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観光スポットでもある人気の直売所「発地市庭」。コロナ禍の休業を乗り越えた今

  • 2020.11.27
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軽井沢の南側、田園風景が広がる発地エリアに2016年、町の施設としてオープンした軽井沢発地市庭。野菜を中心に地物食材や土産品を販売する農産物直売所、レストランやそば打ち体験室などがある複合施設だ。観光客や別荘住民を中心に人気を集め、2018年には累計で50万人の来場者数を突破した。例年なら開店を待つお客さんで賑わう、ゴールデンウィーク。政府が発令した緊急事態宣言を受けて、4月25日から臨時休業を余儀なくされた。車は1台も止まっておらず、静まり返った春の連休。緊急事態宣言の直前、直後と現在の様子を施設長の池田秀也さんに話を伺った。

豊富な農産物を誇る長野県。軽井沢も例にもれず、冷涼な土地に合った栽培をしている。現在、町内にある直売所は「軽井沢発地市庭」、JAが運営している「みどりのひろば軽井沢」の2店舗。地場産野菜を販売する施設が少なく、発地市庭開業前は軽井沢の農産物を町内で手に入れるには難しい環境だった。町内関係者からの強い要望で誕生したのが軽井沢発地市庭だ。地元で採れた野菜を中心に販売。町内で栽培されていない果物類や、生産量が少ない根菜類などは近隣で採れた商品も並ぶ。

発地市庭の一番の魅力は何といっても「霧下野菜」だろう。霧下野菜とは、発地市庭で販売されている地場産野菜の総称だ。湿度が高く、霧が発生しやすい気候から霧下気候と呼ばれている軽井沢。この湿度が野菜の乾燥を防止し、柔らかさと甘さを引き立てる。代表的なのはキャベツ・レタス・白菜・トウモロコシ・ほうれん草など。朝採れた野菜を開店前に並べ、数が少なくなると、メール配信などで連絡を受けた生産者が補充を行う。

コロナが流行り始めた2月頃。感染を回避しようと、軽井沢には例年の冬より多くの別荘住民が滞在していた。「冬場はどうしても、来場者数は落ち込みますが、今年は前年よりも多くの方が訪れました。別荘住民は高齢者の方が多く、一時的に来軽されたのだと思います」と池田さんは語った。

観光シーズン直前の4月16日、緊急事態宣言が全国に拡大し、25日から臨時休業。「地元の利用者も多いので、直売所だけでも営業を続けたいという気持ちはありました。しかし、訪れるお客さんの9割は県外者ということもあり、観光施設に近い要素があります。公の施設として感染拡大させるわけにはいかないという思いと、利用者の状況を考えて、休業に踏み切りました」

1か月以上の休業を終えて感染症対策を徹底して6月1日に営業を再開。「やっと通常の営業に戻れると再開を喜びました。レジにビニールシートを設置して、飛沫感染を防止。出入口に消毒を設置。ソーシャルディスタンスを保つよう、利用者にお願いをしています。混み合う9〜10時台を中心に店内の様子を見ながら入場制限も行っています。スタッフの検温、手洗いも徹底。お客さんはもちろん、スタッフを守るのが仕事です」。初夏は高原野菜のシーズンということもあり、6月下旬には来場者数が例年の9割程度まで回復。夏に野菜が高騰しても直売所価格で販売を続け、大量に野菜を買う人が増えて売り上げが上がったという。

発地市庭は毎年季節ごとにイベントを開催している。春は休業で、夏は自粛で中止になったが、今年初めてのマルシェを11月に開催。長野県に相談し、指導を受けて、感染症対策を徹底した。「積極的な営業活動ができない中、やっとイベントを開催することができました。来場するお客さんに軽井沢を楽しんでいただく1つのコンテンツになったと思います。今後も感染状況を踏まえながら開催していきたい」と池田さん。

浅間山の麓にある高原の街軽井沢。冷涼な気候で栽培された甘味たっぷりの野菜を思う存分に味わってみよう。

軽井沢発地市庭
〒389-0113 長野県北佐久郡軽井沢町大字発地2564-1
0267-45-0037

取材・文・写真=軽井沢新聞社
取材日=11月14日

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