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食・出会い・大自然!地中海に連なるイタリア南部「エオリエ諸島」に想いを馳せて。

  • 2020.10.28
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元ミラネーゼによる『伊太利亜通信』。帰国後も季節ごとに訪れているイタリア各地をレポートしていますが、国をまたぐことが遠い日常となっている今は、シンプル&素材勝負のイタリア料理を食べながら、その魅力を再確認中。第11回は、2年前に訪れたイタリア南部「エオリエ諸島」の旅をご紹介します。美しい自然、ひいては地球を守るため、新しいライフスタイルの中で自然界との関わりにも目を向けて歩んでいきたいと思う今日この頃です。

過去・現在・未来。2020年、変化のとき。

早いもので2020年も残すところあと2か月。長い梅雨を経て、ようやく来た夏は猛暑、そして急に訪れたのは肌寒い秋。自然界には従うしかないとはいえ、未知のウイルスをもたらす要因ともなった気候変動の時代を生きていることを考えずにはいられません。折しも今年の夏から日本でもレジ袋が有料化し、これまで以上にサステナブルな取り組みが加速。私自身、ライフスタイルの変化によって自然界に対して少し敏感に。そんな中、鮮明に蘇るのはエオリエ諸島でパワーチャージをした夏のこと。手つかずの自然の中で日常を忘れ頭を空(から)にしていると、日頃時間に追われているときには見えないものが見えてきました。

地球の鼓動を間近に感じられる「ヴルカーノ島」

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巨大なフェリーには人や犬だけではなく、多くの車も積載。
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出港前。後ろにそびえ立つのはナポリを象徴する、かの有名なヴェズヴィオ火山。
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翌日14:00、ヴルカーノ島に到着!島生活の始まりです。

シチリア島の北方・ティレニア海南部に位置し、主に7つの島から成る火山群島のエオリエ諸島。2018年8月10日20:00。エオリエ諸島のひとつ、ヴルカーノ島に向け、南イタリアのナポリの港を出発!
客室を予約していない人がほとんど(飛行機のように座席で就寝)&一晩どころか18時間を船上で過ごすという旅程の中、自由に行き来可能なデッキから見えるカプリ島や水平線に昇る朝日、それから同乗する犬たちに癒されているうちに徐々に日常から離れ、心もヴァカンスモードに。翌日の昼過ぎにヴルカーノ島に到着しフェリーから降り立つ私たち乗客を出迎えたのは、ものすごい硫黄の匂い…!

何はさておき、ひとまず腹ごしらえ。シチリア地方に古くから伝わる“Pani Cunzatu”は、その土地の食材をトッピングした味付けパン。安価な材料を使った料理と言われ、かつては恵まれた人だけがアンチョビを乗せることができたそうですが、レシピやトレンドは時の流れとともに変化。シンプルだけにフレッシュな素材が物を言います。熱したパンの上に良質なオリーブオイル、新鮮なモッツァレッラ、みずみずしく味の濃いチェリートマト、巨大オリーブ、ツナ、オレガノ、そして島の特産物であるケーパーがどっさりと乗せられたエオリエ諸島ならではの味わい深さで、お腹いっぱい!

〈Ristorante La Piazzetta〉
Piazza Faraglione, 98055 Vulcano

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“巨大なクレーター”の意を持つ活火山「Gran Cratere」。
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いつまでも見ていたい神秘的な光景。窪んだ噴火口からは白煙がもくもくと噴出!岩にはネオンイエローの硫黄が付着。
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フェリーを降りた港も見え、対岸には翌日向かう予定のリーパリ島も発見!

ヴルカーノ島に硫黄の匂いが漂うのは、長きにわたって活動を続ける活火山が存在するため。山頂のクレーターまで歩けることを知り、30分かけて山登り。登るにつれ硫黄の匂いが強くなり、眼下に広がっていったのはエオリエ諸島の美しいパノラマ!
クレーターから噴出する煙を見て、山が生きていること、海に浮かぶ島々からは私たち人間が大自然の中に生かされていることを感じたのです。

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硫黄分を含み、肌にいいとされる泥沼温泉。
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強い匂いを放ち、ぶくぶくと泡立つ様子。体中に泥を塗って天然の泥パックをしてみました。
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この島のお土産屋さんで見つけた硫黄石鹸(右)と、硫黄のかたまり(上)。匂いを嗅ぐと旅の記憶が蘇ります。(左)は島の特徴をよく捉えたマグネット。

