Withコロナはプライベートステイが人気。軽井沢の新ホテルを徹底レポート

新型コロナウイルスの影響で、休業を余儀なくされた今春の宿泊業界。軽井沢もその例に漏れることなく、大手ホテルから小さなペンションまで多くの宿泊施設が休業となった。そんななかで5月にオープンしたのは、コンドミニアム型のウェルネスリゾート「GREEN SEED軽井沢」。木々の香りと心地よい風が感じられる、別荘タイプの宿泊施設であり、上質な暮らし体験ができるまさに現代らしい場所だ。コロナ禍という厳しい状況でのオープンや、現状について、支配人の西沢和浩さんに話を聞いた。

コロナ禍でさらに進んだ「スローライフ志向」は時代にフィットする業態

2020年5月に追分にオープンした「GREEN SEED軽井沢」は、木々に囲まれた敷地内に6棟の宿泊棟と管理棟、計7棟がすべて独立して建っている。ゲストルームの内装はそれぞれ「VEIN（葉脈）」「ASH（火山灰）」「BREEZE（風）」「OBSIDIAN（黒曜石）」「CASCADE（滝）」「CLOUD（雲）」と、軽井沢の自然をモチーフとしたデザイン。全棟にあるアウトドアリビングでは、窓を大きく開き庭との一体感を満喫できる。開放感のある空間でバーベキューを楽しむことも可能だ。設備やアメニティが充実しているのも魅力のひとつ。爽やかな季節に、外のテラスでハンモックに揺られたり、寒い冬にエコスマート（炎を焚くことができるエタノール暖炉）に火を入れて揺らめく火を眺めるなど、宿泊者それぞれが好きな過ごし方を選べる。軽井沢の気候を楽しむのに絶好のつくりだが、これがアフターコロナの世界観にもマッチしたといえるだろう。これから別荘を持ちたい人や、移住を検討している人が気軽に移住体験できるのも嬉しい。

独立したコンドミニアムで、コロナ禍でも安心して滞在

オープンしたのは緊急事態宣言から約一か月後の5月17日。予定していた日程よりも遅れての宿泊予約開始となった。テレワークを希望する一週間程度の宿泊が中心だったが、7月頃までの予約は少なかった。「満室が続くことはありませんでしたが、ワーケーションでの利用が目立ちました。なかには、デスクトップパソコンを持ち込んだ方もいましたね。一棟貸しなのでプライベート空間が保てるのも、お客様には良かったんだと思います」と話す西沢さん。

GOTOトラベルキャンペーンが始まってからは宿泊客が増え、8月、9月は90％の割合で予約が入った。「増加に伴い、スタッフ側がしっかり対応しなければと思いました。清掃時の消毒に加え、チェックイン前の確認時に再度除菌シートを使って拭くなど改めて徹底しました。オープン時から全室に除菌グッズや検温器の設置など、宿泊の方自身でも管理できるようにしています。いらっしゃる方も皆さん協力的なので、チェックインや検温などスムーズに進められていると思います」
感染予防のルールを守りながら、家族連れやカップル、女子旅のグループなどが、それぞれの棟でバーベキューを楽しむ姿が多く見られたという。

話題の“地産地消の発酵料理”を完全予約制のレストランで

また、9月には管理棟にニューノルディックイタリアンのレストランがオープン。北欧の発酵技術を取り入れ、日本では珍しいトマトやフルーツなどを発酵させた料理が味わえる。デンマークのレストラン「ノーマ」で経験を積んだ鈴木夏暉シェフが大切にするのは地産地消。その日に使う野菜を自ら朝採りに行くというこだわりを見せる。メインの黒豚や熟成短黒和牛も信州産だ。

「遠方から何時間もかけて来てもらうお客様に、『旅のなかで訪れるレストランとして価値がある』と思ってもらえるようにしたいです。料理を通じて、他では味わえない体験をしていただきたい」鈴木シェフならではの料理を求めて、足を運ぶ人は増えている。
もちろん、コロナ対策も万全だ。入口には非接触型の除菌スプレーを設置するだけでなく、ランチは二組、ディナーは一組の完全予約制。来店客が密にならず安心して料理を楽しめる心配りがある。

新たなシステム導入で、より安心して移住体験

年末年始はすでに予約でいっぱいになったGREEN SEED軽井沢。町内に別荘を検討している人の予約もあるという。今後はフロント業務や、自動チェックインのための顔認証などを導入予定。人との接触を極力減らすことで、より安心したプライベートステイが可能になる。稼働予定は2021年2月。
安心して軽井沢で過ごすことができる背景には、宿泊者の安全を守る体制と、快適に過ごすための工夫が凝らされていた。

GREEN SEED軽井沢
〒389-0115 長野県北佐久郡軽井沢町大字追分134-3
TEL.0267-45-8888(平日10:00~18:00)
公式HPHarumari Inc.

取材・文・写真＝軽井沢新聞社
取材日＝11月14日