謡ショーで締めた。

この理由は、119回で窪田正孝が語った「世界中を未曾有の不幸が襲う中で『エール」という名でドラマをやる意義を裕一を演じながら感じさせてもらいました」、120回でさらに「苦難の日々が続きますが皆さんどうか一緒にがんばりましょう」と声をかけたことからもわかるように、思いがけないコロナ禍によって変わってしまった世界に向けて何を発信したらいいかと考えたすえの選択であろう。

「エール」自体にもアクシデントがふりかかった。コロナ禍によって主要キャストだった志村けんが亡くなったこと、撮影中断、放送休止(本編の放送を休止し副音声付き再放送を行った)、予定回数の縮小と次々と災難が。それでも最後までやりきって、アクシデントを逆手にとり、いままでにないドラマを作り上げたことは称賛に値する。

窪田正孝と二階堂ふみだったからできた

「エール」でも描かれた、池田(北村有起哉)が裕一に曲を依頼してできた名作ラジオドラマ「君の名は」は、様々なアクシデントがあったが、それを逆手にとって工夫したところ、爆発的人気を獲得し、映画やドラマになった(朝ドラにもなっている)。それとアクシデントの規模は違うとは思うが、ショウ・マスト・ゴー・オンの精神が作品を進化させていくことを感じたドラマだった。

【写真を見る】物語のクライマックス…!裕一(窪田正孝)、音(二階堂ふみ)が海辺で歌う感涙シーン!! 「エール」119回 (C)NHK
【写真を見る】物語のクライマックス…!裕一(窪田正孝)、音(二階堂ふみ)が海辺で歌う感涙シーン!! 「エール」119回 (C)NHK

主要キャストが窪田正孝と二階堂ふみで良かった。主人公が朝ドラによくある新人だったら、ここまで達者に対応できなかっただろう。ふたりは、シリアスパートもコントパートもバラエティーふうなパートもみごとにやりきり、最後まで、裕一と音としての時間を大事にしていたと感じる。素敵な夫婦の物語を見せてくれた。(文=木俣冬)

●連続テレビ小説「エール」最終回はNHKプラスで配信中。また、NHKオンデマンドでは全エピソードが視聴可能。11月30日(月)からは、杉咲花がヒロインを演じる連続テレビ小説第103作「おちょやん」がスタート

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