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40代独身経営者が気づいた大切なもの

  • 2020.10.25
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本連載『覆面姉さんのワサビトーク』は、酸いも甘いも噛み分けたDRESSのお姉さん世代の働く女性たちが、仕事やキャリア、結婚、出産・子育て、離婚などの女性が対面するさまざまな問題を、自身の体験を交えて匿名でコラム化したものです。第三回では、起業を経て経営者になったアネゴさんによるコラム。

はじめまして。
10年ほど前に会社員生活を卒業し、現在は会社経営をしているアネゴ(45歳)です。起業・独立といえば華々しいイメージをお持ちになる方も多そうですが、現在社員は私ひとりの株式会社。「フリーランス」「個人事業主」などいろいろな業態がありますが、今回はこんな私が40代半ばになりキャリアとライフのバランスをどんなふうに考えて、ここまでやってきたのかを振り返ってみたいと思います。

私が起業したきっかけは、ある分野を勉強していたときに遡ります。「これを生業にしたい!」と思ったものの、当時はその仕事や役割を組織内に設けている企業を見つけられませんでした。

あの頃、30代前半だった私。他にもその決断に向けて、「職場でのキャリアの暗い見通し」「家族の病気や介護」「当時付き合っていた人との結婚について考えること」など、いくつかの伏線がありました。私としては「女性の役割を果たしながら、自分のやりたいことをやるための最善の決断」だったわけです。

■「結婚」に対する、周囲の気遣い

それから数年が経ち40代ともなると、周囲が「結婚」という言葉を極力口にしないようになってきました。「自分も晩婚組」という友人が気を遣ってくれる程度。周囲にはどこか「このままずっと仕事一筋だろうな」と映るのではないでしょうか。

本当は忙しさや余裕のなさを盾にして、不器用で弱い自分と向き合ってこなかったのかもしれません。自分事でありながらなんとも歯切れの悪い言い方で恐縮ですが、実際には多くの人が時間の経過や自身の変化とともに、見え方が変わってくることが多いようで「何においてもやってきたときがベストタイミング」だと自然と考えるようになりました。

■同性の友人は大切なインフラ

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現在シングルの私の心の支えになっているのは、周囲にいる女性の仕事仲間数人です。公私に渡り付き合っている、大切な仲間の存在は大きい。独身も多いですが、結婚していても子供がいる・いないなど、それぞれ環境が異なります。

誕生会などの食事の機会に「自分たちのビジネスをどうしていきたいか?」「親の老後をどうするか?」「自分が病気などで働けなくなったときにどうするか?」「晩年の自分の仕事をどうしていきたいか?」などについて語り合い、一緒に笑ったり泣いたりしながら過ごす時間はかけがえのないもの。

こういったリアルな話題でおしゃべりできるインフラがあるのも、私にとってはかなり大きな安心材料となっています。

■ひとりであって、ひとりではない私

さて、起業後の日々は、あっという間でした。未経験だった営業をし、会社の決算をし、はや10年近くの歳月が過ぎ去ろうとしています。「女性の役割を果たしながら、自分のやりたいことをやるための最善の決断」は、気がつけば「家族の役割を果たしながら、自分のやりたいことをやるための最善の決断」になりつつあります。

この年齢になってみて私はようやく「自立と共生」というものを少しだけ理解できるようになった気がします。それは「自分の生き方を尊重し、自らがその道を切り拓き、進むこと」と「他者と寄り添い、助けたり助けられたりしながら育むこと」の両方を考えられるようになった、ということ。

ひとりでいることによる未来や不安定さと、誰かとともに過ごすことによる豊かさと煩わしさ。この両方を手に入れた私は、ひとりでいても誰かといてもこれからも私であって、自分の持っている力を誰かのために役立てることを、もっと楽しく捉えられるようになるのだと思います。

起業というキャリアを選んで良かったと思います。正確に言うならば「選んで良かった」と言えるよう、周囲に成長させてもらいました。どの道を選んでも、ひとりであってひとりじゃない。この道のりはまだまだ続いていきますが、また皆さんにその後をお伝えする機会があったら嬉しいです。では、また!

Text/アネゴ

※この記事は2016年2月9日に公開されたものです。

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