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話題作に続々出演。ダンスに魅せられた19歳が女優として表現したい世界 河合優実

  • 2020.11.12
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現在公演中の舞台、松尾スズキ演出・長澤まさみ主演の『フリムンシスターズ』、「King Gnu」のMVを手掛けた内山拓也監督の青春映画『佐々木、イン、マイマイン』など、話題作への出演が続く女優・河合優実。19歳。あどけなさが残るピュアな印象と、彼女の動きや表情から放たれる抜きんでた色気は、見る者をくぎ付けにする。(特にDannie May「暴食」のMVで魅せた食べっぷり、飲みっぷりは圧巻)表現することの多くを、7年間没頭したダンスから学んだという。10代にしてすでに多彩な魅せ方を持つ彼女の過去、現在、そしてこれからとは。

ゼロから創作することが、この上なく楽しい

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「もともと体を動かすのは苦手で、体力テストはいつもC評価。運動音痴な私でしたが、小学3年生のとき、妹が通っていたダンススタジオについていきました。バレエのクラスを受けたんですが、どうしても好きになれず泣いて帰ってしまって。そんな姿を見かねて、母がヒップホップのクラスに変えてくれてからは、踊ることは元より運動を楽しめるようになりました」

「2NE1」など人気K-POPアイドルが好きで、振りを覚えて人前で披露することもしばしば。いま舞台やカメラの前に立っても物怖じしないのには、ダンスの経験と家族の存在が大きく影響しているそう。

「母は社会人劇団で演劇をしていたので、お芝居を見る機会は人より多かったかもしれません。親戚が集まると、一人一つは必ず芸をするのが決まりになっていて、小さい頃から手話で歌をうたったり、弾き語りをしたり、人前に出ることはむしろ喜びでした」

中学進学とともに夢中になっていたダンスを一旦離れたものの、高校では再びダンス部に所属。「かなり自由な校風」と形容するように、振付けや音源の編集、衣装の制作といったすべての工程における決定権を学生が持ち、ゼロから作り上げるのが習わしだった。

「ダンスを見せるだけじゃなくて、そこに至るまでの物語や台詞も含めて、舞台の上でどんな風に演出したら見る人は夢中になるだろう? と考えて、創作していました。世界観を創り上げて人に伝える経験が、演技をすることへの興味に繋がったと思います」

見えないところまで考えて、表現したい

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アーティストのミュージックビデオではダイナミックなダンスを披露し、ときにはモードな衣装を着こなすモデルになり、今年に入り舞台や映画への出演が相次ぐ、まさにひっぱりだこの河合さん。周囲に求められる表現の多さに迷うことはあるのだろうか。

「自分の体、姿勢、顔がどう動くのか、人はそれを見てどんな印象を受けるのか、踊りを通じて研究してきたのでお仕事には生かされている気がします。ただ、ダンスやモデルは魅せることにこだわる、いわばショーみたいな性質がある一方で、お芝居は見えないところまで考えなければいけない、もっと繊細な活動というか。その分難しいけれど、やりがいを感じています。

私がいた高校のダンス部には、『クレイジー』と呼ばれる独自のジャンルがあり、曲中ずっと変顔をしながら踊るんです。衣装や振付けもかっこいいではなく、“シュール”とか“違和感”という言葉が当てはまるような。一見恥ずかしいことでも、舞台の上で表現することがこの上なく楽しかった。今後はそういう変な役も挑戦してみたいです(笑)」

20歳へ。自分と向き合い過ぎず、進む

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12月には20歳になる。悩み多き年頃、かつコロナ禍により仕事やプライベートにも少なからず影響はあっただろう。念願だった舞台の中止もあり得たなか、前向きに保てたのは「自分と向き合い過ぎないこと」だった。

「自宅で過ごしていたとき、過去に書き溜めていたノートを久しぶりに開きました。『映画やテレビに出たりするのかな』なんて書いていて、当時の自分をかわいく思うと同時に、願いが叶っていることに驚き。今ではもっと、誰それの作品に出たいとか、いつまでにあの舞台に立つとか、具体的な目標を立てられるけれど、ゴールを定めすぎると気持ちがそれにばかり向いてしまうので、適度に留めています。自分の筋道はある程度流れに身を任せて、余白を残しておくほうが、私は窮屈にならずに済むので」

外出自粛期間中は、体を整える大切さを実感した時期でもあったという。筋膜リリースやアプリを使った食事管理、ファスティングなどいろいろ試した結果、1カ月で体重はなんと4kg減(!)。

「これまで体のメンテナンスには無頓着でした。でもお仕事がストップしたからこそ、やろうと思ってやっていなかったことに目を向けるように。PFC(タンパク質・脂質・炭水化物)バランスを考えてグラムまで計って自炊をしたりもしました。減量したことで体が軽くなり、気遣っているという意識からか心までスッキリ。演技もダンスも体が資本なので、継続していきたいですね」

自信を失くしたときは、好きな世界にどっぷり浸かる

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活躍の場を広げるほど、年齢も経験も上の人と接する機会が増える。特にお芝居の現場ではプロとの違いを肌で感じて、自信を失くしてしまうこともあるそう。

「そんなときは、大好きな舞台や映画を浴びるように見ます。お客さんとしてステージやスクリーンを見上げていると心が動かされて、よしって気持ちが湧いてくる。私はどちらかというと、フレッシュでキラキラした作品より、ダークで人間味あふれる雰囲気の作品に共感します。動きや表情、演技にもそうしたところから受けた刺激が反映されているかもしれません。この目で見て感動したものを、自分の表現力に変えていきたいです」

純で透明感あふれる演技から、艶っぽく迫力のあるダンスまで、出演する作品ごとに違った印象を見せ、私たちを魅了する彼女に今後も注目したい。

河合優実(かわいゆうみ)鈍牛倶楽部所属。2000年、東京都生まれ。松尾スズキ作・演出の舞台『フリムンシスターズ』(10月24日〜11月23日Bunkamuraシアターコクーン、11月28日~12月6日オリックス劇場)、内山拓也監督映画『佐々木、イン、マイマイン』(11月27日公開)、春本雄二郎監督映画『由宇子の天秤』(2021年公開)、ほか出演。

Photo: Hiroki Watanabe(Model/tron) Stylist: Erina Ohama Hair&Make: Yoko Hirakawa(mod's hair)

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