泥沼温泉のほかに、海水温泉も存在。温水エリアで海水浴をすると、なんと足を乗せている大きな岩の隙間からボコボコと無数の泡が立ち上る…!海底から湧き上がる力強い鼓動に畏敬の念を抱いた瞬間でした。ちなみに…これ以降しばらくの間、カラダには温泉の匂いが。10日後ミラノに帰り、取り出した荷物から漂う匂いに癒されたのも良い思い出(笑)。スイムウエアには今でも硫黄の匂いが付いています。

心に残る温かな出会いに恵まれた「リーパリ島」

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海を挟んで向かい側には、先ほどまで滞在していた〈ヴルカーノ島〉がまるごと臨める。

リーパリ島の港に到着した私たちを自転車で迎えに来てくれたWalter(ヴァルテル)は、滞在中に借りた崖の上の一軒家のオーナー。スクーターをレンタルしてWalterの後について山道を走り、宿へ。海を一望できるテラスからはなんと、昨日登ったヴルカーノ島の活火山が!クレーターや煙も確認でき、偶然とはいえ不思議なことに今度は反対側からの眺めを楽しむことができました。話の途中でWalterの奥さんが日本人だと判明し、リーパリ島で一番のおすすめだというエノパニノテカ(エノテカ+パニーノ店)のテラスで夕食を共にすることに。

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後で知ったことですが…リーパリ島にある85のレストランの中でも、このフレンドリーなエノパニノテカはランキング1位を獲得するほどの人気店!
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エオリエ諸島の自然が詰まった前菜。
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なんと2切れで1人分というボリュームたっぷりのパニーノ!!!そのうえお手頃価格。

前菜やパニーノをつまみながら島の話で盛り上がっていると…それを聞いていた陽気で人懐っこい店主が奥から雑誌を持ち出し、「10年前に日本の出版社が取材に来たんだよ」と嬉しそうに見開きページを見せてくれました。まさか、この小さな島で日本の雑誌に出会うとは!

〈Enopaninoteca Gilberto e Vera〉
Via Giuseppe Garibaldi 22, 98055 Lipari

人とすれ違うことは稀な崖の上の一軒家では、田舎生活を満喫。せっかくのパノラマを楽しまない手はない、とカーテンを開けて就寝。すると…水平線に日が昇ると同時に気持ちよく目覚めるものだからびっくり。環境を変え、穏やかな場所で心身ともにリフレッシュ。これぞヴァカンスの真髄。
スクーターで島の反対側へ。40分の長旅の末、ついに目的のビーチに到着。どこに行っても透明度が高いイタリアの海ですが、こんなに澄んだ海に潜るのは初めてかもしれず大興奮。水面を泳ぐ色とりどりの小さな魚から海底を泳ぐ大きな魚まで、ひとつひとつ写真に残したかったものの脳裏に焼き付け、この瞬間をひたすらに楽しむことに。

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海に浮かんで見えるのはエオリエ諸島のひとつ、「パナレア島」。

お腹が空き、地元の人で賑わうビーチ近くのリストランテで食事をしているときのこと。「地元のガソリンスタンドの経営者もわざわざ来るぐらいだから、ここの料理は間違いなく美味しいでしょう?」と店主がお客さんに話しかける声が聞こえて気になりつつも、それ以上のことは深追いせず。本当に何を食べても美味しく、そのうえ目の前には青々と輝く海が広がるロケーション。近くに住んでいたら、毎日でも寄りたいぐらい。そんなことを思いながらお会計をお願いすると、家にお財布を忘れてきたことに気が付いて…。「必ず明日のお昼に支払いに来ます!何なら身分証明書を置いていきます」と伝えるも、店主は「大丈夫、明日でいいよ」と気にしない様子。翌日、またスクーターを40分走らせ、昼食がてら支払いをするためにリストランテへ。「2日連続で食事をしてくれたから」と値引きさえしてくれるとは…。信用して待っていてくれるだけでもありがたかったというのに、温かさが沁みること。毎日ここで美しい海を眺めている人の大らかさを垣間見た気がします。

〈Ristorante Lounge Bar Al Tramonto〉
Via Giuseppe Mazzini, Località, 98055 Acquacalda

ポツポツと雨が降り出し、ひとまず家に戻ることに。途中ガソリンスタンドを経由するも、今度はガソリンを入れるための硬貨が足りず(お札が使えない機械)…。幸い雨宿りしている人が多く、とあるカップルに両替をお願いできるか尋ねたところ、彼らも両替できるほどの硬貨の持ち合わせはなし。でも、見ず知らずの旅人に好意で3ユーロを提供してくれるとのことで…有難く頂戴しました。人の温かさに感謝するばかりです。

その晩は晴れ、テラスから沢山の流れ星を目撃!遠くにうっすらと見えるイタリア本島のカラブリア地方上空で雷が光っているというのに、なんとこちらの上空では14個の流れ星を確認。この日は8月15日。ちょうどヴァカンスピークの「フェッラゴスト(聖母被昇天の祝日)」で、対岸のヴルカーノ島では5分以上途切れることのない花火が打ち上がっていたのです。雷、流れ星、花火(笑)…!!二度とないような組み合わせを一度に目にした衝撃は、かなりのものでした。

翌日、泳ぎに出たついでに再びガソリンスタンドに寄ると、どこかで見かけた男性の姿が。しばらく思い出せなかったものの…お財布を忘れたリストランテで近くの席に座っていたお客さんだと判明!「地元のガソリンスタンドの経営者もわざわざ来るぐらいだから、ここの料理は間違いなく美味しいでしょう」と言った店主の言葉がそのときようやく理解できたのでした。男性もこちらのことをよく覚えていてくれて、ますますこの小さな島での生活に愛着が湧いてきました。

スクーターでは進めない狭くて急な坂道を歩いて下り、どちらに行けば良いのかもわからない山中の小道を手探りで進んでいくと…急に視界が開けて小さなビーチが出現!スイムウエアのような軽装でスクーターに乗り、見つけたビーチでは時間を忘れて海の中を泳ぎまわる、そんな島生活。

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道なき道を進む。
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たまに道を間違え、目的のビーチにたどり着けないことも(笑)。
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地元の若者が収穫したウニを味見させてくれました。

水中では岩に張り付く大量のウニを発見。昼食の材料になれば、となるべく大きなウニを探し小枝を使って持ち合わせの袋に。岩から外したウニが水中に漂い、泳ぎながらそれを袋でキャッチするという可笑しな光景ですが、必死です。15個ほど収穫し、近くで泳ぐ地元の若者に尋ねると…「黒くて大きなウニはオス、茶色や紫色の小さなメスのウニが食用」とのこと。残念ながら収穫したのはオスのウニばかりだったので海に戻し、遅めの昼食に出掛けることに。

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近くのメッシーナ海峡でとれた旬のメカジキ。それにジャガイモ、トマト、ツナを和えた付け合わせ。シンプルで優しい家庭料理を提供する〈Bar Tiffany〉。
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「いいチョイスをしたね!ここのバールは最高だよ」とカップルもお気に入りの様子。

道すがら見つけた〈Bar Tiffany〉に入店しようとすると…テラス席からこちらを呼ぶ声が。初めは誰だか分からなかったものの、なんと、昨日ガソリンスタンドで助けてくれたカップルではないですか!お金を返したい、と差し出すも受け取ってくれず、そのうえ「この近くに家があるので今夜夕飯に来ないかい?」と誘ってくれるフレンドリーさ。一緒に食事をしたいのはやまやまでも、その晩はイカ釣りに参加するため泣く泣く断念。イタリア中部にジャケットの工場を持つ彼らとは、ファッションに携わる共通の知人がいることも判明。世界はなんと小さいことか!

〈Bar Tiffany〉
Via Dante Alighieri, 98050 Lipari

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昼間は水深600mの暗い場所に生息し、日が暮れると水深150mまで上がってくるというイカ。水深が600m以上あることにも驚き!

ちょっと前の雨で海流が乱れたためイカ釣りは思っていたよりも難しく、船のキャプテンが3匹、参加者の一人が1匹を釣るという結果に。その場で地元の漁師が作ってくれた焼きイカやマリネ、それからエオリエ諸島の甘~いデザートワイン「マルヴァジーア」に浸されたたっぷりの桃など、船の上での夕飯を楽しみました。
翌朝、お世話になったスクーターを返却し寂しい気持ちで港に向かって歩いていると、近づいてきて声をかけてくれたのは昨夜のイカ釣りの漁師。ああ、余計に島を去り難い気持ち…。

「地中海の灯台」と呼ばれる火山島、「ストロンボリ島」

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円錐形の島の上空には常に白煙が立ち上る。

最後に滞在するのは、世界有数の火山島であるストロンボリ島。今なお15分に1回程度の噴火を続け、夜間には溶岩の噴出が海上から確認できるため「地中海の灯台」とも呼ばれています。島に到着し初めて雷のような轟音を聞いたときは何事かと驚くも、住民は慣れた様子。宿を経営するおじいちゃんは「子供の頃からここで過ごしているからね」と自然の中で生かされていることに常に感謝しているそう。現在、島の人口は400人ほど。

暗闇の中で爆発する溶岩を見学するため、山岳ガイド率いるツアーに参加。寒さをしのぐためのジャケット、登山靴、ヘルメット、ヘッドランプ、砂埃から目を守るゴーグルなど一式をレンタルして登山を開始したのは18:00。なかなかに険しい斜面が続く体力勝負の登山で、20名ほどのグループの中には途中で引き返す人も。登山中にも何度か噴火があり、山頂のほうから3回続けて轟音が…!2リットルの水を持参したものの、途中で足りなくなるのではと心配になるほどに汗をかく、かく。

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ドライフルーツを持参するようすすめられ、登山前に道端のマーケットで購入。これまで特段美味しいと思うことはなかったのに…休憩時間につまむと信じられないほど美味しく感じ、生き返ったよう。イタリアで使われている量り売り用のこの袋は、やがて堆肥となって大地に戻る生分解性。
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島の手前の海に浮かぶ小島は〈ストロンボリッキオ〉と呼ばれる無人島。海軍の灯台が建てられています。

何度か振り向き、登ってきた急な斜面と素晴らしいパノラマを確認。3時間後、ついに山頂に到着。火口を見下ろすため横一列に並んで腰を下ろし、各自持参したパニーノをほおばりながら溶岩噴出の瞬間に備えて待機。

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ストロンボリ式噴火を目撃。

轟音とともに暗闇の中で花火のように噴火する溶岩を目にし、抗うことのできない大地のエネルギーに畏敬の念を覚えた瞬間です。

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グラニータはシチリア島発、口どけなめらかなシャーベットのようなもの。ユニークな食感で喉の渇きを潤します。
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定番のピスタチオ&ヘーゼルナッツのジェラート。

ストロンボリ島の忘れられないグルメもご紹介。職人が手をかけて仕込むこだわりのジェラテリアを発見し、この島に滞在中の2日間でアーモンド味のグラニータを3回リピート。しっかりジェラートもいただきました。もしかしたら、これまでの人生で一番のジェラテリアだったかも…!?

〈Il Lapillo Gelato〉
Via Roma, 98050 Stromboli

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紫玉ねぎ、ツナ、アーティチョーク、それからエオリエ諸島のケーパー。
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日が暮れてからは、キャンドルの明かりで食事を。
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まさに「火山観測所」。
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田舎道の途中で黒砂のビーチを見下ろす。そう、ストロンボリ島のビーチは黒いんです。
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お客さんを運ぶピッツエリア専用の定期往復便。事前に予約可。

この島でもうひとつ外せないのが、火山の中腹に位置する風変わりなピッツェリア。山頂から響く轟音に耳を傾け、噴火を観察しながら美味しいピッツァを食べられるユニークな場所。その名も、「火山観測所」(笑)。迷いながら長い田舎道を歩いたのもいい思い出です。

〈Osservatorio〉
Mulattiera Via Salvatore di Losa, 98050 Stromboli

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島生活を終え、ナポリの港に到着する朝。美しい…。

P.S.ライフスタイルや意識も大きく変化し、私たちを魅了する自然界が変わることなくありのまま続いていくよう願った2020年、夏。今年もヴァカンスでエオリエ諸島を訪れ美しい自然の中でリラックスしたというイタリア人の話を耳にし、なんだかホッとしました。イタリアではなんと1989年から(!)レジ袋が有料で(2011年からは地球に優しい素材で作られており決して丈夫ではないということもあって)、私もマイバッグを持参するようになり、早6年。丈夫で気に入り、今でも同じエコバッグを使い続けています。ほかにもペットボトル削減のためマイボトルを持参したり、詰め替え可能な製品を選んだり。簡単にできることを楽しみながら続けていけたら、と思っています。

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